広告主もリテールメディアの価値を再確認すべき
──この1年で、広告主によるリテールメディアの活用も進みましたか?
かなり進んだ実感があります。弊社が支援している範囲内だけでも、出稿額は全体で200%以上伸びています。広告主においては、今、試験的な活用が一通り終わったところも増え始め、1つのキャンペーンにかける予算を大幅に増やす企業もあれば、本格的に使っていくための計画を立てている企業もあるような状況です。
また、最近はメーカー企業の経営層からの依頼で、リテールメディアの使い方について講演をしに行くことも多々あります。こうした動きにあわせて広告予算の取り方にも変化があり、以前は営業部門の小規模予算をリテールメディアにあてるケースが多かったのですが、マーケティング部門の予算も加わってきています。出稿額の増加には、この変化が大きく影響していると言えるでしょう。
──メーカーはどのような目的でリテールメディアを活用することが多いですか?
宣伝マーケティングにおいては、既存の施策がリアル店舗での購買につながっているのか、購買に結びつくクリエイティブの検証をしていきたいという目的が増えています。Cookie規制の問題もありますから、小売企業が持つ1st Partyデータを使えるのであれば、有効に使用してマーケティングの精度を上げたいという考えがあるのでしょう。
一方、営業部門は、リテールメディアから得られるデータを商談にどう使えるかという視点を持たれている方が多いですね。販促か?広告か?の議論があるように、部門によって活用の意図が異なったり、見たい指標やKPIが変わったりするのは自然な流れだと思います。
──最後に、リテールメディアの活用を考えている広告主企業に向けてアドバイスをお願いします。
一緒にPDCAを回せる小売企業と成功モデルを作ることがまずは大事だと思います。ただ、リテールメディアでは、店舗で購買されたかどうかを計測できるので、急に費用対効果を軸に判断してしまう傾向があり、それでは本来のリテールメディアの価値を見誤る可能性もあります。リテールメディアと言っても、今まで活用していた媒体と変わらず運用できるので、従来の配信方法とリテールメディアの違いを理解し、運用していくことが大事だと思います。