デジタル時代における「音声メディア」発達の現状
近年、新しい市場が形成されつつあるインターネットの音声メディア。英語圏では「デジタルオーディオ」と呼ばれ、デジタル時代の新しいメディアとして注目されています。
米国のデジタル広告費を毎年公開しているIAB(Interactive Advertising Bureau)の調査では、デジタル広告の分類の中にバナー広告や動画広告と並んで「オーディオ」という項目が存在します。
この「オーディオ」ことデジタルオーディオ広告(音声広告)は、2021年から2022年にかけての2年間でデジタル広告のフォーマットの中でも最も高い成長率を示しています。市場規模はまだ2.8%程度にとどまりますが、バナー広告やSNS広告の成長が鈍化する中、動画とともに成長率の高いデジタル広告の新興フォーマットとして注目が集まっています。
国内では、デジタル広告の分類に「音声」はまだ存在してはいないものの、電通が発表した「日本の広告費 2022」ではラジオ由来のデジタル広告である「ラジオデジタル」が前年比で157.1%に。こちらも高い成長率を示しています。
成長する音声コンテンツ
Nielsen Media Labが2017年に公開した調査結果によれば、一般のウェブサイトのディスプレイ広告と比較しSpotifyのオーディオアドは「ブランド想起が24%アップ」「関心・購買意欲が2倍」「広告理解が28%アップ」といった調査結果が出ています。成長率だけでなく、実際に消費者におよぼす広告効果の面でも、マーケティングにおける音声活用は注目の領域だといえます。
さらに世界的に見ると、企業が自社ラジオを始める流れも広がっています。インターネットラジオの配信手法の代表格であるポッドキャストの企業番組の数は年々増加。自社ブログを持つようにポッドキャストを活用する企業が増加し、2021年8月には8,000番組を超えました。
日本でも、ファッションブランドのエルメスが2019年に音声とインターネットラジオを活用したキャンペーン「ラジオエルメス」を展開して話題になりました。このように、オーディオ広告だけでなくオウンドメディア的な形で音声コンテンツを活用する企業も増えつつあるといえます。