「1年後にチームのレベルが上っているか」が重要
――分解思考をリーダーが身につけてチームに定着させていくときに、リーダーに必要な視点や考えは何でしょうか?
まずは、大きい目標を持つことです。「広告予算いくらです、GRPが取れればOKです」だと去年と同じことしかできません。そして、管理職の方に一番大事にしてほしいのは、「1年後に組織のレベルが良くなっているか」という視点です。1年後に与えられた予算とメンバーが同じならば、メンバーの成長によって、選択肢の幅が変わります。当然、メンバーが成長していれば選択肢が増え、より良い結果が出せるようになります。
メンバーの成長のために何が必要かを考えると、やはり、チームの目標=事業に貢献する数値をより大きな目標に置き換えていくことが重要です。与えられた数字ではなく「私たちはここまで行きたい」という大きな目標を持ち、メンバーの力を引き出しながら、1年かけて達成していくためにどうするかを分解していく。これが大切ですね。
組織の未来像を具体的に描くには
――まさに、「部署の将来像が描けず抽象的になってしまう。具体的に落とし込むためのヒントがほしい」という相談もいただいています。
実は、マーケターだけでなく事業部の方も最初はそうなんです。情緒的で読後感の良いポエムになってしまいがちなんですよね。脱却方法は簡単で、たとえば5W1Hで考えたり、数字で書くことです。
「私たちは大きくなる」と言っても、どれぐらい大きいかは人それぞれです。消費財カテゴリで10位の会社が1位になることなのか、10位の会社が9位になることなのか。もっと具体的にしていくと、売上500億円を750億円にする話なのか、1,000億円にする話なのか。一度書いた目標や将来像を「どれくらいなのか」という視点で見返して、数字に置き換えてみましょう。
「大きくなろう」という目標に対して5W1Hで落とし込む場合、何故やるか(Why)、誰がやるか(Who)、どこの市場か(Where)、いつまでに(When)が見えてきて、たとえば10位が1位になるには何億の売上が必要なのか、予算はどれだけ使えるかが固まってくると、最後に何を(What)、どうやるか(How)と具体的に決めていけます。
これを、チームのメンバーにもやってあげると良いです。反対に、良くない数値化は努力量を数字にすることです。あくまで成果を数字にします。