機能・情緒に加え、「第三の価値」を提供する
ゼクシオの提供価値は、これまで「飛び・打ちやすさ・爽快な打球音」といった“機能的価値”と、「大人のゆとり・ステータス」という“情緒的価値”から構成されていた。しかし今回のリブランディングにおいて、それらの価値を磨くことに加え、第三の価値を追加。ゴルファーの多様な価値観に基づくゴルフの楽しみ方を“体験価値”として位置付け、これを提案するブランドとして異業種との新たな取り組みを開始した。
具体的な取り組みは以下などが挙げられる。
ゴルファーズミュージックtuned by XXIO(2019年10月~)
音楽配信サービス世界最大級のSpotifyとのコラボレーションにより、ゴルフの気分を高めるシーンにぴったりの楽曲リストを作成し、配信。
ゼクシオ・オーナーズクラブ サービス拡充(2020年1月~)
会員組織ゼクシオ・オーナーズクラブで、東京ゴルフクラブなど普段では回れない、名門コースへのラウンドを楽しめるオプションサービスを追加し、体験価値の機会を提供。
わたせせいぞうが描くゴルフの魅力presented by XXIO
漫画家でイラストレーターのわたせせいぞう氏とコラボレーションし、ゼクシオブランドが目指す「飛びやスコアだけではないゴルフがある1日」の素晴らしさを描いたアートワーク「わたせせいぞうが描くゴルフの魅力presented by XXIO」を公開。

New discovery day supported by XXIO
オンラインゴルフ総合サイト・ゴルフダイジェストオンラインとのコラボレーションで、茅ヶ崎ゴルフリンクスでロードバイクなどゴルフとは異なるイベントの体験会や、クラブハウスなどの施設を使ったバーベキューなど、家族でも1日楽しめる体験型イベントを実施。
ゼクシオPresents ゴルフの魅力再発見ツアー
旅行会社JTBとコラボレーションし、ゼクシオが提案する「ゴルフがある1日の素晴らしさ」を具現化した旅行ツアー、通称ゼクタビを企画。日本の四季を感じられるラウンドのほか、ゴルフと旅で大切な人とのつながりを深めるツアーを実施。
ゼクシオが提案する体験価値には、「ゴルフがある1日をとことん楽しみ尽くそうよ」といったメッセージを込めていると平野氏は語った。
顧客の高齢化にどう対処するか
ロングセラーブランドの課題として顧客の高齢化に向き合わなければいけない。そこで迫られるのが、ブランドも顧客とともに高齢化するのか、あるいはターゲットを広げる・変えるかだ。ゼクシオの場合、リブランディングで2つの商品ラインナップに拡充し、ターゲットを広げた。
またリブランディングは、実施した後にどれだけ磨き上げられるかが重要だと平野氏は話し、以下のように続けた。
「競合ブランドとの差別化がますます難しくなる中で、先に挙げた事例のようにリブランディング後は異業種とのコラボレーションを積極的に活用してきました。ただし、自前でこだわる部分と、協業で新たに補い強化する部分を見極めることが重要です」(平野氏)
また平野氏が考え続けていることは、「ブランドとは、どこに存在するものなのか」と話す。
「大切なことは生活者の頭の中に入り込むためにブランドと生活者のタッチポイントは何なのかです。ゴルフ用品の場合、テレビや雑誌・ネットなどの広告よりも、そのブランドの製品を使っている身の回りのプレーヤー・愛用者の方が、ブランドとのタッチポイントであり、愛用者の方のイメージがそのブランドの代弁者であると考えています」(平野氏)
ロングセラーブランドをさらに息の長いものとするには、全社一丸となってブランドを育てるという姿勢が重要となる。最後に平野氏は「ブランドを育てるとは経営層や一部門の取り組みではなく、製造から販売までベクトルを合わせ、愚直に、かつ真剣に継続的に取り組むべきものだと思います」と話し、同セッションを締めくくった。