ジム利用者層に見る、「筋肉」ニーズの変化
従来、「筋肉」や「トレーニング」は一部の人向けのニッチなものという印象を持たれていた。しかし、近年は健康志向が広がり世の中の意識が大きく変化している。藤原氏は荒川氏に「その変化の中で、ゴールドジムの客層にはどういう変化がありましたか」と問いかけた。

それに対して「若年層の方や、高齢の方が増えた印象」と荒川氏。トレーニング未経験の初心者が入会するケースも増えた。そういった変化にともないゴールドジムは、多様なライフスタイルに合わせたプランを用意している。また、多くの企業が問い合わせ対応をオンライン化する中、ゴールドジムは顧客の声を電話受付で聞いていることも一つの特徴だ。
「『私でもトレーニングをやっていいんだ』という声を聞くことが多くなりました。安心してトレーニングに取り組んでいただけるよう、初心者向けの説明会も開催しています」(荒川氏)
フィットネスブームにともなって競合他社の成長も目立つが、荒川氏は「当社には『フィットネスが世の中に広まってほしい』という願いがある。トレーニングやフィットネス業界に入ってくるお客様に対して、ゴールドジム以外にも受け皿があることは大歓迎」と、業界全体が盛り上がる重要性を語った。
マーケティングで筋肉を活用するポイントは?
続いて藤原氏は、AKIHITO氏に「筋肉とのコラボにおけるマーケティングアプローチ」の秘訣を尋ねた。AKIHITO氏は「マッチョの圧倒的なビジュアルインパクトを活かすこと」だと強調し、「オンラインでも拡散されやすく、リアルでも印象に残りやすい」と述べた。
藤原氏は「筋肉によってAISASモデルにおける『Attention』を取ることができています。その後のカフェやイベントによる非日常体験が、『Interest』につながっていきますね」と分析した。

続けてAKIHITO氏は、青森のねぷた祭りを振興するためのプロジェクト事例を挙げた。地元高校のウエイトリフティング部の部員らとともに、神輿を担いで練り歩いたという。
「人口が減っている中、お祭りを盛り上げる一つの起爆剤として『筋肉』を活用いただきました。非常に盛り上がり、多数のメディアに取り上げてもらえました」(AKIHITO氏)
こうした事例からもわかるように、「筋肉とかけ離れたものや意外性のあるものと組み合わせること」が、マーケティングに筋肉を活かすポイントだ。
最後に、「どのように企画のアイデアを出しているのか」という藤原氏の質問に、AKIHITO氏は「どうやったら筋肉を活用しておもしろく、楽しくなるかをひたすら考えている。ユーザー目線で、どうすれば楽しんでいただけるかを考えることを大事にしている」と語った。また荒川氏は「そのコラボ企画を行うことで、誰もが健康的な生活のために『フィットネスに行ってみよう』と思えるかどうかを軸にしている」と回答した。
藤原氏は、「一人ひとりのお客様に対して、一つのコンセプトや価値観を持って刺しに行くことが大事。様々な商品がある中で、『筋肉』というポイントを持ち込み企画することはとてもおもしろい」とセッションを締めくくった。