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マーケターのためのChatGPT活用講座 プロンプト開発のポイントと活用すべき業務の見極め方

活用可能な業務の見極め方

 マーケティング組織のリーダーは、ChatGPTが活用可能な業務の見極め方を知っておく必要があるだろう。活用の主体が個人なのか組織なのかによってアプローチが変わってくるため、まずはその分類から始めると良い。個人の場合は、詳しくないテーマのアイデア出しや、上司・先輩に聞きづらい基本用語の確認などにChatGPTの活用余地がある。良いアウトプットが導けたプロンプトを、他のメンバーに共有あるいは社内にアーカイブする仕組みがあると、ChatGPTの導入効果は得やすくなる。

 一方、組織単位でChatGPTを活用する場合は「煮詰まっている業務」を分析することが非常に重要だという。渥美氏がクライアントのChatGPT活用支援を通じて生み出した、煮詰まっている業務を可視化する四象限が次の図だ。

煮詰まっている業務を可視化するための四象限
煮詰まっている業務を可視化するための四象限

 この中でChatGPTの活用インパクトが大きい業務は、左下の「やればできる子業務」だ。メルマガの件名を複数考えたり、メルマガの文章の品質を高めたりするアクションがここに当てはまる。たとえば、問い合わせに対する自動返信メールが「3日以内に営業担当から連絡します」という定型文で設定されている企業は多い。改善すれば一定の成果が得られるとわかってはいるものの、後手に回りがちな業務と言えるだろう。この返信文を複数パターン生成し、効果を検証する際にChatGPTが活躍する。

 自社の業務を四象限で分類しながら「ChatGPTの活躍度合いが高そうな業務」を発見するにあたり、業務理解が求められるのは言うまでもない。メルマガ作成業務と一口に言っても、序盤のネタ出しで困っている場合もあれば、文章作成でつまずいている場合もある。企業によって課題感は異なるため、各社の業務プロセスを分析した上でChatGPTを活用すべき業務の見極めに進もう。

活用を阻む四つの要因

 ChatGPTを業務に活用してみたものの、うまくワークしないケースはある。渥美氏は考えられ得る阻害要因として、次の4つを挙げる。

1.成功の見通しが立ちづらいこと
2.メンバー間に見られる習熟度の違い
3.情報保護の観点
4.ハイペースな機能アップデート

 ChatGPTとの対話を何度重ねても、アウトプットが思うように得られない場合はある。担当者は「いつ正解にたどり着けるのか」「どの程度のクオリティが見込めるのか」という予測が立たない中で業務を推進しなければならず、途中で活用を諦めて従来の手順から抜けられない人も多いようだ。「良質なプロンプトを皆で作らなければ、従来の方法からは抜けられない」と渥美氏は語る。皆で良質なプロンプトを作るためにも、メンバー全員がトレーニングを通じてChatGPTの操作に慣れる必要がある。

 法人でChatGPTを活用する場合に無視できないのがセキュリティだ。7月から読み込んだデータを保存/学習させない設定が選べるようになったため、渥美氏はその設定を有効にすることを薦めつつ「とは言え個人情報は読み込ませないほうが良い」と注意を促す。

 毎週何かしらのアップデートが発生するChatGPTについて「情報収集を個人に委ねるのは限界がある」と渥美氏。社内で特命チームを組成し、キャッチアップする体制を整えなければ組織的な活用および業務課題の解決には至らないとの意見だ。

 ChatGPTの進化が止まることはない。テクノロジーへの理解はもちろんのこと、自社業務の棚卸や活用可能な業務の見極め、使いこなすためのトレーニングについても歩みを止めずに進めよう。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/12 09:30 https://markezine.jp/article/detail/43536

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