CCCマーケティング総研は、2023年5月の「産業動向レポート」および「産業天気予報」を発表した。
同総研は、CCCマーケティングの有するデータやアセットを基に、生活者の意識調査などを行う機関だ。今回のレポートは、CCCマーケティングが提供する家計簿アプリ「レシーカ」のレシートデータと、同総研の研究員による企業への調査結果を組み合わせて作成。スーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニエンスストア、ホームセンター、外食、百貨店、ショッピングセンターの小売7業界における生活者動向と見通しを独自にまとめた。
同総研によると、コロナ禍と輸入小麦の売り渡し価格の上昇により、ベーカリーの経営状況はコロナ禍前から一変。2022年末以降、業績は回復傾向にあるものの、原材料の高騰により価格上昇が避けられず、結果として一部のベーカリーは利用客数が減少している。
「コロナ禍はベーカリーの販売形態に変化をもたらした」と同総研は語る。たとえば、衛生面の懸念から個包装化が進み、カウンター越しにオーダーを受けた店員がパンをピックするスタイルも増えているという。
また、コロナ禍前は他の競合店と商品数で競う傾向が見られたが、消費者ニーズの変化を受け「ペストリー特化型」や「惣菜パン特化型」など、特定ジャンルに商品を絞ったベーカリーも増加。さらに、高級食パン店のように、ほぼ単一のアイテムで勝負するベーカリーもあり「バラエティ訴求のチェーン店」と「スペシャリティ訴求の個人経営店」と棲み分けが進んできているという。
この業態転換に合わせて、ベーカリーの立地や店舗規模も変化。以前は人通りが多い場所に出店する傾向があったが、今は駅前や商店街の小規模な店舗に注目が集まっているとのことだ。
同総研は総括として「ゴディバが日本で初めてベーカリーショップを開設し、成城石井がベーカリー業態を加速させるなど、企業のベーカリー市場への注目は再燃。今後、活性化が進むことが予想される」と分析している。
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