SHIBUYA109 lab.は、独自ネットワークSHIBUYA109 lab. MATEに所属する15~24歳の女性を対象に実施した2023年トレンド調査の結果を発表した。
2023年は「カフェ・グルメ部門」「アーティスト部門」「ヒト部門」「コンテンツ部門」 「SNSコンテンツ部門」「コスメ・スキンケア部門」「ファッション部門」「体験部門」の全8部門にて大賞を決定。なお、ノミネート候補は、23人の高校生・大学生と選定している。
【カフェ・グルメ部門】片手で食べれるワンハンドフードに注目
2022年よりも外出が増えたことから、最近では、ワンハンドフードのトレンドが増加傾向にある。また、記録的猛暑で日中の外出を控えていたこともあり、夜ゆっくり過ごせるカフェが話題になったことが今年の特徴として見られる。
1位 10円パン
10円型のパンの中にモッツァレラチーズが入っており、中のチーズが長く伸びるパン。発祥は韓国の「10ウォンパン」で、日本上陸時に10円のデザインにアレンジされトレンドとなった。大胆なデザインと、チーズが伸びる様子が写真・動画映えするために人気。
2位 ライスペーパー
生春巻きによく用いられる、米粉などを原料として作られたシート状の皮。「ライスペーパーネキ」の愛称で親しまれるTikTokクリエイターのみかさん(@rizap58)のアレンジ動画がきっかけで、自宅で作るライスペーパーアレンジが話題になった。
3位 夜カフェ
夜遅くまで営業しているカフェ。夜にお酒だけではなくカフェメニューも楽しめることが魅力で、夜ならではのロマンチックでゆっくりした時間を過ごせる空間演出もトレンドの理由として挙がった。
【アーティスト部門】ショート動画に多様されたアーティストが人気
ノミネートには邦楽・アイドル・K-POPなど幅広いアーティストが挙がったが、昨年に引き続き、TikTokを中心にSNSで投稿されるショート動画の挿入歌として多く使用されたアーティストが多数ランクインする結果となった。
1位 新しい学校のリーダーズ
セーラー服が特徴の4人組ダンスボーカルユニット。2020年5月にリリースされた楽曲「オトナブルー」の首振りダンスがトレンドとなった。
2位 NewJeans
2022年7月にデビューした、韓国の5人組ガールズグループ。従来のK-POPにとらわれない音楽と特徴的なスタイリングで、K-POPの新たなアイコンとなった。
3位 女王蜂
2011年にデビューした3人組ロックバンド。楽曲「メフィスト」がテレビアニメ「【推しの子】」のエンディング主題歌にも起用され、話題になった。
また、同バンドのボーカル、アヴちゃんがプロデューサーを務めたスクール型オーディション番組「0年0組-アヴちゃんの教室-」で自身が披露した「バイオレンス」も、切り抜き動画としてトレンドになった。
【ヒト部門】共通点は特定の界隈を超えてシェアされる「界隈突破力」
2022年同様、SNSを中心に活躍しているクリエイターや芸人、俳優、スポーツ選手と、様々なバックグラウンドを持つ人が選出された。ノミネートには、Vtuberも入っており、年々注目される人の多様化が進んでいるのが特徴的。ランクインした人たちの共通点は「界隈突破力」。特定の界隈(ファッションのテイストや共通の趣味やカルチャー、好きな世界観を軸にしたゆるいクラスタ)での支持を集めるだけでなく、界隈を超えてSNSで拡散され、話題になることでランクインにつながった。
1位 ちょんまげ小僧
6人組中学生YouTuberグループ。メンバーの奇抜な名前や、「ひき肉です!」という独特なあいさつが話題になった。
2位 大谷翔平
MLBのロサンゼルス・エンゼルスに所属する、岩手県出身のプロ野球選手。2023年3月に開催された「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」では、投打二刀流として世界中での注目を集め、普段野球観戦をしない日本の若者間でも話題になった。
3位 やす子
ソニー・ミュージックアーティスツに所属しているピン芸人および即応予備自衛官。「はい~」という独特な返事がまねしやすく、おっちょこちょいで謙虚なキャラクターが魅力。楽曲制作をしてSNSに投稿をしており、音楽好きな若者の間でも話題になっている。
【コンテンツ部門】ショート動画での接点から知らない人にも拡散されトレンド化
2023年は新たなSNSが複数登場し、ノミネートにも多く挙がった。特に気心の知れた友達とだけ限定的に共有することを目的としたSNSが多く、コロナ禍で変化したZ世代のコミュニティーに対する意識が反映されている。
アニメ・映画などのコンテンツについては、ショート動画を中心に、劇中挿入歌や切り抜き動画との接点からコンテンツを詳しく知らない人たちにも楽しまれ、トレンドになる流れが定番化している。
1位 アニメ「【推しの子】」
2023年4月から6月まで放送された、漫画のアニメ化作品。YOASOBIが歌う主題歌「アイドル」がヒットし、ダンスや歌ってみたなど、SNSで様々な楽しみ方が広がった。
2位 BeReal.
