継続運営の秘訣は「率先垂範」にあり
ソートリーダーシップ型オウンドメディアの有効性は理解いただけたかもしれないが、オウンドメディアを継続的に運営することは難しい。それができる企業とできない企業にはどのような違いがあるのだろうか。

「ソートリーダーシップ型オウンドメディアを継続的に運営するコツは『率先垂範』にあります。リーダーがファーストペンギンとなって発信し続けるということです。ファーストペンギンが更新し続けなければセカンドペンギンも出てこない。何より説得力がないため、情報を発信するインセンティブが現場に働きません」(枌谷さん)
創業期において説得力のある人と言えば、創業者にほかならない。創業者が起業するにはそれなりの理由があるはずだ。起業に至るストーリーは千差万別であり、そのストーリーはソートリーダーシップ型オウンドメディアにおいて最も価値のあるコンテンツになり得る。創業者が率先して情報発信をすることでソートリーダーシップ型オウンドメディアは始まり、創業者の継続的な発信がなければ運営は滞ってしまう。
また、ソートリーダーシップ型オウンドメディアに短期的な費用対効果を求め過ぎるのはナンセンスだ。前述したとおり、ソートリーダーシップ型オウンドメディアの特徴は「コンテンツがもたらす定量的な効果にこだわらない」点にあるためだ。
だからといって諦めてはいけない。効果が可視化しにくいのであれば、目に見えやすい指標を作ってみてはどうか。knowledge/baigieのように、事例集を通じてリードが得られる仕組みを設けても良いだろう。それ以外にもSNSのフォロワー数やオウンドメディアの閲覧数など、増加すれば事業につながる数値を中間指標に設定することで、この問題は解決できる。
なお、中間指標はあくまで中間指標でしかない。その指標を達成したことで事業がしっかり伸びているのかどうか、指標と事業に相関関係や因果関係があるかどうかは定期的に確認したい。特にフォロワー数は手応えを感じやすいぶん中毒性が高く、指標の妥当性を見誤りやすいため注意が必要だ。
スタートアップやBtoB企業の有効な手段
創業間もない企業は、ターゲットに認知してもらう必要がある。またBtoB企業は、顧客の購買ステップが進んだ際に自社を思い出してもらう必要があるだろう。そのためには、ターゲットに確実かつ継続的に情報を届けることが重要だ。届ける手段は様々あるが、オウンドメディアを通じた情報発信は広告などと異なり、最初から大きな投資が必要ない。自社のサイトとSNSのアカウントがあれば実践できる、有効な手段の一つである。
人は知らないものは選べないし、知らないものは思い出せない。知ってもらう/思い出してもらうために有効な手段の一つが、人の心にインデックスされるソートリーダーシップ型オウンドメディアと言えるだろう。
