Howに偏りがちなBtoBマーケティング、基本に立ち返ろう
こんにちは。戦略マーケティングファーム・suswork代表の田岡凌です。現在、スタートアップから大企業まで数十社のマーケティング戦略策定や戦略実行に伴走しています。ここでは、BtoBマーケティング戦略に焦点をあて、様々な角度から情報を発信していければと思っています。今回のテーマは「BtoBマーケティング戦略策定の5つの実践ステップ」です。
近年、日本でも大企業はもちろん、スタートアップを中心にBtoBマーケティングに関する議論がホットになっているように思えます。書籍やセミナー、カンファレンスなど、BtoBマーケティング関連の情報やコンテンツは5年前に比べるとかなり増えていますし、議論の中身も、マーケティングの方法論や施策、ツールなどHowの議論から、WHO・WHATを軸にした戦略のほうへシフトし始めていると感じます。
実際、2023年にsansanが法人向けマーケティングに関わるビジネスパーソン900名に向けて行った「BtoBマーケティングに関する実態調査」においても、BtoBマーケティングの成果が十分に出ている企業が注力している取り組みとして、最も上位に挙がったのが「マーケティング戦略の立案」でした。
私自身もカンファレンスやセミナー登壇する中で、また実際にBtoBマーケティングをご支援する中で、多くのBtoB企業の経営者やマーケティング責任者とお話しする機会がありますが、この数年でマーケティング戦略に意識を向けている方が増え、実際に戦略策定に注力し事業成長を実現されている企業も増えてきたことを実感しています。
しかし、一方で、BtoBマーケティング戦略の立案・策定における具体的な部分については、あまり体系的に整理・理解されていないのも事実です。
ゆえに、マーケティング戦略を一定理解しつつも、実際に自社で進めるとなるとどうすればよいのかわからない、と頭を悩ませている経営者やマーケティング責任者は多いのではないかと思います。そこで、本記事では、BtoBのマーケティング戦略立案の具体的なステップを5つに分けてご紹介していきます。
BtoBマーケティング戦略仮説策定の5つのステップ
BtoBマーケティング戦略策定に向けて、まず何から取り組むべきでしょうか?
私が常々重要だと感じているのは、WHO→WHAT→HOWの順番で考えるという基本の部分です。顧客(WHO)が決まらなければ、どんな課題を解決すべきかも決まらないので、カテゴリや提供価((WHAT)も決まりようがありません。戦略仮説として定義した顧客(WHO)に、提供価値(WHAT)を届けるために、何をすべきか? ここで初めて施策(HOW)の議論をすることができるのです。
BtoCと比較すると、BtoBマーケティングでは実際の顧客が見えやすかったり、イメージしやすかったりするため、WHOやWHATの定義を飛ばして、いきなり目標数字やファネル設計、具体的なメディア施策の議論になっていることが多いように見えます。事実、BtoBマーケティングの支援をする中で、この罠にはまっている企業はとても多いのです。私自身もBtoCからBtoBへキャリアをシフトした時、まさに陥りそうになったポイントでもありました。
さらに言えば、顧客をイメージできることと、明確に定義できていることは大きく異なります。後ほど再び触れますが、コア顧客(まずフォーカスする最優先顧客)と戦略顧客(マーケティングでアプローチしたい顧客全体)を明確に定義することは、BtoBマーケティングにおいて極めて重要です。マーケティング部署だけでなく、営業部署やカスタマーサクセス部署を交えて顧客定義を試みることができれば、むしろ解像度は一気に上がるのではと考えます。
繰り返しになりますが、BtoBマーケティングの戦略立案は、必ず顧客(WHO)を定義することから始めましょう。提供価値(WHAT)、施策(HOW)の立案についても、常に顧客中心で思考や議論を深めていくことが基本となります。