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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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あなたのチームは事業に貢献していると胸を張れますか?マーケティングの明日を変える「分解思考」

 多様なテーマで“深い”学びを得る場として、定期的に開催しているMarkeZineのプレミアムセミナー。次回は10月27日(金)11:00~12:00「菅原健一氏に学ぶ『リーダーのための分解思考講座』チームの課題をクリアにし、必要なタスクを見極め、大きな目標達成につなげる」を開催します。そもそも、分解思考とは何か?分解思考を身につけることで組織はどう変わるのか?株式会社Moonshot 代表取締役 CEO菅原健一さんにお話をうかがいました。

分解思考は「曖昧な成果」を「明確な事業貢献」に変える

 ――今回のMarkeZineプレミアムセミナーでは、菅原さんに分解思考についてレクチャーいただきます。著書『小さく分けて考える 「悩む時間」と「無駄な頑張り」を80%減らす分解思考』でも詳しく解説がされていますが、分解思考とはどのようなものか、改めてうかがえますか?

画像をクリックするとセミナー詳細ページに移動します
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 どの企業にも、売上を増やしたい、事業を伸ばしたいといった目標があります。一方で、どうすれば達成できるのか解像度が足りないケースも多いです。

 しかし、たとえば売上を伸ばしたいなら、いくらの商品を何個買ってもらうのか、商品単価と購入人数のバランス、何人に何回買ってもらうのか……と複数の要素に分解できます。すると、漠然とした「売上を上げたい」という課題に対して、新規のお客さんが必要だとか、既存のお客さんのリピートが悪いからリピート率を上げる施策をしましょう、とより明確な行動がとれるようになります。

 このように、物事を分解して具体的な数値に落とし込んで、行動目標を設定する。それが分解思考です。

 ――分解思考はマーケターにとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

 マーケティングは成果が曖昧で、事業にどれだけ貢献できているかを測りづらいものです。「テレビCMを打って何GRP出したから認知が取れたはずです」と言っても、それがどう事業貢献につながっているか、事業部や経営層には伝わりにくい。

 CEOやCMOなどCxOたちは費用対効果や利益といった経営ベースで会話します。マーケティングが与えるインパクトや存在意義を伝えるためには、マーケティング用語ではなく経営用語で効果を伝える必要があります。つまり、数値化された売上・利益の会話が求められるわけです。

 分解思考によって目標を具体的な数字にすることで、事業貢献につながる成果を出せるようになります。大きな目標を立て、事業に貢献することでマーケティング部門の価値が社内に認められますし、マーケターとしても仕事がしやすくなっていきます。

 ――今回のセミナーでは分解思考をリーダーが身につけ、チームでも展開していくことを目指しますが、分解思考ができるチームとできないチームの違いは何でしょうか?

 分解思考ができないと目標や効果が曖昧になり、「何となく」で物事がすべて進んでしまいます。何となく良さそうなプランをやってみて、何となく実行してみたら、何となく結果が出る。そのため、何故上手くいっているかがわからない状況になります。

 正解がわからないため、結局おもしろい施策を選んだり、声が大きい人の意見が通ってしまったりもします。最終的には、効果が出るのかわからない施策にチームの時間を取られることになります。

 さらに、何となくで進めるので、レビューもできなくなるのです。数値の変動はわかるけど、次に何をすればいいのかわからない状態ですね。これでは施策による学びも得られません。

 反対に分解思考を活用するチームは、何をどうすれば事業貢献ができるのかをKPIベースで具体的に説明できます。どんなクリエイティブをどんなCMで出せばいいか、どんなデジタル施策をすればいいのか、それは何故か。きちんと説明・実行して成果を出せるのです。結果的に、社内でもマーケティングに対して信頼と期待が寄せられ、立場も向上していきます。

「ずっと同じ課題の話をしてしまう」のは何故?

 ――セミナーでは菅原さんに具体的に分解してほしいお悩みを募集しているのですが、「課題について解決策を話し合っても、時間が経つとまた同じ課題が出てきてしまう」という相談をいただいています。まさに、分解思考が役に立ちそうです。

 そうですね。これはよくあるケースだと思います。私たちも、健康診断の数値が少し悪くても忘れてしまいすよね。けれど、その数値の悪化がどれぐらい深刻なのかがわかると行動が変わります。

 マーケティングが事業に貢献するために、何を増やすべきか数値で明確に定まっていれば、きちんと対策を打てるようになります。なぜなら、数値の悪化が事業の悪化に直結するとわかるからです。目標が曖昧だと結局見過ごされたり、後回しになったりして、気づいたら同じ話をしてしまうわけです。

 事業部やブランドマネージャーが抱えている課題を見定めて、大きな事業課題を1年かけて改善するように、様々なキャンペーンをきちんと走らせていく。それが、マーケターもしくはマーケティング施策の役割だと認識することが大切だと思います。

「1年後にチームのレベルが上っているか」が重要

 ――分解思考をリーダーが身につけてチームに定着させていくときに、リーダーに必要な視点や考えは何でしょうか?

