予算別に見る、スポンサーシップ施策の目的
平地:スポンサーシップの魅力がある程度理解できました。とはいえ実際に取り組む際に疑問となるのは「どんな種類があるのか」「どのくらいの費用感なのか」「どのような目的で活用できるのか」だと思っています。
柏崎さんの会社「MANAGEMENT-K」は様々なデータをもとにスポンサーシップのカテゴライズをしていると聞いているのですが、どのように分けているのですか。
柏崎:スポーツスポンサーシップは費用が伏せられていることが多く、あくまで参考値ではありますが、これまでの経験や学術的知見をもとに、費用別に以下5つのカテゴリーに分類しています。
【例】予算別スポーツスポンサーシップの一覧(それぞれ年間にかかる費用)
1.100億以上:国際的スポーツ大会、超一流アスリート
2.10億~99億:グローバルスポーツチーム・アスリート
3.1億~9億:国内プロスポーツのトップチーム・アスリート
4.1,500万~3,000万:国内プロスポーツ
5.1,500万以下:その他
1~3の費用感だと、既にチームや大会、アスリートなどのスポンサー対象が世界的、国民的に認知されているものがほとんどで価値も理解しやすいので、企業認知やブランディングに活用するケースが多いです。
一方、4と5の費用感の場合、リーチできるターゲットが少し狭まるのと価値が認められる分野も限定的なものが多いので、ブランディング目的で活用しても、1~3と同じような効果を得るのは難しくなります。
ただ、この4と5の予算で行うスポンサーシップは、違った価値があってここ数年のトレンドだと思います。企業とスポーツチームの両者が一緒に課題解決・価値創造をしていくアクティベーションを考えることで、CSRやSDGsの推進、採用、地方創生、売上向上、顧客とのエンゲージメント強化などに活用することができます。
目的や目指したい状態を掘り下げていくと、スポーツスポンサーシップが最良の選択肢になることも多いです。

平地:ありがとうございます。1~3の予算の場合、確実に経営判断が必要になってきますが、4~5の領域だと会社によっては広告宣伝部やマーケティング部、人事部の予算内で対応できることもありますし、多様な目的に対応できるチャンスがありそうです。
スポーツスポンサーシップの投資対効果を上げる秘訣
平地:スポーツスポンサーシップの費用感のイメージがわかったところで、次に企業がスポーツスポンサーシップに取り組む際に押さえておくべきポイントを聞かせてください。
柏崎:目的を整理して明文化することですね。費用感が高くなればなるほど、目的があいまいになりがちで企業側が納得するスポーツスポンサーシップになりません。上申する際もスポーツの熱量や感動を推すだけでは当然承認されないので、目的やKPIを明確にすることが社内の承認を得るという観点でも重要です。
平地:目的やどのくらいの規模で行うか、施策の内容と欲しいリターンを整理するのは、他のマーケティング施策でも一緒ですからね。
柏崎:スポーツスポンサーシップの良いところとして、スポーツチームのファン以外にもその地域に住む方など、オールターゲットにアプローチできる可能性があります。ファン以外の周辺にもリーチすることを考えると、よりスポーツスポンサーシップの可能性が広がると思います。