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電通に聞く、コネクテッドTV活用最前線!テレビCMとデジタル広告、双方の課題に対する新たな一手に

 インターネット動画配信の普及が進み、テレビの画面で動画を楽しむコネクテッドTV(CTV)が広がりを見せている。マーケティング領域では、テレビCMやデジタル広告とは異なる新たな選択肢として注目が高まる媒体だ。本記事ではMarkeZine編集長の安成が、企業のCTV活用支援に携わる電通デジタルの篭島氏、電通の池田氏と横野氏にインタビュー。CTVに広告出稿を行うメリットや今後の可能性について伺った。

国内利用者数3,000万人を超えるCTV

安成:企業のデジタルマーケティング課題が多様化する中、急速に進化しているCTVは注目の領域です。現在、期待を寄せる企業も多いのではないでしょうか。

篭島:関心の高まりを強く感じていますね。CTVを活用すれば、デジタル広告の手法を使いながらテレビ画面に動画広告を出すことができます。この仕組みはとても画期的です。

安成:テレビCMとデジタル広告は計測する指標が異なるため、統合的なマーケティング戦略が長年の課題でした。CTVにはその解決も期待されていますが、実際に普及はどの程度進んでいるのですか。

池田:現在、日本のCTV利用率は4割弱で、利用者数は3,000万人を超えています。近年はテレビリモコンにネット動画のボタンが付いたり、サッカーのワールドカップやワールド・ベースボール・クラシックなど注目度が高いコンテンツが配信されたりという背景から、普及率が上昇しています。また利用者の内訳を見ると、年齢層や地域の偏りはほとんどありません。

篭島:YouTube広告において、電通デジタルでは約3割がテレビ画面への配信になっています。場合によっては5割~7割に至るケースもあります。2年前はわずか1割未満でしたから、急速に増えている様子がわかります。

株式会社電通デジタル 執行役員 篭島俊亮氏 電通でテレビ支援を経てメディアプランナーに。2021年からは電通デジタルで主にマーケティングコミュニケーション領域を担当。
株式会社電通デジタル 執行役員 篭島俊亮氏
電通でテレビ支援を経てメディアプランナーに。
2021年からは電通デジタルで主にメディア&コミュニケーション領域を担当。

安成:企業はどのようにCTVを活用し始めているのでしょうか。

横野:一言でいえば、広告ROIの向上を目的に活用するというケースが多いですが、最初から統合的なマーケティング設計が行われるというわけではなく、そこを目指して広告効果の検証や実験からスタートしている企業が多い印象です。企業によって違いはもちろんありますが、個別の媒体でいうと、YouTubeやTVer、ABEMAなどが多くのケースで活用されています。

記憶に残りやすく、専念視聴されやすい!CTVの広告効果

安成:CTVはテレビCMとデジタル広告の“良いとこ取り”ができるといわれますが、どのような広告効果が期待できるのでしょうか。

池田:CTVは「専念視聴割合」と「共視聴人数」、2つの点でメリットがあります。専念視聴割合とは、“ながら視聴”をすることなくユーザーが画面に視線を向けている割合です。この指標では、地上波のテレビ番組よりも高い数字が出るケースも多いです。CTVでは好きなコンテンツを選んで視聴するため、しっかりと見る傾向が強いようです。共視聴人数は、一人ではなく誰かと一緒に見ているかを示す指標です。これも、サービスによってはテレビを上回る数字が出ています。

 結果として、広告の内容を視聴者の記憶に残すストック効果や、検索やWebサイト訪問などの行動を喚起するフロー効果がCTVでは期待できるといえます。

株式会社電通 第2統合ソリューション局 コネクションプランニング1部 部長 池田純一氏 電通でマーケティングプランナーや営業、メディアプランナーを経験した後、ソリューションディレクターとして企業の統合ソリューションを提案・支援。CTVの社内啓蒙組織にも所属している。
株式会社電通 第2統合ソリューション局 コネクションプランニング1部 部長 池田純一氏
マーケティングプランナーや営業、メディアプランナーを経験した後、ソリューションディレクターとして企業の統合ソリューションを提案・支援。
CTVの社内啓発チームにも所属している。

篭島:CTVはデジタル広告と同じ手法で配信できるため、ターゲティングやクリエイティブの差し替えも自由に行えます。一つのクリエイティブを多くの人に届けることに価値があるテレビCMとは、使い方が異なるのです。

安成:新たにCTVを活用する企業は、どのような期待を持っているのですか。

篭島:デジタル広告を中心に展開しているが、スマホの広告だけだとなかなか認知が広がらず、課題感を抱える企業の関心は高いです。CTVであればテレビCMに踏み切れなくても、慣れ親しんだデジタル広告の方法でテレビ画面の広告を試すことができます。そこで高い効果が出ればテレビCMの出稿に発展するなど、マーケティングの引き出しを増やすきっかけとしての役割もCTVには期待できます。

テレビCMにないCTVの魅力「フットワークの軽さ」とは?

