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「ADJUST IGNITE TOKYO 2023」レポート(AD)

成果を上げる代理店との付き合い方とは?トップエージェンシー4社が語る、これからのアプリマーケティング

 インハウス化やプライバシー保護強化など、アプリマーケティングに携わる広告代理店は大きな変化の中にある。Adjustが開催した「Adjust Ignite Tokyo 2023」では、CyberZ、グリーアドバタイジング、オプト、Septeni Americaというアプリ業界のトップエージェンシー4社が登壇、これからのアプリマーケティングについて語った。本稿ではその内容をレポートする。

アプリ業界のトップエージェンシーが集結!

谷口(Adjust):本セッションは普段は競合関係にある、インターネット広告代理店の皆さんと議論を進めていきたいと思います。私はモデレーターを務めるAdjustの谷口です。まずは皆さん、自己紹介からお願いします。

Adjust Senior Partnerships Manager  谷口 健二氏
Adjust Senior Partnerships Manager  谷口 健二氏

田中(CyberZ):2018年にCyberZへジョインしました。一貫して広告運用領域に携わっており、現在はアプリ広告の効果計測や検索広告領域の責任者も務めています。

三浦(グリーアドバタイジング)私は2017年にグリーアドバタイジングに入社、現在は代理事業本部の営業部署を統括しています。

岩本(オプト):私は2015年、オプトがアプリ事業を立ち上げようとしていた頃にエンジニアとして入社しました。現在はマーケティング・アセット領域を管掌しています。

荻田(Septeni America):私は2010年セプテーニに入社、2013年よりグローバル事業に従事し、アプリ顧客を中心としたグローバル展開の拡大を推進してきました。現在はアメリカ、中国、韓国などグローバル事業全体を統括しています。

広告主必見!成果を上げる代理店との付き合い方

谷口(Adjust):最初のテーマは「成果を上げる広告代理店との付き合い方」についてです。広告主の方々に向けて、パフォーマンスの上がる代理店との付き合い方のヒントを伺えますか。

三浦(グリーアドバタイジング):成果を上げる自信がある代理店に頼むことが1番だと思います。本日も4社の代理店が登壇していますが、それぞれ強みは異なるでしょう。自社が求めるカテゴリで一番成果を出せる代理店を選ぶことが大切です。

 考慮すべきは、その代理店が経営的な視座を持っているかです。アプリ市場はボラティリティが大きいと言いますか、変動が大きいため、スピーディーな経営判断が求められます。そのため経営的な視座を考慮してもらえる代理店と付き合うと、より成果が出るだろうと考えています。

グリーアドバタイジング株式会社 代理事業本部 アカウントエグゼクティブ部 部長 三浦 裕太氏
グリーアドバタイジング株式会社 代理事業本部 アカウントエグゼクティブ部 部長 三浦 裕太氏

田中(CyberZ):コミュニケーション軸で考えることも重要かと考えます。

 どの広告主様も代理店とは密にコミュニケーションをとっていると思いますが、どちらかと言うと数値の報告や振り返りなど、過去の話に重きを置いているケースもあるのではないでしょうか。私が広告主様と「良い状態を築けているな」と感じるのは、施策の提案や意思決定のための議論ができているような、過去軸ではなく未来軸の話ができる関係です。

岩本(オプト):確かに提案の場を作ること、管理ではなく共創の時間を持てるような仕組み作りをすることが重要だと思います。

 そのために必要なのが、信頼関係の構築です。広告主様に「この代理店は管理しなくても大丈夫だ」と思っていただけるようになることが大切だと考えます。

株式会社オプト マーケティング・アセット領域管掌 執行役員 岩本 智裕氏
株式会社オプト マーケティング・アセット領域管掌 執行役員 岩本 智裕氏

荻田(Septeni America):各プロダクトの展望など、わくわくすることを共有いただける広告主様だと、代理店としてもモチベーション高く取り組めると思います。

谷口(Adjust):広告主と代理店が同じプロジェクトを追いかけ、1つのチームのような関係になれば、おのずと成果も上がっていきますね。

最新「モバイルアプリトレンド 2023:日本版」レポート

日本のモバイル市場における消費者行動とユーザーに関する実用的なインサイトを解説しています。レポートをダウンロードしてご確認ください。

広告主のインハウス化が進む中、代理店が出せる価値

谷口(Adjust):続いてのテーマは「インハウス化の潮流における広告代理店の生存戦略」です。各社、どのように考えていますか?

荻田(Septeni America):広告代理店が生き残っていくためには、各広告主様の課題を先読みしてリソースを確保していくことが必要だと思います。おそらくこの先も様々な課題が出てくると思いますが、変化に応じた依頼のされ方が増えてくるでしょう。

 また、広告主様やメディアパートナー様と良好な信頼関係を築いていくことも欠かせません。当社の場合、お客様のほとんどは既存の広告主様やパートナー様からのご紹介などでお声をかけていただいています。世界各国、ほぼそのような取引で成り立っています。「この会社と付き合うと安心」「安心して紹介できる」と思っていただけるような関係性をいかに築けるか。代理店が生き残っていける重要な策なのではないかと思っています。

Septeni America, Inc. Director 荻田 脩平氏
Septeni America, Inc. Director 荻田 脩平氏

田中(CyberZ):運用において、これまで代理店では、主に入札管理やターゲティング戦略で価値を出していた企業が多いと思います。しかし今、特にアプリではGoogleのアプリキャンペーンやMetaのASC(Advantage+ ショッピングキャンペーン)などの登場により自動化が進んでいる状況です。そのため従来のままでは代理店が価値を出すことは難しくなっていると感じています。

