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バズるべきは企業ではない?SNSマーケティングの効果を最大化させる鉄則とは【お薦めの書籍】

 多くの企業がマーケティングにおいて活用しているSNS。本記事では、SNSマーケティングの本質を理解し、効果的な運用を行う秘訣を解説する書籍を紹介します。公式アカウントの一過性の“バズ”に賭けるのではなく、効率的かつ中長期的な成果につながるポイントとは何なのでしょうか?

バズるべきは企業ではなく、口コミ

 今回紹介する書籍は『SNSマーケティング7つの鉄則』(日経BP 日本経済新聞出版)。『僕らはSNSでモノを買う』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などの著書を手掛けられたGiftXの飯髙悠太氏と、マーケティング支援や人材育成を行うスノードームの室谷良平氏、SNSマーケティングのコンサルティング事業を行うホットリンクの鈴木脩平氏による共著となっています。

『SNSマーケティング7つの鉄則』飯髙悠太、室谷良平、鈴木脩平(著) 日経BP 日本経済新聞出版 2,420円(税込)
『SNSマーケティング7つの鉄則』飯髙悠太、室谷良平、鈴木脩平(著) 日経BP 日本経済新聞出版 2,420円(税込)

 いまや多くの企業が各種SNSに公式アカウントを持ち、運用を行っています。生活者がSNSで日々情報を収集・発信する現代では、SNS活用を重要なマーケティング施策の一つとして位置付ける企業も少なくありません。

 その一方で、「売り上げなどの成果につながらない」「フォロワーが増えないし投稿が拡散されない」「KPI設計や検証方法がわからない」など、様々な課題を抱える担当者もいるのではないでしょうか。

 本書では、企業がSNSを活用するうえで「自社がバズるか」よりも、いかに「UGC(クチコミ)がバズるか」が重要だと提言。では、具体的にどうすればUGCを活用した効果的なSNSマーケティングを実現できるのでしょうか?

なぜUGCが重要なのか?

 SNSでは個人・企業関係なく双方向のコミュニケーションが可能であるため、情報伝達の構造もマスメディアのような「1対n」ではなく「N対n」になります。企業の公式アカウントを運用する際には、自社の投稿をバズらせようという視点になりがちですが、著者は以下のように述べました。

「N対n」は、現在のメディア環境において重要性を増してきた発想です。いかに自分がバズるか、ではなく「いかに自社商品をクチコミしてくれるか」「いかにお客様がバズるか」という視点が大事になってきます。

 ポイントは、UGCによってユーザーがユーザーを連れてくる構造を活かすこと。これにより、SNSマーケティングの効果を最大化させることができると著者は指摘しました。

 バズる、というと芸能人などの投稿が爆発的に拡散するイメージが強いかもしれません。しかし実際は、少ないフォロワー数であってもチェーンのようにつながってどんどん拡散し、“バズ”につながるといいます。したがって「拡散のチェーンを作ること」と、そのために「良いコンテンツを作ること」の2つを意識し、戦略を立てていく必要があるのです。

 またUGCが積層していくことで、検索した人がUGCのストックに触れることができれば、中長期的な成果にもつながりやすくなります。加えてデータによれば、UGCの数と売り上げにも相関関係があることが明らかになっているそうです。

UGCを創出するカギ「言及在庫メソッド」とは

 本書では「成果につながるSNSマーケティング7つの鉄則」として、実践的な手法を紹介。そのうち1つが、UGCを生み出し活用するための「言及在庫メソッド」です。

 著者は、口コミにつながるネタや既知のブランドイメージを「言及在庫」と表現。この言及在庫がなければ、UGCは生まれません。そのため、まずは自社のサービス・プロダクトの特性や状況を整理し、言及在庫を作ってUGCが創出されるような施策設計をしていく必要があるのです。

 言及在庫メソッドの重要な要素の一つとして、著者はUGCのもとになる「トピック」について説明。トピックには、「美味しい」など直接商品について述べる「商品・サービス文脈」と、「感動した」など共感を起こす「コミュニケーション文脈」の2種類があり、訴求したい商材はどちらが適しているのかを判断していきます。この他、トピックを共有できる人数や話題が続く鮮度なども、トピックをユーザーへ提供する際に考慮すべき点です。

 これらを押さえたコンテンツを作るとともに、UGCを出してくれそうなユーザー集めや様々なクラスター内で情報が飛び火するような「バズりやすいネットワークづくり」の構築が、UGCを活用していくうえで重要だと著者は示しました。

 本書では、他にもUGC生成のためのアイデア発想法や分析手法、KPI設計など、実践で役立つポイントを多角的に解説した一冊となっています。効果的なSNS運用を行いたい方やSNSマーケティングで課題を抱える方は、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/09/20 09:00 https://markezine.jp/article/detail/43490

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