1日1回、特定の時刻に届く通知から写真をその場で撮影し投稿するSNS。「加工しない」ありのままの姿を友人に共有できることから、リアルな自分の生活を共有し合えると話題化。他のSNSと異なり加工機能がないため、等身大の自分を共有できる相手とだけのつながりを楽しむ使い方が特徴として見られる。
3位 んぽちゃむ
人気クリエイター「可哀想に!」が描いたキャラクターであるヨーグルトの妖精。個性的な作画とストーリーが話題になった。同クリエイターによる「おぱんちゅうさぎ」と同様、頑張り屋さんだけれど報われず、けなげなキャラクターが魅力的で、日常会話の中で、んぽちゃむの話し方をまねするという楽しみ方も見られる。
【SNSコンテンツ部門】ポイントは「汎用(はんよう)性」と「アレンジの余白」
2023年のコンテンツトレンドは、流動性が非常に高いのが特徴的。イラストやアバターなどの生成AIを活用したものも台頭し、定期的に話題になった。
ランクインしたSNSコンテンツの共通点は、「汎用(はんよう)性があること」と「アレンジが加えられる余白があること」が要素として挙がる。日常生活で活用できる言葉であるだけなく、ショート動画の構成フォーマットとセットで拡散されていることもポイント。
1位 ひき肉ポーズ
中学生YouTuber「ちょんまげ小僧」のメンバーである「ひき肉」が冒頭のあいさつで披露するポーズ。あいさつが音源化されダンス動画に使われたり、スポーツ界やアイドルの間でも決めポーズとしてまねされたりしたことで広がりを見せている。
2位 なぁぜなぁぜ?
フォロワー10万人越えのキャバ嬢・桃園ありさが投稿した動画が元ネタのフレーズ。疑問に感じていることや理不尽なことをかわいくネタにするフォーマットとして人気になった。
3位 蛙化現象
本来は「好きな相手から好意を示されると嫌悪感を抱く」という現象を表した言葉が、「好きな人の行動で気持ちが冷めてしまった」という意味に変化して使用されている言葉。多くのインフルエンサーが蛙化現象の実例を投稿したことで話題となった。また、蛙化現象と対になる形で、好きな人のどのような行動でも良く見える「蛇化現象」など、派生したトレンドも生まれている。
【コスメ・スキンケア部門】キーワードは「透明感」と「瑞々しさ」がキーワード
昨年に引き続き人気のヘアケアや目元メークのアイテムのほか、「ネイル」のトレンドが多く挙げられていることが特徴。カフェや推し活で手元の撮影が増えていることや個性を出しやすいことが背景にあると考えられる。
1位 レイヤーカット
髪の毛に段差をつけたヘアスタイル。近年韓国のアイドルを中心に顔周りに段差を付けたスタイルが流行。それが日本でもトレンドスタイルとして話題になった。SNSでは「レイヤーカットの注文方法」などが多く検索された。
2位 リファハートブラシ
美容ブランド「ReFa」から発売された、ハート型が特徴のヘアブラシ。見た目の高級感と髪の毛の絡まりを簡単にほぐせる機能性が話題になった。SNSでは、「プレゼントにおすすめの品」と紹介されることも多く、友人へのプレゼント用として購入している人も多く見受けられる。
【ファッション部門】引き続きY2Kに注目が集まる
好きな世界観に合わせたファッションを楽しんでいるZ世代。2023年も「水色界隈」「天使界隈」「海外ガール」など新たな世界観を持った「界隈」が登場したが、2022年に引き続きY2Kファッション(2000年ごろに流行したファッションスタイル)を楽しむ姿が特徴となった。また、これまでのトレンド大賞のノミネートと比較すると、特定のハイブランドアイテムが挙げられるようになってきた。