 一方で、アドテクノロジーの進歩はすさまじく早く、これらの知見が現場に浸透しているかは別問題で、この技術革新と現場適応のギャップは年々開いている感覚があります。その差を埋めることが代理店の役割なのではないでしょうか。

 そのため、私たちが意識していることは、市場の変化を逃さないこと。逃さないだけでなくその変化を自ら評価して、お客様の課題解決につながるようアジャストして提案することが重要だと考えています。

株式会社CyberZ 広告代理事業部 エグゼクティブコンサルタント 田中 翔人氏
株式会社CyberZ 広告代理事業部 エグゼクティブコンサルタント 田中 翔人氏

人材派遣も!広告代理店が考える、枠組みにとらわれない生存戦略

三浦(グリーアドバタイジング):グリーのゲームスタジオの場合、元々はスタジオ別でインハウス化を進めていました。先ほどお話した通り、アプリ市場はボラティリティが高いことから、事業が停滞したときの対応に課題がありました。その解決策の1つとして4、5年前に立ち上がったのがグループのハウスエージェンシーです。

 具体的には、グリーアドバタイジングの人間をグリーグループの各スタジオにマーケターとして常駐。外部の広告主様にマーケティングコンサルタントとして提案するようにしています。この取り組みの良い点は、営業の視点を持ちつつ、プロダクトをどう高めていくのかといったマーケターの視点を持った提案ができることです。このように広告代理店でありながら人材派遣のようなビジネスも展開できるのではと思っています。

 そして、広告出稿の話と離れますが、当社はサービスに対してマネタイズができるSSPや広告媒体を持っています。インハウスの企業様も広告の成果を出していけることが代理店の生存につながるのではないかと考えています。

岩本(オプト):人材派遣の話が出ましたが、マージンとは異なる形で、広告主様との付き合い方を進めている代理店さんは少なくないと感じますし、当社でも実際に人材を派遣しています。常駐でないものの、お客様のオフィスにいるというニーズは高いと思います。

 広告代理店は、各分野のプロフェッショナル集団でもあります。エキスパートが培ってきた高い専門知識や豊富な経験、ツールを広告主様にインハウス化を進めるために使っていただくよう提案することも広告代理店の生存戦略の1つです。

プライバシー保護強化が進む中、力を入れるべきことは?

谷口(Adjust):最後は「プライバシー保護強化が進む中での今後のアプリマーケの展望」について語っていただきます。

三浦(グリーアドバタイジング):プライバシー保護強化はユーザーのデータが見えづらくなることと同じだと考えています。流入経路がわかりにくい状況では、統合して全体を見ることも1つの指標としてあります。しかし、そうするとDAUやMAUの目線での効果がわかりにくくなり、最終的にROASが悪化するといったことも起こりうるかもしれません。

 そのためアプリマーケティングでは、AdjustさんをはじめとするMMP(モバイル計測パートナー)との関係は切っても切り離せないものだと思います。グリーグループでは自社データとAdjustデータを突き合わせてLooker StudioなどでROASを見る取り組みをしています。

谷口(Adjust):ありがとうございます。Adjustでは様々なデータをとっていただくことが可能ですが、管理画面で確認できるデータは一部のみとなっています。たとえば位置情報についても管理画面では国単位までしか見られませんが、ローデータエクスポート機能を使えば郵便番号レベルまで確認できるようになります。

岩本(オプト):最近注目を集めているコネクテッドテレビ広告も、細かい地域まで計測できると活用しやすそうですね。

 プライバシー保護の流れに話を戻すと、この潮流が今後加速していくことは間違いありません。データに対して消費者も一層敏感になっていると感じます。計測がすべてを解決すると言える時代ではなくなりました。計測ではなく、SKAdNetwork(読み:エスケー・アドネットワーク)への投資にアクセルを踏んでいく必要があるでしょう。この2、3年が勝負になるのではないでしょうか。

アプリマーケティング、今後の展望

田中(CyberZ):皆さんがおっしゃる通り、プライバシー保護強化の流れにあらがうようなことはすべきでないと思います。

 そのうえで相対的に重要になってきているのがクリエイティブです。単純に訴求性が強いクリエイティブを作るだけでなく、ターゲティングの手法としてクリエイティブを設計することが求められています。同じ広告主様のアカウントで同じターゲティング設定をしていても、クリエイティブの訴求ごとに配信先のユーザー層は明確に変わるため、ターゲティングの軸を変える手段としてクリエイティブの戦略を立てることも重要な視点なのではないかと。

 プライバシー保護強化によって、確かにできないことが増えましたが、SKAdnetwork4.0のアップデートなど、できるようになっていることもたくさんあります。できることにしっかり目を向けて考えていくことが大切です。

荻田(Septeni America):今後は、マーケティングによって、アプリとコンテンツの熱量をどう高めていけるかが重要だと考えています。

 「どのコンテンツとコラボすれば、どのようなユーザーの熱量を持ってこれるのか」など広告主様やメディアパートナー様と試行錯誤しながら新しい事例を作っていくことで盛り上げられるはずだと思っています。

谷口(Adjust):本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:adjust株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/03 10:00 https://markezine.jp/article/detail/43215