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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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MarkeZine Academyピックアップ(AD)

累計800人以上が受講!「Webマーケティング基礎講座」の講師9名から初心者マーケターへ

 MarkeZine編集部が企画・運営しているマーケティング実務者向けの教育講座「MarkeZine Academy」をご存知でしょうか? ここではマーケティング初心者から中堅層向けのものまで、様々な講座を用意しています。その中で、累計800人以上が受講したMarkeZine Academyのロングセラー講座が『2日で分かるWebマーケティング基礎講座』です。概論や戦略だけでなく、目の前の業務に直結する戦術についても解説しているので、マーケターとしての第一歩にぴったり。2日間10コマの集中プログラムで、広い視野と現場での実践スキルを一気に身に付けられます。本稿では、本講座の講師を担当している9名のプロフェッショナルからマーケター初心者の皆さんへ「マーケティングのスキルアップを目指す上で必要な心構え」をお送りします。

買い手としての眼力に自信を持とう

大橋 聡史(担当講座:マーケティングの基本姿勢)

総合広告会社でマス、デジタル、各種リサーチなど広範な領域を20年超にわたり経験。その後、事業戦略や生体センシングデータ、脳科学によるクリエイティブコンサルなど、領域を深化・拡張。2件の特許も取得。クリエイティブディレクターとしての広告案件も並行しながら理論と実践を行き来する。2022年より大手デベロッパーの新規事業群立ち上げに従事。著書に「届くCM、届かないCM」など。

Q1.初心者マーケターが自身のスキルアップのために意識すべきこと、まず経験したり学んだりすべきことを教えてください。

 初心者マーケターという言葉に惑わされないようにしてくださいね。

 まずあなたは、かなり練度を磨いてきた「買い物のベテラン」であるということを自覚してください。

 服や本、スイーツやレストラン選び、どのサブスクで通信やコンテンツを楽しむか? 会社でも、今までマーケ以外の部署にいたのだとしたら、そこで購買判断に携わっていたのかもしれません。そのときの純粋かつシビアな自分の「買い手としての眼力」を、圧倒的な信頼感で自覚すること、自己肯定すること、これが何よりも大事です!

 何かマーケターという役割に染まらなきゃ、と思ったとたんに迷子になりますよ。会社や組織の都合に染まることは、とりわけマーケターにとっては、いいことありませんから。

 その確たる自分軸を意識できたら、次に他人や世間が、なぜそういう判断をしているのだろう? と、いろいろ目に付く流行や現象を解析することを楽しみとしてやってみてください。それで万事OK!

Q2.初心者マーケターが読むべき本を教えてください。

 ちょっと話題が離れているように思うかもしれませんが、こんな世界的ベストセラーを読む余裕があっても良いかもしれません。『スマホ脳』をお薦めします。

『スマホ脳』
スマホ脳
アンデシュ・ハンセン(著)新潮社 1,078円(税込)

 事業活動はプロダクト(モノやサービス)を【生み出し】、それをマーケットに【伝える】ことで回っていくものだと思います。生み出すことも大変なことですが、【伝える】ところもなかなか難儀なもので、巧拙というかセンスというか、素養が問われる領域でもあります。

 カジュアルに「コミュ力」なんていういい方もありますが、脳科学、認知科学、情報環境、クリエイティブなど、深入りすると未解明の人間そのものの真髄に潜っていくことになります。

 【伝える】【伝わる】という人間の情報摂取の場面で現代人に何がどう起こっているのか、ちょっとでもカジッてからデジタル時代の情報戦に挑んではいかがでしょうか? 要は、マーケティングメッセージのほとんどは歓迎もされずスルーされてしまうのですから。

顧客の視点に立ち、データで顧客を見える化しましょう

CaTラボ
代表 オムニチャネルコンサルタント
逸見 光次郎(担当講座:Webマーケティングの戦略立案BtoC編)

