習得スキルを可視化して学びの機会を設定
四つ目は、星取表の設定後に行うべきことです。
4.スキルを伸ばすための学びの機会を設ける
まず、メンバーごとに、星取表で設定された各スキルをどうやって身に着けるのか学びの機会を書き出します。

この時に可視化
されやすいのが、置き去りになっている基礎的なビジネススキルです。しばしば、デジマ人材のスキル向上においては、データ分析、マーケティングツール知識などの専門スキル向上に偏りがちです。しかし、クライアントとの関係構築やプロジェクトの推進・マネジメント能力などのビジネススキルは、これらの土台ともなる重要なものです。ビジネススキルを身に付けるために必要な研修やセミナーは少なく、ましてやデジマ人材にマッチした研修はなかなかありません。そのため、必要なスキル習得のために外部の助けをすぐに求めることは避けるべきです。この学びの機会の書き出しでは、図2にあるような企画書のストックといった自社でできる学び方を知ることで、「まずは自社で試してみてそれでももしできなければ外部研修の導入を検討する」など、学び方の選択を段階的に考えやすくなります
成果を可視化して、チーム全体のパフォーマンスを向上
最後に、できあがった星取表の定期的な見直しも忘れてはいけません。
5.星取表の定期的な見直し
星取表を期初めのスキル基準として使用するのではなく、クオーターごとに見直すためのものとして活用していきましょう。これにより、星取表をスキル向上に最大限に役立てられます。また、メンバーが足りないスキルを獲得した際には、シールやスタンプを押すなどしてゲーム感覚にしていくと本人もチームも活性化していきます。
とあるデジマ支援会社では、社内のアセットを共有してスキルの習得を促したいと考えていました。そこでマネージャー職は、スキル習得への積極的な姿勢が見られたチームメンバーがいれば、星取表の該当スキルの欄に「グッジョブ」のマークをつけるようにしました。

これらの取り組みによって、マネージャーとしてはチームメンバーの小さな成果を認識できるようになり、チームメンバーは自らの活動に対する評価を一目で理解できるようになりました。その結果、成長の実感とともにモチベーションが高まり、チーム全体のパフォーマンス向上につながりました。
また、EC事業者のマーケティングチームでは、この星取表を中途採用時のスキルチェックシートにも活用しています。面接のヒアリング時にこの星取表を使って、人物像、コミュニケーション能力、マーケティング能力などを確認。入社後はそのメンバーのスキルをチーム内で可視化した上で迎え入れられるため、チームになじみやすくなり、パフォーマンスを早く上げることができたといいます。この事例から、星取表にはチームビルディングの観点でも使い途があることがわかります。
今回の内容をまとめると、人材育成において重要なのは、同じスキルを持った人材を育てることではなく、チームで仕事をするための「凸凹スキル人材」を形成することです。なにより、上司がその意識に切り替えることが重要です。ぜひご紹介した星取表で、無駄のない人材育成につなげていただけたら幸いです。