欲しいものを我慢している若年女性、欲しいものが欲しい若年男性
堂々消費を巡って気になるのは、様々な値上げによる生活コストの負担が増えているという現状を、消費者はどう受け止めているかということです。
こちらの表は「買いたいもの・欲しいもの」「やりたいこと」「見たいコンテンツ」がこの1ヵ月であるかどうかを聞いたものです。全体で65.4%の人が、3つのいずれかについて「たくさんある」あるいは「まあまあある」と回答しており、多くの人が消費意欲を持っていることがわかります。
中でも20代と30代は、他年代と比較して消費に意欲的なようです。「最近の若者は欲がない」と言われますが、現実は裏腹と言えるでしょう。

先ほどの表を男女別で見ると、興味深いことが見つかりました。若年女性、特に20代(75.6%)・30代(76.9%)は、4人に3人が「たくさんある」「まあまあある」と回答しており、全年代で比較しても高い数値となっています。ところが、男性は年代別で大きな差はなく、全体的に男性のほうが具体的な欲しいものやしたいことなどが少ないことが読み取れるのです。

続いて、「1年前と比べて、欲しいものやしたいことを我慢すること」が「増えた」と答えた方の割合を性年代別に示したものがこちらです。全体で27.3%の方が1年前より我慢することが増えたと回答しており、コロナの五類化を機に消費が活発化していると単純には言い切れないことがわかります。
中でも女性30代(35.2%)は3人に1人、女性40代(30.4%)も3割を超える人が「欲しいものやしたいことを我慢することが増えた」と答えており、欲しいものがありながらも、それを我慢しながら消費の取捨選択をしている様子がうかがえました。

では、若年男性は、果たして本当に消費意欲が低いのでしょうか? こちらのグラフは「1年前と比べて、爆食い・全話一気見など、欲望を満たしたいという気持ち」が「増えた」と答えた人の割合です。
これを見ると、やはり女性のほうが全体的に高い傾向はありますが、男性20代でも20.5%が「欲望を満たしたいという気持ち」が「増えた」と回答しています。今どきの若年男性は「欲望を満たしたい」という気持ちを持っているにも関わらず、具体的に「欲しいものは?」と聞かれると思いつかない。消費意欲はあるが、欲しいものがないという、いわば「欲しいと思えるものが欲しい欲望」を抱えているのではないでしょうか。