三省堂書店、ソフトバンク、Amazonジャパンを経て2007年にイオンへ入社。ネットスーパーの立ち上げと全社デジタルビジネスの戦略を担当。2011年にキタムラへ入社。執行役員EC事業部長としてオムニチャネル化を推進した。2017年にコンサルタントとして独立。経営、業務、ITまで含めた全体最適のオムニチャネル化支援を行う。

Q1.初心者マーケターが自身のスキルアップのために意識すべきこと、まず経験したり学んだりすべきことを教えてください。

 一つ目には、やはり自社の商品サービスを自分で購入して試すことです。店舗やネット、卸先それぞれの販売チャネルでの接客やオペレーションを体験し、可能なら製造現場や倉庫も見せてもらって会社のモノの流れを説明できるようになることは、基本ですがとても大事なことだと思います。

 二つ目は、自社の顧客を理解すること。その際、データの観点と、顧客と対面・接客して知る観点の双方から顧客を見える化して説明できるようにしてみてください。また、中長期の観点を持つことも大切です。たとえば、顧客獲得コスト一つとっても、1年の短期視点ではなく、5~10年にわたってその先で顧客が継続・離脱する所まで考えて費用対効果を考えるクセをつけるとよいでしょう。

 最後に三つ目は、マーケターというよりビジネスパーソンとして意識すべきことですが、自分の評価が会社とどうつながっているかを、特に売上、経費、利益そしてキャッシュの観点で数字で説明できるようにすることです。

Q2.初心者マーケターが読むべき本を教えてください。

 これからの時代、マーケティングにおいて最も大事なのは、顧客軸でリピートを増やすことになると考えます。国内人口は増えない中で、訪日客を含めた個の顧客のリピートをしっかり見える化して情報接点を作り、購入接点を作ることが求められます。

 これまで商品軸と店舗・販売チャネル軸でしか考えることがなかった販売分析(商品勘定)を、顧客分析に進化させる思考が「顧客勘定」です。

『売り上げを倍増させる“顧客勘定
売り上げを倍増させる“顧客勘定"マーケティング “赤字顧客"を黒字に変える実践手法
前田徹哉(著)日経BP 1,980円(税込)

 著者の前田さんは小売、コンサルなど幅広いご経歴の中でLTV(ライフタイムバリュー)を見える化して施策につなぎやすくする思考を生み出されました。実際に、私もご教示を受けて初めてきちんとLTVを施策に落とし込めるようになりました。

 この本では顧客勘定についてタワーレコード在籍時の事例などを使ってわかりやすく書かれています。マーケターの必読書です。

この1~2年でマーケの根底がひっくり返るかもしれない

ウィット
代表取締役
渥美 英紀(担当講座:Webマーケティングの戦略立案BtoB編/Webマーケティングで活用できる生成AI基礎)

BtoBの様々な業界の売上アップ・ブランド強化・営業改善など、200以上のプロジェクトを担当。特にリード獲得や売上アップに高い成功確率を誇り、2009年にノウハウをまとめた『ウェブ営業力』(翔泳社)を執筆。アクセスログ解析システム、メール配信システムなどの開発も手掛けたことから、専門性を生かした"総合的"かつ"現場に根差した"Webマーケティング支援を得意とする。

Q1.初心者マーケターが自身のスキルアップのために意識すべきこと、まず経験したり学んだりすべきことを教えてください。

 ここから1~2年はマーケティングのやり方が根底からひっくり返る可能性がある時期です。

 もし、所属している会社・部門がAIの活用に消極的であれば、ぜひAIを前提とした業務プロセスを意識し、いま行われているワークフローをすべて効率化するつもりで挑んでほしいです。

 話題となった生成AI「ChatGPT」でも本格的にリリースされてからまだ1年。「よーいドン」が始まったばかりで、初心者マーケターだとしても、実務経験は乏しいかもしれませんが、AI活用で社内で一番になれる可能性があります。

