「自分らしさのサステナビリティ」を求める意識
「心が動く消費調査」では、消費に関する意識以外にも様々な価値観について調査しています。
「付き合うメリットの感じられない人とはなるべく会わないようにしている」かどうかについて、「あてはまる」と答えた人の割合は全体で59.3%で、女性30代(63.6%)・女性40代(64.9%)が他年代と比べて高い結果となりました。コロナ禍を経て、人付き合いに関しても自分にとってメリットがあるか、負担がないかで考える判断軸が、消費者の中に芽生えているのかもしれません。

また、「1年前と比べて、一人で過ごす時間を大切にしたい」という気持ちが「増えた」と答えた人は全体で30.1%でした。特に30代女性(36.4%)、40代女性(43.0%)は他と比べてかなり高く、コロナ禍の自粛生活において一人で過ごす時間の大切さに気付き、自粛が空けても習慣化したいと考える人が増えていると考えられます。

前回の記事でご紹介したように「自分らしさ」を発揮したいと考える人が多くなっている中、人付き合いへの意識の変化や、一人の時間を大切にしたいという消費者の今の気持ちが見えてきました。周囲の目を気にするよりも、いつも通りの自分らしさを保ちたいという「自分らしさのサステナビリティ」の考え方が、消費者の意識の中に芽生えているのではないかと考えています。
【結果考察】静と動、どちらにも通じる「心が満たされる時間」
今回は、胸を張って堂々と買い物や体験を楽しむ「堂々消費」と、その裏に見え隠れする若年層の消費意識の男女差、そして「自分らしさのサステナビリティ」についてご紹介しました。
「堂々消費」を「動」とすれば、「自分らしさのサステナビリティ」は「静」と、一見相反する思考回路のように感じますが、「胸を張って消費を楽しむ気持ちの良い瞬間」と「自分らしさを邪魔されない心地よいひと時」と考えると、どちらにも通じる「心が満たされる時間」があるのではないでしょうか。
DDDでは、消費者の「心が満たされる」ために何ができるか、今後も考えてまいります。
第5回 電通「心が動く消費調査」調査概要
・調査目的:変化し続ける社会環境により可視化されにくくなりつつある消費者意識を消費者の欲望視点から分析し、今後の日本の消費社会を読み解く
・対象エリア:日本全国
・対象者条件:20~74歳
・サンプル数:3,000サンプル(20~70代の6区分、男女2区分の人口構成比に応じて割り付け。70代は70~74歳まで)
・調査手法:インターネット調査
・調査期間
パイロット調査:2021年5月18~21日
第1回調査 2021年9月3~6日
第2回調査 2021年12月16~19日
第3回調査 2022年5月12~15日
第4回調査 2022年11月2~7日
第5回調査 2023年5月10~15日
・調査機関:株式会社電通マクロミルインサイト