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たとえインターネットがなくなっても、戦略は変わらない。変化に負けないマーケティングの進め方とは

“マーケティング戦略があるつもり”になっていないか

 マーケティング戦略を考えていく上で最も重要なポイントは、戦略と施策を混同しないことだと池上氏は強調する。

 「データをいくらそろえても、方向性がそろっていなければ目指すべき姿は見えてきません。自ら『戦略はありません』という会社は少ないでしょうが、『戦略があるつもり』になっている会社は多いといえます」(池上氏)

 戦略と施策の違いについて、戦略は「アクションをともなわず顧客化までのステップを示したもの」だという。たとえばメール配信・広告出稿・コンテンツ制作、これらはすべてアクションをともなうため、戦略ではなく施策にあたる。「当社の戦略は広告から顧客を取ってくることです」と掲げている場合も、それは戦略ではなく施策なのだ。

 また、全体戦略と個別ステップの違いについても池上氏は言及。たとえば全体戦略の中に「ブランド認知を高めること」があったとしよう。マーケティング部門がそのための活動に取り組もうとしても、営業側から「ブランドが認知されたからといってすぐに商品が売れるわけではない。先にやるべきことが他にあるのでは」と主張されてしまう。

 これは、ブランド認知が施策全体にどのような影響を与え、認知が広がることでその後のステップがどのように変わるのかというシナリオ、つまり戦略の個別のステップ部分が明確化されていないのだ。だからこそ、共通見解が見いだせなくなってしまうと池上氏は説明する。

売り上げに直結しない施策に取り組むべき理由

 続いて池上氏は、マーケティングの全体像を図示した。左端が時系列の入り口にあたり、顧客と最初に接点を持ったタイミングだ。右端が時系列の出口にあたり、顧客が購入あるいは契約したタイミングになる。

 社内に営業組織や店舗があれば、この間に「営業送客をする」や「来店してもらう」というポイントがあり、マーケティングの仕事は基本的にそこまでとなる。一方で営業組織や店舗を持たず、顧客自らがサイトを訪問してほしいものを購入するECのようなケースでは、マーケティングは時系列の全体をカバーすることになる。

 この時系列の長さやステップの数は企業や業態、ニーズによって変わる。共通しているのは、図の左側になるほど売り上げに直結しにくい活動になるということだ。ブランド認知もその一つであると池上氏は語った。

 では、なぜ売り上げに直結しない活動にも取り組まなくてはならないのか。ここで池上氏は、下図のファネルを示した。上部分が初期接触、下部分が購入だ。

マーケティングの全体像。上部分が初期接触、下部分が購入。真ん中は購入につながるステップを指す。
マーケティングの全体像。上部分が初期接触、下部分が購入。中央は購入につながるステップを指す。

 このファネルの広がりは、どれくらいの見込み顧客と接触するかのポテンシャルを示す。ステップが進んでいくにつれて人数が減り、最終的に購入者層となる。裏を返せば、上部のポテンシャルのある人数を増やすほど、下部もおのずと広がるのだ。

 「『今日買ってくれる人を見つけてきなさい』というのは難しいですが、『自社製品に興味を持っているかもしれない人に向けて、何か施策をやりましょう』は比較的取り組みやすいのです」(池上氏)

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最初から理想通りにいかなくとも、戦略を立てておくべきわけ

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この記事の著者

堤 美佳子(ツツミ ミカコ)

ライター・編集者・記者。1993年愛媛県生まれ。横浜国立大学卒業後、新聞社、出版社を経てフリーランスとして独立。現在はビジネス誌を中心にインタビュー記事などを担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社ルシダス

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/26 10:00 https://markezine.jp/article/detail/43704

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