従来ブランド全般に対するこだわりが低い傾向にあるZ世代による、ファッションの楽しみ方に対しての新しい兆しが見られるようになってきた。
1位 カーゴパンツ
膝上の左右に大きなポケットが付いており、ダボっとしたシルエットが特徴のパンツ。Y2Kファッションの流行で再度注目を集め、ホワイトやピンクなど、ガーリーコーデにも使いやすいカラーやデザインの商品が増えたため、ファッションのテイストを問わず取り入れられるアイテムとなった。
2位 ヘッドホンコーデ
コーディネートのアクセントとして、ヘッドホンを取り入れたコーデ。K-POPアイドルがファッションアイテムとして取り入れたことがきっかけとなり、音楽を聴くだけでなく、首から提げることでアクセサリー代わりにもなる点が注目を集めた。
3位 パフィーサンダル
ぷっくりとしたデザインが特徴のボリューム感のあるサンダル。UGGのアイテムがきっかけとなり、トレンドとなった。ソールや甲ベルトがふかふかしているため、履き心地の良さと歩きやすさを兼ねそろえている点が人気となっている。
【体験部門】重要なのは「没入感」 ”エモコンテンツ”注目が集まる
ハンドメイド体験など「ひと手間」を楽しむ体験や、写真・動画映えする展示会や美術館は引き続き人気だが、今年は体験の「没入感」をより重視する傾向が見られた。
また、Z世代が子どものころに楽しんでいたコンテンツのカフェなども多く展開されたことから、“エモコンテンツ”への消費も活発に見られた。
1位 ガチャガチャ
何が出てくるかわからないドキドキ感が魅力のガチャガチャ。景品をゲットするプロセスだけでなく、お気に入りのガチャガチャをカラビナやクリアマルチケースにまとめて、バッグやパンツのベルトループにつけてコーディネートの一部として楽しむスタイルもトレンドとなった。
2位 友達がやってるカフェ/バー
店員が客の友達という設定で接客してするカフェ。「いつも飲んでるやつ」など、お店の世界観に入り込めるメニューや、スタッフとのコミュニケーションで、友達のバイト先に遊びにきたかのような感覚が楽しめるなど、体験の没入感が話題を集めた。
3位 ジブリパーク
愛知県の「愛・地球博記念公園」内に誕生したスタジオジブリ作品の世界を表した公園施設。自分がジブリの世界に入ったかのような体験ができることでトレンドとなった。
最新の動向として、Z世代は消費において「本物であること」を重視する傾向が見られた。より信憑性の高い情報を得るために、画像よりもさらにリアルな情報を得られるショート動画での情報収集が主流になりつつある。それに加えて、これまでも活発に行われていた「体験消費」も、空間の演出に加えストーリー性も楽しまれるようになり、その世界観にだけ集中できる「没入感」のある体験が求められ始めている。
情報収集のスキルも、体験の経験値も高いZ世代に対してアプローチするには、企業の真摯(しんし)な姿勢がより重視されることが予想される。
【調査概要】
方法:WEBでのアンケート調査(独自コミュニティーSHIBUYA109 lab. MATEによる回答)
期間:2023年9~10月
対象:around20(15歳~24歳)女性
有効回答数:n=510
調査実施・分析:SHIBUYA109 lab.(運営:SHIBUYA109エンタテイメント)
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