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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

田中洋が紐解く、ビジネス成功のキーファクター

歴史は繰り返す?今年春に起きたバド・ライトの大炎上など、ルース氏が提示した5つの最新マーケトピックス

原点回帰でCXに注力する動きが、新たな役職「CEX」を作る企業も

ルース:あと2つトピックスを挙げたいと思います。一つはCX(顧客経験)です。この考えは、田中先生の心に響くはずですよ。ブランド価値についてですから。

 先生は、どのようにしてブランドの価値が創造されていくとお考えですか? 私はCXがブランド価値を引き上げるというのが、セオリーとして一つあると考えています。

 CXとなり得るタッチポイントは、無数にあります。コールセンター、広告、ウェブサイト、SNSのほか、友人がそのプロダクトなりサービスについて話していたこともそうですし、パッケージをあけて使ったその瞬間など、あらゆる接点がCXとなり得ます。

 昔、ほとんどのマーケターは、「私は広告の担当なんだよね。コールセンターは私の担当じゃないし、なにもわからないよ」「プロダクトにおかしなものが入っていても、私は何にもできないよ。広告担当だから」と言っていたはずです。

 ですが、今はそうも言っていられません。実際に、いくつかの企業はChief Experience Officerを職業として置き始めています。その人は、「工場担当の皆さん、顧客から箱が空けにくかったという声が入っています」「コールセンターの皆さん、対応が悪かったというクレームが入っています」などと、チームのみんなに共有していく役割があります。結局は、こうした活動こそがマーケティングをより戦略的で、よりインパクトのあるものにする方法なのではないでしょうか。

田中:CXもずっと前からある考え方ですが、改めてより重要な論点になってきているということでしょうか。

ルース:エグゼクティブが、その重要性に気づき始めているのだと思います。会社の中でもCXを管理し、ここに投資をし始めています。

ブランドへの信頼が瞬時に失われる時代

ルース:5つ目のトピックスは「信頼と本物性」です。消費者は、自分たちが信頼している会社から買い物をしたいと思っています。これも新しい考えではありませんが、SNSやデジタルの発達により、信頼は以前より築きやすく、また壊れやすくもなりました

 私が紹介できるのは、今年の4月にビールのバド・ライト(Bud Light)に起きた大問題です。バド・ライトといえば、アメリカで一番売れているビールブランドの一つです。売上シェアも2023年3月までナンバーワンでした。ですが、今年の春に行ったキャンペーンが大炎上し、バト・ライトは25%もの売上をわずか数週間で失っています。アメリカで一番大きなビールブランドであったにもかかわらずです。これにはびっくりでした。

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バド・ライトの大炎上はどこに問題があったのか?

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この記事の著者

田中 洋(タナカ ヒロシ)

中央大学名誉教授。東京大学経済学部講師。京都大学博士(経済学)。マーケティング論専攻。電通で21年実務を経験したのち、法政大学経営学部教授、コロンビア大学客員研究員、中央大学大学院ビジネススクール教授などを経て現職。日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長を歴任。『ブランド戦略論』(2017年、有斐閣...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/10 09:30 https://markezine.jp/article/detail/43907

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