LINEはユーザーと接点を持ち続けられる場所
MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、皆様の業務やミッションについてお聞かせください。
中村:Septeni Japanのソリューション営業部の中村と申します。これまではAmazon領域の販促やデータソリューションの導入支援などを行っていました。現在はお客様のマーケティングDXを目的とした、ファーストパーティデータを活用したマーケティング支援を行っています。
下西:ミロゴスでアカウントセールスグループのアシスタントマネージャーを担当している下西です。セプテーニや他の代理店様とのアライアンス締結や、APIツールの提供を中心にお客様のLINE公式アカウントの運用・コンサル・システム導入などを支援しています。
MZ:各企業のLINE公式アカウントの活用状況について伺えますか。
中村:近年、LINE公式アカウントの活用を検討・導入する企業が非常に増えている印象です。理由としては、メルマガは特に若い層には馴染みが少なく読まれにくいというデータも出ており、メルマガだけで幅広いお客様をファン化させていくのは難しいことが考えられます。
中村:しかしLINE公式アカウントを導入しているものの、マーケティング全体の施策の中の役割やKPIを定義せず、情報発信としての施策にとどまる企業が多いように思います。LINEそのものは、ユーザーと定常的に接点を持てる場所として魅力的なプラットフォームです。一方でチャネルとしての目的を定義し、よりパーソナライズされたコミュニケーションを実現できている企業はまだ少数と見ています。
意外と知られていない?LINEのAPI活用
MZ:LINE公式アカウントを運用する際、情報発信に終始してしまいがちな課題の要因はどこにあるのでしょうか。
中村:LINE公式アカウントを用いた施策は、キャンペーンの告知など企業の情報発信・共有の場としてのインパクトが大きいため、その段階の施策で留まりがちなのではないでしょうか。また、より高度な施策を展開するうえではツールが必要なケースもあります。そもそも、LINEが情報共有の先のフェーズまで発展させられるチャネルだという認識自体、まだ広まっていないのかもしれません。
下西:LINE公式アカウントではAPIが公開されており、日々進化を遂げている結果、機能が非常に豊富です。そのため担当者が施策に取り組む際、「何ができるのか」「何から手をつけるべきか」を決めかねるケースも少なくありません。
「機能を使いこなせない」を卒業!LINEをもっと活用する方法
MZ:LINE公式アカウントの機能を使いこなせないケースがあるのですね。この課題を解消するには、何がポイントになるのでしょうか。
下西:まずはLINEを活用する目的を明確にすること。そして、その目的に対する適切な手段を考えることが重要です。LINE公式アカウントは、あくまでお客様とコミュニケーションを取る手段の一つにすぎません。施策の目的があってこそ、様々な手段の中から具体的な施策に移ることが可能となるのです。
MZ:たとえばどのような活用方法が考えられるのでしょうか。
下西:ECサイトの例で説明します。売り上げ増加が目的であれば、まずは適切なユーザーに適切な内容の情報を送ることがポイントですよね。パーソナライズされた情報をユーザーに届けるうえで有効なのがAPIツールです。
ミロゴスのAPIツール「LOOPASS」を取り上げて説明すると、LINEのUID(ユーザーID)とECサイトで蓄積された会員情報・購買情報などを紐づけることが可能です。これにより、誕生日クーポンやポイント有効期限のリマインドなど、ユーザー一人ひとりに合ったメッセージを配信することができます。
下西:この他、デジタル会員証を実装することで、ユーザーに日頃から能動的に公式アカウントを見に来てもらうといった施策も可能です。
LINEのAPIツールで実現する、データ活用施策
MZ:LOOPASSでは他にどういった施策が実現できるのでしょうか。
下西:先述したユーザーデータとの紐づけ以外にも、たとえばトーク画面の下部に表示されるリッチメニューを充実させられます。リッチメニューは、ユーザーがトーク画面を開いた時に最初に目に入る場所です。APIツールを使うことで複数タブの切り替えを実装し、ECサイトなら1タブ目には新商品情報などPRしたいもの、2タブ目にはECサイトへの導線を設置するといったカスタマイズができます。
さらにデータを連携することで、カートまで入れたものの離脱したユーザーに、その日のうちにリマインドを送ることも可能です。またレシピサイトならば、ニンニクを使ったレシピを見たユーザーに対して、関連する餃子のレシピを出すなど、ユーザーの行動ログに応じた内容の配信を行えます。
