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生活者データバンク

生活者の災害への意識から考える、防災へのニーズ

生活者の防災対策のボトルネックとは?

 では、なぜ防災対策が進まないのか。ボトルネックを探るために、家族構成別での割合を見てみると顕著な差が出ていた(図表4)。

図表4
図表4:家庭での防災対策をしている・していない

 圧倒的に準備をしていない率が高かったのは1人暮らしで、実に7割近い人が「防災対策をしていない」と回答した。特に大都市での単身世帯では部屋が小さいことも少なくなく、防災関連のものを置けないこともあるだろう。また健康な若者であれば、災害が起きたとしても自分1人なら、準備などをしていなくてもどうにかなるという考えも浮かぶ。学生で経済的な余裕がないという人もいるだろう。

 このような人たちにとって、防災関連品はスペースや金銭面、そして必要度などから考えると贅沢品、もしくは優先順位の低いものとなっている可能性がある。逆に2人以上では対策をしていないは3割台で収まっているだけに、単身世帯への理解浸透は重要なことだと言えるだろう。

 またこの人たちに受け入れられるような防災は、今後大きく売り上げを伸ばす余地があると言える。国全体の利益や社会問題の解決の観点からも、これらの層に準備をしてもらうことは絶対に必要になるはずだ。

 なかなか準備の進まない単身世帯を、さらに年齢別で分析してみると、20~29歳で80.1%、15~19歳で79.1%と、突出して高くなっていることが分かった(図表5)。やはり若年層では優先順位が低くなることは否めないが、コスパやスぺパ(スペースパフォーマンス)などを重視する世代だけにデザインや有用性、省スペースなどで、彼らに向けて訴える力のある商品のラインアップは重要となりそうだ。

 また防災の重要性についてはテレビや新聞などでは適宜伝えられることもあるが、若者が情報収集のキーとして使っているSNSや動画サービスでは、災害が起こらない期間が続くと目にする機会が増えない可能性もある。インフルエンサーの力を利用するなどして、広く伝えていく新しいPR活動も検討に値する。

 一方で、興味深いデータもある。2月の調査で10代・20代での「防災対策をしていない」という割合が、10ポイント前後減少していたのだ。情報感度が高く、行動力もある若年層は、今回の能登半島地震などを教訓に早速防災への動きをとっていたようだ。

 若年層だけでなく、すべての年代で防災への準備に問題がある単身世帯は多い。災害への不安度から見ると、まだまだ防災関連の品へのニーズは十分にあると言える。

図表5
図表5:家庭での防災対策をしている・していない【単身世帯】

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防災対策の費用・必要としているものは?

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この記事の著者

下河原 基弘(シモガワラ モトヒロ)

 大学卒業後、報知新聞社に入社。『スポーツ報知』にてプロ野球やJリーグからマイナースポーツまで幅広くカバーし、約15年で取材した競技は30以上。雑誌編集にも携わる。現在はマーケティングリサーチ国内最大手・インテージの広報として「攻めの0円広報」を実践。兼業でフリーのジャーナリストや広報として活動し、サッカーやスポー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/03/04 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45000

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