 往年の手法を学ぶだけでなく、新しいツールをガンガン活用をしてほしいです。そして、社内のベテランのノウハウと最新のAIのつなぎ役を目指してほしいと思います。

Q2.初心者マーケターが読むべき本を教えてください。

 業務にAIを活用するには、単にツールを使うだけでなく「1.業務プロセスを理解すること」、そして「2.各AIの特性を理解すること」が重要です。

 幅広い業務テーマで、そのための道筋を示してくれます。ぜひ自分の業務に置き換えることをイメージしながら読んでほしいです。

『ChatGPT時代の文系AI人材になる』野口竜司(著)東洋経済新報社 1,760円(税込)
ChatGPT時代の文系AI人材になる
野口竜司(著)東洋経済新報社 1,760円(税込)

ロジカル思考とコミュニケーションが大切

WACUL
執行役員CMO
安藤 健作(担当講座:チャネルの活用方法①メール、SEO)

早稲田大学卒業後、丸井を経て2006年にラクスへ入社。同社でCS組織の立ち上げを行ったのち、マーケティングマネージャに就任。2016年よりメールマーケティングサービス「配配メール」の事業責任者となる。メールマーケティングのエバンジェリストとして『現場のプロが教える!BtoBマーケティングの基礎知識』(マイナビ出版)を共著で出版。2022年7月よりWACULにジョインし、現在は執行役員CMOを務める。

Q1.初心者マーケターが自身のスキルアップのために意識すべきこと、まず経験したり学んだりすべきことを教えてください。

 マーケティングの世界は、ロジカルシンキングがとても大切です。複雑な課題をシンプルに解き明かしていく考え方を磨くことで、より深い理解が得られるようになります。

 また、スムーズなコミュニケーション能力は、チームとの良好な関係を築くためのカギ。新しい情報は日々更新されているので、知識のアップデートも忘れずに。

 実際に手を動かして得る実践経験は、一番の学びの場。失敗を恐れずにチャレンジしてみましょう。そして、時にはメンターや先輩の温かいアドバイスに耳を傾け、自分の考えを深める時間も大切にしてください。

Q2.初心者マーケターが読むべき本を教えてください。

 『世界一やさしい問題解決の授業』には、問題解決能力を身に付けるための思考法がとても分かりやすく記載されています。

『世界一やさしい問題解決の授業』
世界一やさしい問題解決の授業
渡辺健介(著)ダイヤモンド社 1,320円(税込)

 問題解決能力は生まれ以てしての能力ではなく、訓練次第で誰でも身に付けることができるスキルです。全体で100頁ほどと、とても短い書籍なので、繰り返し読むことでスキルアップの役に立てばと思います。

目指したい人物を見つけて真似てみる

CARTA COMMUNICATIONS
メディアソリューション・ディビジョン 副ディビジョン・マネージャー
小峯 彰仁(担当講座:チャネルの活用方法②SNS、YouTube、LINE)

2006年CCI入社。デジタルメディアプランナーとして経験を積んだ後、広告代理店に出向し、金融系業種の顧客を中心としたアカウントプランナーに。出向から帰任後、プランナーの後任育成ならびに広告配信におけるデータ計測・分析領域に携わり、再び広告代理店に出向。データマーケティング領域でプレイングマネージャーを務める。その後、事業開発部門を経て2022年より現職。自社サービス提供の強化推進を図り奮闘中。

Q1.初心者マーケターが自身のスキルアップのために意識すべきこと、まず経験したり学んだりすべきことを教えてください。

 デジタルマーケティングを取り巻く環境は今もなお急激な速度で進化を続けています。その速く高い波にのまれず乗りこなしていくためには、知的好奇心を高く保ち、自分自身をアップデートし続けなければなりません。

