「テレ東広告」で動画広告のオンライン取引を始めた理由
――テレビ東京とテレビ東京コミュニケーションズは2024年2月に新しい広告プラットフォームの運用をスタートされました。これはどのようなものですか?
堀:今回開始した新広告プラットフォームは、テレビ東京公式動画配信サービス「ネットもテレ東」と民放公式テレビ配信サービス「TVer」の番組中に動画広告を出稿できるオンラインのサービスです。アカウントを登録すると、広告出稿プランニングや見積もり、考査申請、そして最終的な申込みまですべてオンライン上で完結できる点が特徴です。
――今回、動画広告のサービスを提供する狙いを教えてください。
堀:これまでテレビ東京の番組に広告を出稿していただく際は、基本的に対面での打ち合わせや申し込みが中心でした。これも大切なプロセスですが、一方で迅速さに欠けるという課題がありました。オンラインで完結することで、広告会社や広告主の方の情報収集や出稿判断がスピーディーになりますし、出稿プランの検討や見積もり比較も行いやすくなります。
また、オンラインで完結できるようにした狙いはもう1つあります。それは、これまで当社と取引のなかった企業の方との接点を作ることです。これまではどちらかというと大手企業の案件がメインでしたが、より幅広い企業のご要望に応えていきたいと考えています。
――テレビCMの出稿はしてこなかった中小規模の企業や小規模案件、あるいは、東京のテレビ局に出稿してもメリットが薄い地方の企業のニーズにも対応していくということですか?
堀:そのとおりです。従来のクライアント様を大切にしつつ、より多くの企業にテレビ東京の広告をご活用いただきたいと考えています。
――ちなみにサービスサイトを見ると、アカウント登録が前提のようです。具体的な出稿予定がなくてもアカウント登録はできるのでしょうか?
岸:アカウント登録は大歓迎です。アカウント登録をすると、番組の視聴者属性や、キャンペーンのご案内など限定コンテンツが見られるようになります。利用を検討したい方はもちろん、「将来的には動画広告を実施したい」という方もまずは登録して、サイトをのぞいていただくだけで様々な情報をご提供できるようになっています。
認知向上やブランドリフトにも有効! テレビ東京の動画広告の実力
――これまでテレビ東京と取引がない場合、そもそも「テレ東の動画広告」がどのようなものかが気になるかと思います。
堀:ご提供するのは「TVer」、そして「ネットもテレ東」に配信できる動画広告です。配信する番組内容は、テレビ東京が制作しているバラエティ番組やドラマ、スポーツ、経済番組、アニメなどです。基本的にはテレビ番組の見逃し配信を中心としたラインナップで、番組本編の前・中・後にテレビCMと同じようなノンスキッパブルの動画広告を配信します。配信先は、スマートフォンやタブレットのアプリ、Webブラウザ、コネクテッドテレビです。
――中小企業にはBtoBビジネスを展開しているケースも多いと思います。テレビ局の配信ンテンツは、バラエティやドラマなどのイメージが強いですが、この点はいかがですか?
堀:テレビ東京グループは『ガイアの夜明け』『カンブリア宮殿』、『日経ニュース プラス9』などの経済番組を制作しており、ネット配信もしています。たとえば、経済番組をラインナップした広告メニュー「経済プレミアムパッケージ」ではこれらの番組に動画広告を配信可能です。番組の視聴者は管理職や、決裁権限をお持ちの方の割合が多いので、BtoB企業が訴求したい内容に合っているかと思います。
また、テレビ東京というと首都圏エリア限定と思われがちですが、インターネット配信なので全国で展開できますし、視聴分布も必ずしも関東に偏っているわけではありません。全国のBtoB企業様のプロモーションにご活用いただけます。
――こうした動画広告はテレビCMの補完的な位置付けとして活用されるケースも多いかと思います。テレビCMを打たない企業がテレビ東京の動画広告を行うメリットは何でしょうか?
堀:確かにテレビCMを展開しながら補完的にインターネット広告を実施する企業も多いと思います。ただ、「テレ東の動画広告」は予算をある程度抑えつつコネクテッドテレビという大きな画面にもCMキャンペーンが打てるという利点があります。加えて、テレビで放送している番組と同一コンテンツでの広告効果を動画広告で試していただけるというメリットもあります。
ちなみに本サービスの動画広告は、最低出稿金額10万円からご利用いただけるオンライン限定のプランを用意しているので、少ない予算からスタートできると考えています。
――メディアのリーチ力や、想定できる広告効果についてもお聞かせください。
岸:リーチ力で言うと月間約700万ユニークブラウザを有しています。CMの視聴完了率も94.8%と非常に高くCMがきちんと最後まで視聴されることが特徴です。またブランドリフト調査では、平均ブランドリフト値が認知度58%増、好意度51%増という結果が得られています。
さらに、配信先コンテンツはテレビ東京がすべて制作・監修したプレミアムコンテンツであるため、ブランドセーフティを担保できること、DMPやTVerアンケートをベースに番組別に柔軟な出稿戦略が可能など、様々なメリットがあります。
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すぐには出稿予定がなくても、まずは登録してサイトをご覧ください。番組情報や視聴者属性、キャンペーンのお知らせなど様々な情報をご提供します。
登録すると、オンラインでTVer内のテレ東の番組にお申し込み頂けます。出稿プラン、広告考査、お申し込みまで サイトで完結します。
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『ガイアの夜明け』『孤独のグルメ』…幅広い番組から配信先を選択可能
――具体的に、どのような広告商品を用意しているのですか?