 まずは、大きい目標を持つことです。「広告予算いくらです、GRPが取れればOKです」だと去年と同じことしかできません。そして、管理職の方に一番大事にしてほしいのは、「1年後に組織のレベルが良くなっているか」という視点です。1年後に与えられた予算とメンバーが同じならば、メンバーの成長によって、選択肢の幅が変わります。当然、メンバーが成長していれば選択肢が増え、より良い結果が出せるようになります。

 メンバーの成長のために何が必要かを考えると、やはり、チームの目標=事業に貢献する数値をより大きな目標に置き換えていくことが重要です。与えられた数字ではなく「私たちはここまで行きたい」という大きな目標を持ち、メンバーの力を引き出しながら、1年かけて達成していくためにどうするかを分解していく。これが大切ですね。

組織の未来像を具体的に描くには

 ――まさに、「部署の将来像が描けず抽象的になってしまう。具体的に落とし込むためのヒントがほしい」という相談もいただいています。

 実は、マーケターだけでなく事業部の方も最初はそうなんです。情緒的で読後感の良いポエムになってしまいがちなんですよね。脱却方法は簡単で、たとえば5W1Hで考えたり、数字で書くことです。

 「私たちは大きくなる」と言っても、どれぐらい大きいかは人それぞれです。消費財カテゴリで10位の会社が1位になることなのか、10位の会社が9位になることなのか。もっと具体的にしていくと、売上500億円を750億円にする話なのか、1,000億円にする話なのか。一度書いた目標や将来像を「どれくらいなのか」という視点で見返して、数字に置き換えてみましょう。

 「大きくなろう」という目標に対して5W1Hで落とし込む場合、何故やるか(Why)、誰がやるか(Who)、どこの市場か(Where)、いつまでに(When)が見えてきて、たとえば10位が1位になるには何億の売上が必要なのか、予算はどれだけ使えるかが固まってくると、最後に何を(What)、どうやるか(How)と具体的に決めていけます。

 これを、チームのメンバーにもやってあげると良いです。反対に、良くない数値化は努力量を数字にすることです。あくまで成果を数字にします。

★プレミアムセミナー「菅原健一氏に学ぶ『リーダーのための分解思考講座』チームの課題をクリアにし、必要なタスクを見極め、大きな目標達成につなげる」の詳細は、セミナーページでご覧いただけます。

「サーバントリーダーシップ」が重要

 ――分解思考を活用するとチームメンバーも部署の目標がはっきりと見えてきますね。「メンバーのマインドも含めてパフォーマンスを上げるにはどうするか」という、対個人の悩みもいただいていますが、そこはいかがでしょう?

 チームビルディングに関しては、前提としてマネジメントスタイルを変えていく必要があると思います。今までは上から降りてきた数字を上司が部下に分配して、やってくださいと管理するスタイルが多かった。しかし、それだと今の20代はついてきません。

 これからは、上司がこれをしろと指示するのではなく、目的を示してチームで達成するためにどう分担していくべきかを皆で決めていく。さらに、メンバー一人ひとりの個人目標とどうすり合わせていけば良いかも考える「サーバントリーダーシップ」が大切です。上司と部下がともに上を見て、成長していけるように管理職が支援することが理想型だと思います。

 そのためには、「そもそもこの目的は何だっけ」「どのくらいの効果を出すと良いんだっけ」「その効果を出すために必要なやり方はそれでいいんだっけ」と上司が部下に上手く質問してあげる力、壁打ちできる能力が必要です。これには、分解思考が欠かせないですよね。

 また、小さく分けて具体的に物事を考えられるようになると、レビューにも意味が出てきます。たとえば客数を上げる施策について、目標の客数に行ったかどうか、そのための認知は取れたのかどうか……と振り返りがしやすくなります。施策の予算をもっと増やそうとか、そもそも客数では無理そうだから事業部と掛け合いながら、客単価で巻き返しを考えよう、と建設的に次の打ち手についても話し合えます。チームメンバーのやる気を削がず、自然に事業部とも足並みを揃えながら、マーケティングが機能するようになっていくと思います。

ターニングポイントをいつ作るか?

 ――読者の皆さんは業務の中で、足元の課題を感じている方も多いと思うのですが、お話をうかがうと、マーケティング部門自体がインパクトを出せないと根本的な解決には至らないとも感じました。

 そうなんです。現在、足元で困っている理由はこの数年の選択肢の結果です。事業貢献ができていないと詰められたり、いいからすぐやってほしいなどとバタバタしてまう状況は過去に決めてきたことによって起きています。同じことをしていると、ずっとそのままです。それをどう変えるか、いかに社内で信頼を得て、企業の中枢となるような健全な組織を作っていくかが管理職のテーマだと思います。

 今回のセミナーも、皆さんに話を聞いて良かったと思ってもらうだけではなく、やり方がガラッと変わったとか、1年後の自分のキャリアが変わったとか、5年後の会社のマーケティングへの重要度が変わったといったターニングポイントにできればと考えています。私も真剣に取り組みますので、熱い気持ちを持ってご参加いただければと思います。

セミナー概要

セミナータイトル:「菅原健一氏に学ぶ『リーダーのための分解思考講座』チームの課題をクリアにし、必要なタスクを見極め、大きな目標達成につなげる」

日時:10月27日(金)11時00分~12時00分

形式:Zoomにて配信、オンデマンド視聴は不可

お申込期限:10月27日(金)10時00分

※MarkeZineプレミアム会員様向けの限定セミナーです。新規購読・登録後、すぐに参加申し込みいただけます。詳細はプレミアム会員ご説明ページをご確認ください。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/04 09:29 https://markezine.jp/article/detail/43488