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生活者の災害への意識から考える、防災へのニーズ

 2024年元旦に起こった能登半島地震をはじめ、地震や集中豪雨、台風など日本には様々な災害のリスクがある。本記事では災害のリスクに対し、生活者はどのような意識を持っているのか、またどのような防災対策をとっているのか調査をもとに解説。防災へのニーズから今後のマーケティングのヒントを考える。

生活者の防災意識の現状

 このたびの「令和6年能登半島地震」で被災された皆様、並びにご家族、ご関係者の皆様に謹んでお見舞いを申し上げます。被災地におかれましては、1日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。

 2024年の元旦に起こった能登半島地震。北陸地方を中心に震度7に届く揺れに、津波なども重なり、大きな被害が発生した。停電や断水などの他に、能登周辺の道路にも土砂崩れなど、交通機関にも大きな影響が出ていて、復旧の障害となっている。2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、今回の能登半島地震、そして近い将来に起きると予測される南海トラフ地震など、地震大国とも言われる日本においては、災害への備えはさらに重要さを増していくだろう。

 さらには、地球温暖化による夏場の猛暑や集中豪雨など、災害と背中合わせになってきている昨今、その備えはどうしているのかを、インテージが関東大震災の発生から100年となる2023年9月1日の防災の日に合わせて行った調査で分析していく。尚、能登半島地震後の今年2月にも同様の調査を緊急で行っており、その結果も文中で紹介する。

 災害に対して、まず個人レベルで行えるのが家庭での防災。地震大国の日本だけに多くの人が何かしらの対策をしているかと思いきや、実際には半分に届かなかった(図表1)。

 「防災対策をしていない」と明言する人は4割を超えていて、ここに「分からない」を足すと、実に5割超の人が対策をしていない可能性がある。2月の調査では、対策をしている人は49.3%(「主に自身が防災対策をしている」24.6%、「主に家族が防災対策、が自身も関与」19.2%、「家族が防災対策、自身は関与せず」5.5%)と微増にとどまり、「防災対策をしていない」は39.3%と大きく傾向は変わらなかった。

図表1
図表1:家庭での防災対策

 東日本大震災、そして今回の能登半島地震でも分かるように、特に被災地では物流の回復にも時間がかかる。直接的なケガなどがなくても生命の危機にさらされる可能性もあり、それだけに日ごろの防災への意識、そして防災グッズの準備などが生命線となるが、これがなかなか進んでいないのが実情のようだ。

地震・猛暑・集中豪雨・伝染病への不安が強まる

 では災害に対して無関心であるかというと、そんなことはない。各災害について、どれくらい不安に思っているかを聞いたところ(図表2)、「地震」に対しては85%の人が不安であると回答し、今年2月の調査でも88%ととても高い水準をキープしている。地震への恐怖は強いものの、何かしらの理由で半数以上の人が二の足を踏んでいる実情が浮き彫りになった。

 他の災害についても聞いてみたところ、2位に入ったのは2023年猛威を振るった「猛暑」で、こちらも8割を超える人が不安に思っていた。3位は「集中豪雨」、4位に入ってきたのが2020年の拡大以降、人々の生活様式を変えてしまった新型コロナも含まれる「感染症や伝染病の爆発」となっている。

図表2
図表2:自然災害をはじめとした「脅威」に対する不安

 この災害への不安感。猛暑は北海道で少ないなどの傾向も見られたが、極端に地域差が大きいということはなく、全国的に似通った数字となるものが多い。たとえば地震で見ると、「とても不安」「不安」「やや不安」を合わせた割合は、すべての地域で8割を超えていた(図表3)。

 ただ細かく見ると、「とても不安」は東日本大震災で甚大な被害を受けた東北と、南海トラフ地震で大きな被害が予想される四国地方が30%を超えて高く、逆に中国地方が20.5%と最も低くなっていた。年明けの地震で大きな被害が出た北陸も22.9%と低い数字だっただけに、一層驚きが大きかった人もいたかもしれない。

 多少の強弱はあれど、全国で地震に8割超の人が不安感を持つだけに、危機感は感じながら人々が生活をしている姿が浮き彫りになった。

図表3
図表3:「地震」に対する不安
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この記事の著者

下河原 基弘(シモガワラ モトヒロ)

 大学卒業後、報知新聞社に入社。『スポーツ報知』にてプロ野球やJリーグからマイナースポーツまで幅広くカバーし、約15年で取材した競技は30以上。雑誌編集にも携わる。現在はマーケティングリサーチ国内最大手・インテージの広報として「攻めの0円広報」を実践。兼業でフリーのジャーナリストや広報として活動し、サッカーやスポー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/03/04 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45000

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