岸:登録いただいたアカウントでログインすると、動画広告の配信先となる番組一覧が表示されます。番組を1つひとつ選んで広告を配信することもできますし、ご準備している広告商品パッケージをご利用いただくこともできます。
広告パッケージにはいくつか種類があります。たとえば、ジャンルを超えてテレビ東京の様々な番組に広告を配信できる「ランダム配信」。ランダム配信の中でも、TVerアンケートや外部データを統合したDMPを使い、ターゲティング配信も可能になっています。
またテレビ東京ならではの商品として、先ほど申し上げた「経済プレミアムパッケージ」や、『ポケットモンスター』などアニメ番組を中心にした「お子様&ママパッケージ」、『孤独のグルメ』など人気のグルメ番組をセットにした「グルメパッケージ」などいくつかのラインナップをご用意しています。
各商品ページでは、どれぐらいの予算・期間で広告を出稿したいのかを入力していただくと、予想imp数が自動算出されるので、大まかなリーチを予想できます。
――配信先の番組を選択する際、視聴者の属性情報なども確認できるのでしょうか。
堀:もちろんです。番組別の性別・年齢構成比を確認したり、家族構成、世帯人数、自家用車の所有率や持ち家率などのデータをご提供しています。これらのデータはアンケート結果とテレビ東京のDMPを連携して取得している統計データとなっています。
申込や考査プロセスは柔軟に、動画広告制作もサポート
――ちなみに発注の際に広告主の企業側が事前にやっておくことはありますか?
堀:初めてご出稿いただく広告主企業や広告会社には業態考査をお願いしています。登記簿謄本やWebサイトのURLなど、その法人が実在するかなどを証明する公的な資料をアップロードいただくことになります。
業態考査に加えて、CMの内容を確認させていただく素材考査も必要なプロセスです。視聴者の方が誤認しないように事実に基づいた内容になっているか、放送基準や関連法に抵触していないかなどをチェックします。
岸:これだけ聞くと、考査をパスしてから広告商品の申し込みをしないといけないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、考査と入稿の申し込みのプロセスは分けてあります。最終的に考査を終了しなければ配信はできませんが、申し込みと考査は個別進行が可能です。
堀:まずは考査を済ませてからじっくりプランニングに取り組んだり、プランニングを先行させつつ考査に必要な書類をご用意いただいたりと、お客様に適したペースで準備を進めることができます。お問い合わせにチャットツールを搭載しているため、不明な点は気軽にメッセージを送信して頂ければと思います。
――動画広告用の素材がない企業もいると思うのですが、その時はどうすれば良いのでしょうか。
岸:簡易CMを作成できるオプションサービスも用意しています。こちらは現状、オンライン画面上で完結というわけにはいきませんが、CMに盛り込みたいキャッチコピーや商品名などのテキストデータ・イメージデータをご提供いただくことで、動画フォーマットに沿った簡易動画を制作します。
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UI/UXの改善は継続的に、レポーティング機能も強化予定
――プランや機能の追加予定があれば教えてください。
堀:2月にリリースされたばかりのサービスですから、使い勝手の向上に取り組みます。お客様の利用状況や、いただいたご意見をもとに継続的にUIを改善していく予定です。機能の改善で具体的に考えているのがクレジットカード決済です。対面型の法人取引では請求書支払いが基本だと思いますが、インターネット広告ではクレジットカード決済のニーズが高いので、早急に対応したいですね。
レポーティング機能の拡充にも注力したいです。現在は、配信している広告のimp数など基本的なデータを提供していますが、画面上でリアルタイムに数値を把握できたり、具体的な広告効果を表示したりと、マーケターが知りたい情報をしっかり提供していきたいです。
岸:1クリックでWebブラウザからダッシュボードが見られるように、数字や各種データをどのように取得し、届けるか現在検討しているところです。
企業の規模に関わらず、より手軽にテレ東広告を活用できる環境へ
――最後に、今回のサービスを通じてクライアント企業とどのような関係を築いていきたいか、さらに既存クライアント企業を含めどのように展開していか構想をお聞かせください。
堀:私たちは東京の放送局ですが、営業担当の人数も限られています。オンラインで接点を作ることで、全国のまだ取引のないお客様との関係づくりを積極的に進めたいです。そうすることで取引のハードルも下がり、出稿を気軽に試していただける機会につながると思います。
既存のクライアント様についても同様です。番組内容は月やクールで変化しますし、買い付けできる広告商品も変わることがあります。新しい情報をお届けするために、かつては分厚いセールスシートをお渡ししていたのですが、必要な情報の把握には時間がかかります。オンライン上でお客様が自由に情報を取得できるようになるので、利便性が上がると思います。
岸:具体的にはキーワード検索はもちろん、出演者名や番組のジャンルなどをタグ情報として管理し、そこから適した番組を探せるように、効率的に最新情報が取得できるようになっています。
堀:このようにオンラインを用いて、全国の企業に高い利便性と、手軽に動画広告やテレビCMをバイイングできる環境を提供していきたいと思います。
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