 最初は、職場の上司や先輩、本の著者やセミナー登壇者でもいいので、自身が目指したい人物を見つけて、思考やアウトプットを真似てみるのも良いかもしれません。

 基礎的な用語や仕組みを学んだらどんどん実践の場で経験を積み上げていきましょう。

Q2.初心者マーケターが読むべき本を教えてください。

ネット広告がわかる基本キーワード70』は、デジタル広告に関する用語や仕組みについて、歴史や背景を含めて理解しやすく整理されているので、おすすめです。

『ネット広告がわかる基本キーワード70』
ネット広告がわかる基本キーワード70
株式会社サイバー・コミュニケーションズ(監修)MarkeZine編集部(著)翔泳社 1,980円(税込)

自分の責任で試せる場を用意してみよう

HAPPY ANALYTICS
代表取締役社長
小川 卓(担当講座:Google Analytics 4を活用したサイトのデータ把握と分析)

Webアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパンなどで勤務後、独立。WebサイトのKPI設計、分析、改善を得意とする。ブログ「Real Analytics」を2008年より運営。全国各地での講演は500回を突破。HAPPY ANALYTICS代表取締役、デジタルハリウッド大学院客員教授、Faber Company 取締役 CAO、ウェブ解析士協会顧問。著書に『ウェブ分析レポーティング講座』(翔泳社)など。

Q1.初心者マーケターが自身のスキルアップのために意識すべきこと、まず経験したり学んだりすべきことを教えてください。

 自分の責任で様々な施策が実践できる場を用意することが大切です。会社のサイトであればベストですが、難しい場合は自分でウェブサイト、ブログ、ソーシャルメディアを運営してみるのも良いでしょう。

 その中で無料~少額でできる様々な施策にチャレンジして、訪問数やコンバージョン数の目標なんかを決めてみましょう。実践していく中で、必要な知識が出てくるので、その時にMarkeZine Academyの場や書籍などを通じて活かせる情報を優先的に得ていきましょう。

Q2.初心者マーケターが読むべき本を教えてください。

 「マーケティング」を体系的に学ぶのであれば、以下の2冊がオススメです。

『[改訂4版]グロービスMBAマーケティング』、『コトラーのH2Hマーケティング 「人間中心マーケティング」の理論と実践』
左から
[改訂4版]グロービスMBAマーケティング
グロービス経営大学院(著)ダイヤモンド社 3,080円(税込)
コトラーのH2Hマーケティング 「人間中心マーケティング」の理論と実践
フィリップ・コトラー/ヴァルデマール・ファルチ/ウーヴェ・シュポンホルツ(著)鳥山正博(監訳)KADOKAWA 3,080円(税込)

 「ウェブマーケティング」に関しては、初心者なら『沈黙のWebマーケティング』が入りやすい1冊かなと思います。既にウェブマーケティング的な取り組みを一部行っている場合は、常識を考え直すという観点から 『デジタルマーケティングの定石』がオススメです。

『沈黙のWebマーケティング —Webマーケッター ボーンの逆襲—アップデート・エディション』、『デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?』
左から
沈黙のWebマーケティング —Webマーケッター ボーンの逆襲—アップデート・エディション
松尾茂起(著)エムディエヌコーポレーション 2,420円(税込)
デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?
垣内勇威(著)日本実業出版社 2,420円(税込)

 ウェブマーケティングと改善方法を学びたい場合は、拙書ですが以下をオススメします。

『現場のプロがやさしく書いたWebサイトの分析・改善の教科書【改訂3版 GA4対応】』
現場のプロがやさしく書いたWebサイトの分析・改善の教科書【改訂3版 GA4対応】
小川卓(著)マイナビ出版 3,399円(税込)

コミュニケーションが成長の鍵

ロフトワーク
マーケティングDiv
長野 彩乃(担当講座:UI/UX改善の基本)