下西:公式LINEアカウントを運用する企業の中には、LINEの宛先情報と紐づけるためアンケート機能を活用しているケースも多いです。ユーザーにとっては、公式アカウントを友だち追加した瞬間が一番ホットな状態といえます。そのタイミングでアンケートを取ることで、すぐに情報を取得できるため、LINEでのデータ活用を進めたい企業にはぜひ行っていただきたい施策ですね。
API連携により、マルチチャネルでの最適化が可能に
MZ:APIツールの活用によって、マーケティング施策はどう変わるのでしょうか。
中村:LINE・メルマガ・アプリなど各チャネルで取得したユーザー情報が単一のデータベースに集約され、よりユーザーごとの解像度を上げられるようになります。
特にLINEはユーザーの日常生活に根ざしたプラットフォームです。LINE公式アカウントにAPIツールを導入することでユーザーごとの個性が反映された情報が取得できます。これらの情報を活かしマルチチャネルでマーケティング全体を最適化・高度化できる点が大きなメリットです。
これによってどんな体験を提供し、どのようにファン化させていくのか。カスタマージャーニーをしっかり描いて施策を設計していくことがカギになります。
MZ:具体的にどのような施策が可能になるのでしょうか。
中村:ECサイトを例に考えると、おすすめ商品などのレコメンド情報からブランドストーリーや新着情報まで、届けるメッセージは様々です。ユーザーのフェーズやインサイトを見極め、適切なチャネルやタイミングで情報を発信していく必要があります。
ユーザーのフェーズ分析は、購買回数はもちろん、ECサイトへの流入頻度データやLINE・メルマガの開封状況などから心理的なロイヤリティも加味します。その後、購買商品の傾向やサイト内の行動データをベースにインサイトの仮説を立て、好みと想定される商品のクーポン情報をLINE公式アカウントから届けたり、メルマガではリッチなブランドストーリーを送ったりと、パーソナライズしたアプローチを行っていく流れになります。
中村:ECサイトに限らず、チャネルを使い分けるとともに適切なタイミングでユーザーに情報を届けることも重要です。定期メルマガのような自社の想起を目的にした取り組みを続ける一方、サイトにユーザーが訪れた瞬間などのニーズが発生したタイミングでのレコメンドは、見逃しにくいLINEのメッセージとして送るといった設計が効果的です。
目的ごとに適切なチャネルとタイミングを設定し、ユーザーのインサイトを捉えながらメッセージを使い分けていきましょう。
LINE公式アカウントは、アウトプットからインプットの場へ
MZ:企業のLINE公式アカウント活用について、今後の展望をお聞かせください。
下西:LINEは今や、日本におけるインフラと言っても過言ではありません。LINE公式アカウントがCRM・顧客接点の一つとして重要視されている中、サードパーティCookie規制によって、LINEのUIDや宛先情報などのデータ活用における動きが広がっています。今後は、LINE公式アカウントで取得したデータが広告の領域まで進出し、CRMのみならず認知の部分でも最適化されていくと見ています。
ミロゴスは、以前はツールベンダーとしてプロダクトの販売がメイン事業でした。しかしLINE活用の場が広がる中で現在は、お客様の目的・課題に対してLINE公式アカウントの最適な運用方法やクリエイティブの内容まで支援を行っています。今後はシステムやデータ活用まで範囲を広げ、一気通貫で取り組んでいきたいと考えています。
中村:今はまだLINEで「どういう情報を届けるか」といったアウトプットを主に考える企業が多いと思いますが、これからは「どんな情報を取得できるか」というインプットの側面が大きくなっていくでしょう。ユーザーと近く、接する回数も多く、心理的なハードルを下げたコミュニケーションがLINEの魅力です。マルチチャネルで様々な施策を横断・最適化したマーケティングを行っていくうえで、LINEは重要な接点だといえます。
セプテーニとしても、上流の戦略だけでなくテクニカルな領域も社内外の専門組織との連携で施策に落とし込める強みを生かし、LINEを中心としたマルチチャネルなCRMの可能性を広げるお手伝いができればと思っています。たくさんのお客様・パートナー様とつながりながらサービスを拡大していき、データ業界全体を盛り上げていきたいですね。
LINE公式アカウントを運用されているご担当者様へ
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ウェビナー「オウンドメディア×LINE公式アカウントの施策のご紹介」
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