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デジマ人材育成 5つの落とし穴と回避術

メンバーにとって必要なスキルを可視化するには?チーム単位で成長させる星取表の上手な活用術

習得したいスキルを本人が選択し、成果が上がるデジマ人材へ

 この星取表をデジマのチームで効果的に活用していく上で、重要なことが五つあります。一つ目は、「習得したいスキルを本人に選択させる」ということです。

1.本人に選択する権限を持たせる

 星取表を使うことで、組織が決めた推奨スキルセットと、本人が習得したいスキルの共通点、相違点が見つかります。もし両者が異なる場合、育成の対象者自らが選択して目標を定めることで、やる気や自己肯定感が刺激され、業務やトレーニングの自分事化が加速します。当然、決定権まですべてを渡すのは難しいですが、選択権があることで成長のきっかけが生まれます

 とある事業会社のEC事業部でも、育成の対象者本人に選択させて成功した事例がありました。前職で様々なソリューションツールを導入し、PDCAの設計・運用の経験をしてきた方に、会社側は「ソリューションツールの活用を推進し、コンテンツマーケティングの運用領域を拡大してほしい」と考えていました。しかし、本人の意向を伺ってみると「マーケティングの上流にある工程で必要とされる、データ解析から仮説設定、提案書作成までの戦略プランニングスキルを身に着けたい」という希望があったのです。

 そこで本人が希望する領域を任せ、チームとしてもこの領域のスキル習得を目指すことにしました。その結果、本人のモチベーションは高まった上にスキルも得られ、半年後には成果が出せるデジマ人材へと変化を遂げました

©NicoElNino - stock.adobe.com

星取表活用で目標を風化させない

 二つ目はスキルを正しく可視化させるためのポイント、三つ目は持続的な成長を促すために守りたいことです。それぞれ解説していきます。

2.スキルレベルは自己診断ではなく、必ずマネージャーと中堅以上のメンバーで擦り合わせる

 自己採点で出したレベルというのは、主観寄りになることは避けられません。その結果、中堅以上のメンバーはスキルレベルを高く見積もり、若手のメンバーは先輩の目を気にして控えめの評価になってしまいがちです。スキルレベルの現状を正しく把握するためにも、客観的評価を入れることが重要なのです。

3.星取表スキルマップはチームメンバー内で共有し、各自が常に目に触れる場所に置くようにする

 これには、メンバーの挑戦意欲をかき立てる効果があります。「スキルを伸ばす」という定性的な目標を期初に設定したものの、振り返るのは1年後という方も少なくないと思います。

 しかしこれでは、自分が何をどうスキルアップしたいと宣言したか、日々の業務に追われる中で風化してしまいます。いつも目標を目にするところに置いて、風化させない工夫が重要です。

 私は星取表をプリントしてデスクに貼っていましたが、ビジネスツールを導入しているなら、進捗管理のタスクに目標を貼っておくのも方法の一つだと思います。ちなみに、星取表をチーム内で可視化することで、メンバー内で「サポートしよう」という気持ちが相互に生じるなどの副次的な効果を生むこともあります

 たとえば、ソリューションツール知識を習得したいもののそれらに不安があるメンバーがいるとしましょう。それを見た他のメンバーが「助けを求めるべきメンバーを紹介する」といった会話が自然に始まり、結果的にお互いのスキル達成をサポートする相互補完の関係になったという事例もありました。

 スキルレーダーチャートを使ってバランスの取れた秀才を複数人作るよりも、人材を星取表で可視化し、目標地点まで皆でサポートし合うことで、強いチームが生まれるのです。

次のページ
習得スキルを可視化して学びの機会を設定

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この記事の著者

髙岡 直人(タカオカ ナオト)

株式会社Growthing 代表取締役

29年間電通グループのプロモーション専業会社である株式会社電通テック(現:電通プロモーションプラス)で統合プロモーションのプランニングから実装まで数百件の案件に従事。大手メーカーのオウンドメディア立ち上げやPDCAサイクルの構築などの経験があり、前職での実績として、デジタルマーケティング...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/12/27 07:30 https://markezine.jp/article/detail/44377

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