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“無料で使えて当たり前を払拭する” 急伸する翻訳サービス「DeepL」のCROが語る有料化の戦略


「無料で使えて当たり前」のイメージ改革に必要なベネフィットの理解

MZ:世の中には知名度が高い翻訳サービスが多く存在しています。貴社が市場に参入する際に、それらのサービスとの差別化をどのように行われましたか。

ジョーンズ:当社が市場に参入した2017年以前から翻訳サービスを展開している企業はいくつかありました。しかし、より質が高く自然な形で翻訳してくれる翻訳エンジンへのニーズがあることも調査からわかっていたので、自然な翻訳を提供することが一番の差別化だと考えていました。

 このような背景から、私達は翻訳の精度向上に非常に注力しており、機械学習やAIモデルの使用だけではなく、人の力を使って翻訳エンジンの強化や修正を行っています。その結果、他のサービスと比較してDeepLの翻訳がより自然なものになり、他の翻訳サービスとの差別化につながっていると考えています。

MZ:現在、翻訳は無料で使用することが当たり前になっている方が多いと思います。そういった方々に有料版のサービスを利用してもらうための工夫を教えてください。

ジョーンズ:ユーザーインタビューなどを通し、実際にはサービスがどのように利用されているか、顧客が求めるベネフィットへの理解が重要だと考えています。当社では「一回で多くの文量を翻訳できること」と「カスタマイズ機能を充実させること」が求められていることを理解し、その場合に最適なプランがDeepL Proであるとユーザーに説明を行っています。加えて、機密情報を扱う企業などにとっても、DeepL Proであればセキュリティ面で非常に安全であることから支持を得られています。

需要が加速する日本市場 新製品・新機能の投入で利用を促進

MZ:日本における翻訳市場の特徴をお聞かせください。

ジョーンズ:前提として、日本は昔から翻訳サービスへのニーズが非常に高い国です。特に海外支社を持つ日本企業においてその傾向は顕著です。

 また、近年では海外市場への進出を検討している企業が数年前と比較して、大幅に増加しています。こういった特徴から日本市場では、精度の高い翻訳へのニーズが以前にも増して高くなっています

 実際の活用事例として、サイボウズ様の取り組みを挙げることができます。同社は、ベトナム、中国、米国、日本とグローバルにオフィスを構えており、DeepL Proを導入する以前からコミュニケーションは現地の言語が基本とされていました。しかし、一部の文書はローカライズができておらず、日本語の理解ができない社員とのコミュニケーションに壁が生じていたといいます。

 導入後はそれまで日本語でしか発信できていなかった必要なドキュメント類を各言語で整備できるようになりました。サイボウズ様以外にも、日立製作所様や日本経済新聞様、富士通様などのグローバル展開を行う日本企業で導入され、効果を実感していただいています。

MZ:今後日本でのDeepLの認知や導入を促進するために、どのようなマーケティング戦略を展開される予定ですか。

ジョーンズ:日本市場は、二つの新製品・新機能が受け入れられると考えており、その認知や利用促進に注力しています。一つ目がすでに展開を始めている「DeepL Write」です。同サービスでは、他言語の文章を正しく書く支援をします。フォーマル、ビジネス、カジュアル、学術文など、お好みの文体への変換も可能です。

 そして、もう一つの新機能が、2024年に提供する予定の「音声翻訳」です。これは、音声をリアルタイムで取り込み、お望みの言語へと翻訳します。特に音声翻訳に関しては、ビデオ会議で違う言語を話す方がいた際に、翻訳された内容を画面上で読むことができるものです。

 日本市場では特にこうしたサービスに対するニーズが非常に高いため、多くの方から支持を得られると考えています。

DeepL Writeの利用画面。誤った文章の校正を行ってくれる

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利用拡大に向け「ライトユーザー」にアプローチ 価格設定や他サービスとの連携がカギ

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この記事の著者

三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)

早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/02 14:29 https://markezine.jp/article/detail/44949

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