ラジオは「ムーブメントを起こせるメディア」
――チャポンと行こう!を5年間続けられて、佐藤さんの中で音声コンテンツならではの強みはどこにあると感じていますか?
ラジオはテキスト以上に、ムーブメントを起こせるメディアだと思います。テキストは、読者にその企業やブランドを好きになってもらったり、「ブックマークする」といった行動につなげてもらうことはできます。
一方、このチャポンと行こう!では、なんと毎月100通ほどの長文のお便りが届くのです。これは、パーソナリティーの我々と“お友達”になったような感覚をチャポラーの方々が抱いてくださっているからではないでしょうか。こうした仲間意識を醸成した上で、ムーブメントにつなげられるのは音声メディアならではの特長だと思います。

また、普段、北欧、暮らしの道具店のWebサイトを見てくださっているお客様は、我々が持つ世界観を視覚的に理解してくださっていますが、「当社がどのようなことを成し遂げたいのか」というニュアンスは、サイト上の写真だけでは充分には伝わらないこともあります。そこで、「私たちはこういうメッセージをお客様と共有したいのです」とテキストで書くと、ちょっと強引に感じられるかもしれません。しかし、チャポンと行こう!では40代の女性二人の気取らない雑談の中で、笑いや声のトーンも一緒に伝えることで、当社のメッセージをより正確に伝えることができているのだと思います。
夢は公開収録イベントの地方開催
――チャポンと行こう!における今後の展望や目標について教えてください。
一人時間のお供として、チャポンと行こう!や、北欧、暮らしの道具店があると心強い──そうお客様に思ってもらえる関係を、今後もつくっていきたいです。
実は2022年10月には、初のラジオ公開収録イベントを都内で開催し、約300人のチャポラーの方たちを招待しました。パーソナリティーの二人でいつも通り1時間半の収録を舞台上で行ったので、緊張はしましたが、チャポラーの方々をはじめ、北欧、暮らしの道具店のお客様はとても温かくて。お客様に直接お会いできたことで、仕事を頑張れるパワーを逆に頂けましたね。夢は、このイベントを大阪や福岡、北海道などでも開催することです。

また、会社の経営スタイルとも近いですが、私たちは「1年後にポッドキャストランキングTop10に入るぞ」や「多くの方が知っているメディアに育てるぞ」といった壮大なロードマップは描いていません。むしろ「再生回数をいかに落とさないようにするか」という、どちらかというと“細く長く”続くことを目指しています(笑)。
確かにチャポンと行こう!は当社の主力コンテンツに成長しましたが、我々には他にもテキストや動画などのコンテンツが様々あります。記事は記事で、動画は動画で、各コンテンツの種類に応じて数字や企画の中身を常に見守りながら、どれに対しても地道なテコ入れを続けていく。そうして3年後にも良いバランスで続けられていたら良いのです。チャポンと行こう!も、月2回の配信は決して楽ではありませんが、チャポラ―の方々との約束事なので、「せめてその約束は守りたい」という気持ちでやっています。