大学院ではデザイン科学を専攻。音声対話システムの体験など、UXに基づいたサービスやデザインの研究を行う。UXデザインの考え方を用いてビジネス分野での課題解決に取り組むべく、2018年ロフトワークに入社。様々なCMSを利用したWeb案件を担当し、サイト運用の知見を高める。2021年からはマーケティングチームに所属。オウンドメディアの定量・定性分析や、改修をメインに担当している。

Q1.初心者マーケターが自身のスキルアップのために意識すべきこと、まず経験したり学んだりすべきことを教えてください。

 マーケティングの知識や技術はもちろんですが、私が苦戦したのは関係者とのコミュニケーションや進行です。技術については講座や社内の先輩から学べますが、コミュニケーションの進め方を学ぶ機会が実は抜けがち。しかし、関係者や確認ルートを把握し、コミュニケーションの基盤が早く安定すると、スキルアップの時間を確保しやすくなると思います。

 今はマーケティングの講座や本が多く存在します。勉強しようと思えば手段はいくらでもありますが「今自分に何が必要か?」を見極めるために、実践の機会を小さいサイクルで多くつくるようにしました。そこで必要だと思ったことを勉強する──このサイクルを今も繰り返しています。

Q2.初心者マーケターが読むべき本を教えてください。

 Webサイトを改修しようとしたときに、一人で完結できる人はほぼいないと思います。企画を一緒に考える人、企画や設計を承認する人、デザインを作ってくれる人、Webサイトにデザインを実装してくれる人など、多くの関係者がいます。

 Webサイトの改修と聞くと、最初に小難しい専門的な勉強に走りがちですが、ご紹介する本では基本的な用語から進行管理、サイト設計の方法まで全体的に勉強することができます。「まず何から勉強しよう……?」と悩んでいる人の一歩目としてもお薦めですし、慣れてきた人が読んでも自身がうまくいっていないところを集中的に勉強できると思います。

『Webディレクションの新・標準ルール 改訂第3版 リモート時代の最新ワークフローとマネジメント』
Webディレクションの新・標準ルール 改訂第3版 リモート時代の最新ワークフローとマネジメント
タナカミノル、滝川洋平、岸正也、栄前田勝太郎(共著)エムディエヌコーポレーション 2,530円(税込)

マーケティングは「大きな山」

グロースX
マーケティングマネージャー
松本 健太郎(担当講座:効果測定のためのデータ分析力)

龍谷大学法学部卒業後、業務を通じてデータサイエンスの重要性を痛感し、大学院で統計学・データサイエンスを“学び直し”。デジタルマーケティングや消費者インサイトの分析業務などに携わり、定性データと定量データ両方の分析に精通する。2020年3月にJX通信社に入社し、マーケティングを統括。2023年1月より現職。

Q1.初心者マーケターが自身のスキルアップのために意識すべきこと、まず経験したり学んだりすべきことを教えてください。

 マーケティングは、大きな山のようなものです。道は多くどこからでも登れますが、先人達が登っている整備された道、誰も足を踏み入れていない未開の道など、道の種類は様々です。「難しいなあ……」「よくわからないなぁ……」と感じても、それは舗装されていない道だからかもしれません。「諦めよう」とは思わないでください。

 手っ取り早いのは「守破離」の発想です。まずは先人の思考・技術を貪欲にインストールし、自社なり・自分なりの手法に染めてください。書籍を読む、講演に参加する、仲間を見つける。そこで得られた知見・知識を実践し続ければ、次第に「こうすれば良さそう」と自分なりの法則が生まれてくるはずです。

 経験を積めば積むほど法則に厚みが増し、自分がいつの間にか未開の道を歩み始めたと気付きます。でも、最初に感じたような「難しい」「わからない」という不安は消えているはず。

Q2.初心者マーケターが読むべき本を教えてください。

 かつて、井上ひさしさんは言いました。「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」

 マーケティングの勉強を始めよう!そう思っても、難しい書籍が多いです。アカデミック過ぎて、今の仕事に活かせるイメージが湧かない。かと言って、アクセス解析機能の使い方を知るだけじゃ、業務を動かせない。難しい内容を易しく、しかし深く学びたい。

