コストを考慮した新規チャネルの厳選 PDCAの基礎をつくる
MZ:オーリーズ社では以前からイースト駅前クリニックの広告運用を支援されているそうですが、今回の施策ではどのような提案をされたのでしょうか?
松尾:前提として今回の取り組みはクリエイティブアイデアから決定し、そのクリエイティブアイデアが認知獲得を果たせるよう、メディアプランニングや配信手法の確定、KPI設定など広告の目的と接続する流れで進めました。
クリエイティブアイデアについてはFIREBUGさんから後述いただく3Dアバターの活用を現在抱えている課題を解決できる表現としてご提案いただきました。続いて広告配信においてもイースト駅前クリニックさんの課題や今後のブランドとしてありたい姿、リーチしたい顧客像などとの一貫性を実現できる方法を考えました。特に今回は認知獲得が目的だったため、チャネルとしてYouTube shortsを選択したのが特徴的でした。ここ1、2年で非常に伸びているフォーマットであるにもかかわらず、YouTube広告に複数フォーマットがある中でYouTube shorts単体への出稿はまだ競合があまり行っていない状態で、認知獲得を高い効率で期待できそうなところがメリットでした。
加えて、今回はブランドリフトとサーチリフトの計測も提案しました。ご相談当時のイースト駅前クリニックさんは、認知を目的とした広告施策はほとんど行っていない状況にあり、認知施策の定量的な価値を図れるようブランドリフトやサーチリフトを導入しました。それによって、認知施策のよくある課題である「この施策やってよかったんだっけ?」と施策結果が曖昧なまま終わってしまう状態を避けたり、イースト駅前クリニックさんの社内で次回以降の施策の基準づくりをしたいと考えました。
MZ:新たなチャネルに挑戦する時点で次の施策、PDCAについても考えていたのですね。配信設計ではどのようなことを意識されましたか?
松尾:ターゲットへのリーチ数とフリークエンシー量のバランス、計測環境の整備を意識していました。特にYouTube広告においてブランドリフトの計測をしたい場合、期間あたりの配信金額の条件が設けられています。今回のイースト駅前クリニックさんは、月のご予算がそれに満たなかったのですが、クリニックの繁忙期にあたるお盆前後の10日間のみ予算を増やしていただくことで、期間あたりの配信金額の条件を満たすようにしました。そのおかげでブランドリフトを実施できる形になりましたし、期間の中での予算の最適化ができたと思います。
3Dアバターとトレンドを掛け合わせてクリエイティブを制作
MZ:FIREBUG社では、クリエイティブの制作においてどのような工夫があったのでしょうか。
山宮:まず改めてですが、FIREBUGではタレントさんを3Dアバター化し、安価かつスピーディーに広告に利用できる「AVATORS」というサービスを提供しています。
今回はアバターを使用し、サイズや配信面に合わせて6種類の動画を制作しました。イースト駅前クリニックさんが訴求したい「来院実績280万人以上」「駅から近い」「悩みが周りの人に知られにくい」といった強みを踏まえて、クリエイティブに落とし込む作業をしました。
たとえば「来院実績280万人以上」を訴求するために、アバターのクロちゃんを大量に作りました。これもアバターを使わないとなかなかできない表現ですし、インパクトもあるので認知を取れるのではないかと考え、提案しました。
それに加えて、配信媒体でトレンドになっているフォーマットも踏まえました。たとえば、短尺縦型動画で当時流行っていた「〇〇5選」というフォーマットを活かして、クロちゃんが「イースト駅前クリニックのすごいところ5選」を伝えるように制作しました。
MZ:FIREBUGからのご提案を受け、イースト駅前クリニックとしてはどのように感じられたのでしょうか。
須部:クリニック全体として、出稿金額では競合他社になかなか勝てないけれど、新しさやおもしろさでは負けたくないといった想いがあります。FIREBUGさんとは以前からいろいろな取り組みをさせていただく中で、いつもおもしろい提案をいただける信頼感がありましたし、今回のご提案も「めちゃくちゃおもしろいよね」と話していました。
「3Dアバター」を使うという目新しさがありますし、AGAクリニックの広告でスキンヘッドのクロちゃんをあえて起用するというセンスもおもしろいですよね。アバターだとタレントさん本人を起用する金額感よりも費用を抑えられることも、制作を決断できた背景にはあります。