再現性あるブランドマーケティング施策のため、リクルートが取った打ち手とは
次に会津氏は、ホットペッパービューティーの施策ポートフォリオを紹介した上で、テレビCMとWeb動画の連動およびタイアップ施策について説明した。
ポートフォリオでは、コミュニケーションの重視点と訴求内容の力点の観点から施策をマッピング。「コミュニケーション」軸ではリーチの広さを重視した施策なのか、コミュニケーションの深さを重視した施策なのかに分類し、「訴求内容」軸では価値の訴求(下記画像ではKBFと表記)に力点を置いているのか、ブランド好意を上げることに力点を置いているのかで分類する。その中からターゲットに対して複数の施策を展開していくのだ。

テレビCMクリエイティブの制作の際、「提案される企画案に納得感が持てない」「どの企画案が目的に対して最適なのか判断できない」「成果をナレッジとして抽象化できてない結果、知見を蓄積していけない」などの課題を感じていたという。
その打ち手として取り組んだ具体策は3つ。1つ目は検証設計の精緻化だ。クリエイティブ制作の企画前に、半年~年間で「いつ何を検証し、成果をどの指標で判断し、知見をどこの施策(下記画像ではCPと表記)に接続するのか」のPDCAサイクルを事前に精緻化しておくようにした。

「一回限りの結果」で終わらないための工夫
2つ目は、企画の段階で構造を整理することだ。まずリクルート側でクリエイティブ要素を構造整理し、広告代理店に依頼する際に必要な要素を伝え、目的を満たすパターンを網羅的に提案してもらうようにした。これにより、与件を満たす論拠を広告代理店から示してもらい、論理的納得感の高い企画案に絞り込んでいる。

3つ目はVコン(ビデオコンテ)リサーチによる定量的意思決定だ。まず企画のVコンをターゲットに視聴してもらい、定量評価を取得する。定量での効果観点と定性のリスク評価でコメントを集め、最終企画案を決定。制作側の主観を除いた意思決定を行うのがポイントだ。

「マーケティング施策として一回限りの結果で終わらないように、再現性高く成果が出る状態を目指しています。アイデアにとどまるのでなく、データや論理を駆使して、再現性を担保することを徹底しています」(会津氏)