 私が紹介したい書籍は、デジタル時代のマーケティングを、業務として実行に移すために欠かせない「実行力」が学べる3冊です。全体を俯瞰しつつも、マーケティング思考、概算力、目利き力、行動力、数理力、修正力など、実務に欠かせない力が身に付きます。

松本さんお薦め書籍
左から
マンガでわかる デジタルマーケティング
西井敏恭(著)池田書店 1,320円(税込)
マンガでわかる 新しいマーケティング 一人の顧客分析からアイデアをつくる方法
西口一希(著)池田書店 1,430円(税込)
マンガでわかる 数式なしのデータ分析
松本健太郎(著)オーム社 2,640円(税込)

人間の価値を発揮するために

DataSign
代表取締役社長
太田 祐一(担当講座:顧客データの保護と活用)

企業主体でパーソナルデータを活用するシステムを開発してきたが、個人がコントロールできない不透明な状態でのデータ収集・活用に限界を感じ、データ活用の透明性確保と個人を中心とした公正なデータ流通を実現するためDataSignを設立。パーソナルデータ管理サービスやプライバシー保護サービスの開発・提供を行う。内閣官房 デジタル市場競争本部Trusted Web推進協議会 委員などを務める。

Q1.初心者マーケターが自身のスキルアップのために意識すべきこと、まず経験したり学んだりすべきことを教えてください。

一般的な話になってしまいますが、以下を意識して行動することがスキルアップにつながると思います。

  • とにかくチャレンジをすること
  • すぐに行動すること
  • 常にアンテナを張っておくこと
  • 一次情報に触れること
  • 誰がなぜその情報を発信しているかを意識すること
  • 物事の因果と相関を意識すること

 これらを意識していれば、経験値が上がり、学ぶことも多くなり、"人間"としての価値をより発揮できるようになると思います。

 今までは誰かのマネをして施策を実行していれば、それなりに結果が出せたかもしれませんが、その役割は今やAIが急速に代替しています。既に存在している二次情報を継ぎ接ぎするのではなく、自ら考え、チャレンジングに行動していく姿勢が求められていると思います。

Q2.初心者マーケターが読むべき本を教えてください。

10年前の書籍ですが、まさに今アテンションエコノミーからインテンションエコノミーへの変革の時期に差し掛かっていると思います。企業中心の経済から顧客中心の経済に移行し、本書の中ではCRMからVRM(Vendor Relationship Management)へと、マーケティングの手法が変化していくことが予想されています。

欧州を中心とした法規制や、米国のプラットフォーマーによる制限など、個人(顧客)の権利が強化されていく先には、これまでとは違うマーケティングが求められます。その答えがVRMとは限らないですが、現在のマーケティングの課題やインテンションエコノミーへ移行していく背景を理解することで、従来とは違った視点からマーケティング施策を実践していくためのヒントが得られると思います。

太田さんお薦め書籍
インテンション・エコノミー 顧客が支配する経済
ドク・サールズ(著)栗原潔(訳)翔泳社 2,420円(税込)

9名の講師からマーケティングの基礎を直接学んでみませんか?

「2日で分かるWebマーケティング基礎講座」は、Webマーケティングの幅広い知識を体系的・総合的に学べるセミナーです。概論や戦略だけでなく、目の前の業務に直結する戦術についても解説しているため、マーケターとしての第一歩にピッタリ!2日間10コマの集中プログラムで、広い視野と現場での実践スキルを一気に身に付けられます。

■開催日時
12月6日(水)~7日(木)10:00~16:50

■開催形式
リアル

■開催場所
〒160-0006 東京都新宿区舟町5 株式会社翔泳社1F セミナールーム

■参加料
101,200円(税込)

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/43867