安成:一方で、テレビCMを出稿してきた企業目線ではいかがですか。

池田:テレビの大型画面を通じたコミュニケーション効果は他のデバイスでは補えません。テレビの視聴量が減少傾向にある実態を受け、それを補う選択肢としてCTVを検討する企業が増えています。

 また若年層へのリーチが課題となる企業にとっては、ターゲティングがしやすいCTVを活用することで、強化したい層に狙いを定めてコミュニケーションできます。出稿量などの軌道修正もしやすいので、CTVはテレビCMに比べフットワークが軽いメディアです。

篭島:数パターンのクリエイティブを試して、テレビ画面において効果的なものがわかれば、テレビCMにも活用できます。以前はローカル局でCMのテストを行うケースが多かったのですが、今はCTVで試す手法も増えています。

安成:実際にCTVで広告出稿を行う場合にどんな課題が存在し、どういったことがポイントになるのでしょうか。

横野:CTVに限らず新しいメディアを活用する時は、どのくらいの効果が見込めるのか、社内でも説明が求められます。そのため、仮説を立てて検証しメカニズムを明らかにするステップが必要となり、仮説と検証の設計を個別にカスタマイズして進めることが重要になります。

株式会社電通 第1統合ソリューション局 コネクションプランニング2部 シニア・ソリューション・ディレクター 横野芳弥氏 電通に入社後、長くメディアプランニングを担当。その効果検証やツール開発にも携わっている。
株式会社電通 第1統合ソリューション局 コネクションプランニング2部
シニア・ソリューション・ディレクター 横野芳弥氏

電通に入社後、長くメディアプランニングを担当。その効果検証やツール開発にも携わっている。

篭島:多くの企業が、テレビとデジタルで組織が分かれているかと思います。CTVを活用する際は、両方の部署をまたいだメディアプランニングや効果検証も必要になってきます。

安成:ユーザー目線では地上波もCTVも区別せず同じコンテンツと見なしますから、施策の一貫性があるかどうかも大切ですよね。

CTVを含めたメディアプランニングや効果検証を実現

安成:まずはメディアプランニングについて、伺っていきます。電通のプランニングツール「クロスメディア・プランナー」がCTV配信のシミュレーションにも対応したというリリースが先日(2023年11月)出ていましたね。

池田:クロスメディア・プランナーは、リーチ基準でプランニングする際に、適切な予算配分を行うツールです。テレビデバイス内で広告予算を最適化したいというニーズに応えるため、TVer、YouTube、地上波テレビCMの3つにおいて最適な出稿プランの作成が可能になりました。

 トータルリーチ最大化を目的としたプランニングはどのような商材でも重要です。クロスメディア・プランナーはターゲットを自由に設定して集計できる仕組みのため、ターゲットに応じた適切な予算配分がわかります。あらかじめ特定の配分比率を決めてリーチを検証することも可能です。

 このようなシミュレーションをしないと、効果検証調査のサンプル数を確保するために出稿量を調整する事態に陥りかねません。「生活者にどれだけの効果をもたらすか」という根拠に基づいて、適切な予算バランスを決められるツールがクロスメディア・プランナーなのです。

安成:効果検証についてはどうですか。

池田:出稿データとレスポンスデータ(Webサイト来訪、自然検索など)を紐付けて検証する効果検証ツール「MIEROレスポンスコネクター・ダッシュボード」を当社では提供しています。対象となるメディアには、地上波テレビ、YouTube、TVerの他、新たにABEMAも追加されました。メディアを横断して比較できるだけでなく、どのクリエイティブが最も効果的かを検証することも可能です。

CTVがテレビとデジタルの部署をつなぐきっかけに

安成:デジタル広告ではクリエイティブの効果検証・分析を行うことが普通ですが、テレビCMを中心としてきた企業でも積極的にMIEROレスポンスコネクター・ダッシュボードを使っているのでしょうか。

池田:最近は増えており、特にダイレクト型の保険やゲーム、オンラインサービスなど、オンライン上の行動データをKPIとする企業で多く活用いただいていますね。私たちは出稿期間中も伴走し検証しながら、効果が高いクリエイティブに絞り込んでいます。

篭島:また、テレビとデジタルを統合したプランニングや効果検証が大切だというお話が先ほど出ましたが、両方の部署をまたいだ効果検証やメディアプランの提案も、私たちの知見をもとにスムーズに実行可能です。部署やセクション同士がつながるきっかけにもなれば良いと思っています。

横野:CTVによって、セクションの垣根を越えた取り組みや一体感も生まれるかもしれませんね。テレビ側とデジタル側、お互いの知識が必要になるため、組織間で連携しないと取り組みを進められません。実際、既に統合チームを作って取り組まれている企業様もいます。自社は担当部署が違うからと諦める前に、ぜひご相談いただきたいですね。

CTV活用の広がりが、テレビの進化を後押しする

安成:クリエイティブも含めて、プランニングからコンテンツまで一気通貫で支援できるところが電通の強みだと思います。最後に、CTVの未来像やこれから挑戦したいことを教えてください。

池田:CTVについて様々な立場の人と話すと、消費者の心理変化やレスポンスなどの様々な指標への貢献効果や、ターゲットによる効果の違いなど、テーマの幅が広いと感じます。それだけ魅力が詰まったメディアといえるでしょう。普及率がさらに高まれば、CTVを有効活用できる企業こそがマーケティングをより深化できることにつながると思います。当社では、ぜひそのサポートをしていきたいですね。

横野:CTVは、テレビとデジタルの良いところを併せ持つ、マーケティングにおいて非常に有効なメディアです。効果も少しずつ見えてきて、うまく活用するためのプランニングも日々進化しています。今後は、消費者への強力なコンタクトポイントとして一層機能していくのではないでしょうか。私たちプランナーとしては腕の見せ所ですので、期待してもらえればと思います。

篭島:CTVは、テレビから離れていた人が再びテレビの前に戻るきっかけになります。さらにCTVによるマーケティングが広まることで、テレビCMについても仕組みをアップデートする取り組みが出てきており、テレビ画面上のマーケティング全体が進化していくと考えています。

安成:そうなればCTVへの期待感もさらに高まり、多くの企業が活用できるようになりますね。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社 電通グループ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/12/18 10:00 https://markezine.jp/article/detail/44197