5.チャネル別の集客スケジュール設計

4つ目のステップのように予算や過去の実績、ターゲットごとの集客目標などを加味して各集客チャネルの目標数を決定したら、チャネル別に週単位で集客の目標数、スケジュールを設定します。
週単位の目標は均等に割り振るのではなく、各チャネルの施策スケジュールや傾向に合わせて決定します。たとえばメルマガであれば、多く配信する週は目標数を高くし、配信が少ない週は低くする、会期直前は駆け込みの申し込みが増えるため目標数を多めにする、などです。
当社の場合、これらの傾向は過去に開催したイベントのデータを活用し、チャネルごとの集客推移を分析し、そのデータと照らし合わせて目標数を設定します。
過去の実績を見ても集客チャネルごとに推移は異なるため、単純に全体の申し込み数の目標だけ立てても、途中経過における進捗状況の良し悪しの判断はできません。週単位で目標を設定することで、見込みとのずれを早期に把握し、適切なリカバリー施策を打つことが可能となります。
初めてのイベント開催で過去のデータがなく設計が難しい場合は、外部メディアや広告代理店に該当メディアにおける時系列での申し込み傾向をヒアリングし、それに合わせて設計する対策をとると良いでしょう。

集客開始後の効果測定と改善
前項までのような手順で集客を行うことで、当社の「updata」では毎年目標を上回る集客数を得ることができています。綿密な計画を実行したことはもちろん、集客開始後の効果測定と改善も成功への大きな役割を果たしました。計画しておしまいではなくその後も進捗を追い、リカバリーを行ったのです。
まず実施したのは、チャネルごとの集客状況の可視化です。申し込みページのURLにチャネル別のパラメーターを付与し、チャネル別の集客状況を自動集計できるようにしました。
そうやって集めた測定データを当社のBIツール「MotionBoard」にて可視化し、昨年比の集客推移やチャネル別の集客状況をダッシュボード化して、進捗状況と目標とのギャップをわかりやすく確認できるようにしました。
そして、「MotionBoard」とチャットツールを連携させ、botで集客状況を毎日投稿することにより、全社を巻き込み集客を盛り上げていきました。


このようにグラフ化すると直感的に進捗が良いか悪いかを判断することができるため、メンバー間でスピーディーにコンセンサスがとれるようになります。そして、データを見て自ずとアラートが出ますし、素早いリカバリーにつなげていくことができるのです。

リカバリーは、上記のように各チャネル別に改善ポイントの詳細な分析を行い、分析結果をもとに施策を立案、実行していきました。
低コストでできるリカバリー施策が「申し込みフォーム」の改善です。申し込みフォームがわかりにくいと離脱してしまう人が多いため、改善することが申し込み数を増やすことに直結します。申し込みフォームが自社サイト上にある場合はコストをかけずに変更できるため、テコ入れしやすい箇所でもあります。たとえば、申し込みフォームの隣にイベント情報を掲載するだけで、申し込みフォームの完了率が前回開催時の1.5倍以上になりました。
その他にも、クリック率が良いメルマガのタイトルや文面を真似する、逆にクリック率が悪いメルマガは文面を変えて送り直す、クリック率の高いバナー広告の出稿を増やす、バナーのデザインを変更するなど、集客期間中にも様々なデータを分析することにより改善策を導き出し、リカバリーしていくことによって集客数を積み上げていきました。データを可視化することによって、次のアクションに素早くつなげることが、成功の鍵といえると思います。
今回は、イベントの目的・セッション企画、そして集客設計から集客期間中のデータ活用についてお話しました。次回は、イベントの開催中、およびイベント終了後のデータの収集や活用法について解説していきます。