「音声メディアの時代が来る」と音声事業に参入
MarkeZine編集部(以下、MZ):オトナルではデジタルオーディオ広告事業を展開されています。どのような経緯で音声事業に参入されたのですか。
八木:2013年に当社の前身となる株式会社京橋ファクトリーを設立し、メディア事業を主軸に行っていました。2017年にスマートスピーカーが発売されたことを機に「将来、一人一台スマートスピーカーを持つようになれば、音声メディアが勃興する時代が来る」と考えました。社名も株式会社オトナルに変更し、2018年に音声事業をスタートしました。
その後ワイヤレスイヤホンが普及し、音声メディアの発展により重要な位置付けとなりました。そんな中、ハードウェアにとらわれずにより音声メディアにおける上流部分に事業を広げた形で、現在はデジタルオーディオ広告事業を行っています。代理店機能であるデマンドサイドだけでなく、新聞社やラジオ局などの広告枠を開発するサプライサイドの機能もあるため、広告主企業と掲載メディアの中間に入り一気通貫でサービスを提供しています。
米国では最も成長しているメディアフォーマットに
MZ:マーケティングでの音声活用について、具体的にどのような形が挙げられるのでしょうか。
八木:まず音声メディアには、従来からある「地上波ラジオ」と、radiko・Spotify・ポッドキャストなどインターネットを活用した「デジタルオーディオ」があります。私たちが注力しているのはデジタルオーディオで、マーケティングに活用する場合は次の2つの方法があります。
1つ目は、デジタルオーディオ広告(音声広告)です。音楽配信サービスやポッドキャスト、インターネットラジオなど音声メディアを活用したデジタル広告を指します。他のWeb広告と同じく、タイアップ広告や運用型広告として出稿が可能です。
詳しくは連載記事『コンテンツの多様化から急成長する「音声メディア」。そのマーケティング活用を探る』で紹介していますが、特に米国ではデジタルオーディオ広告が成長著しく、SNSや動画コンテンツを抑えて2021年、2022年と2年連続で最も成長率が高かったメディアフォーマットになっています(参考:IAB Internet Advertising Revenue Report:Full Year 2022)。
2つ目は、オウンドメディアとして音声コンテンツを活用することです。企業がポッドキャスト番組を制作したり、ブランドストーリーを配信するコンテンツを作ったりしています。さらに最近は、インターネットの音声サービスも発展しており、誰でも配信ができるようになっています。後ほどそれぞれの特徴を紹介しますが、多様なプラットフォームで企業が音声コンテンツを届けられるようになりました。