CTV広告を選んだ理由と着目すべき四つの特長
MZ:今回、出稿先をどのように選んだのか教えてください。
土方:まずTVerとABEMAを採用した理由は、「完視聴率の高さ」と「広告インパクトの大きさ」に魅力を感じたためです。たとえば、YouTubeではコンテンツが流し見されることが多いため、ユーザーの視聴態度が受動的になりがちです。しかし、プレミアム動画配信サービスではユーザー自身がコンテンツを選んで視聴するため完視聴率が高く、広告まで視聴される率も高いです。これは当然、広告主にとっても商品の特長を消費者にしっかりと届けられることを意味します。さらに、これらの媒体はテレビデバイスを使って視聴されることが多いという特徴があります。そのため、デジタル広告の特性を活かしつつ大画面の環境でテレビCMの素材を活用して広告訴求ができるので、強い印象を残せることもポイントでした。
井川:CTV広告面には、他に二つの強みがあります。一つ目が、「共視聴」です。CTV広告の中でもTVerやABEMAなどのプレミアムな動画配信サービスが持つ広告枠になると、家族や友人と一緒に複数人で番組が視聴されることが多いです。これは1インプレッションあたりのリーチ数が実質多くなるともいえます。
二つ目が、「信頼性の高さ」です。コンテンツの質が高い媒体への広告掲載により、ターゲット層のブランドに対する信頼性を上げるコミュニケーションが期待できます。特にタイレノールAは解熱鎮痛剤という商品特性上、信頼性の高い媒体で広告が出ているか否かは非常に重要なポイントでした
また、プロフェッショナルが作成するプレミアム動画コンテンツ内の広告枠は、視聴者の購買意欲を高めるというデータもあります(※)。認知獲得だけでなく、商品理解、その先の購買というアクションまでを目標とした時に、プレミアム動画配信サービスは貢献度が非常に高い媒体であると考えられます。
※The Trade Deskと調査会社Kantarが実施した「日本のOTT広告ガイド」より
購買データを活用して適切な広告量でリーチを最大化
土方:当社のような消費財メーカーは、売上の大半が実店舗からであることがほとんどなので、デジタル広告の効果測定が難しいといった課題があります。テレビCMでも番組レベルでのターゲティングは可能ですが、デジタルほど正確ではありません。このような中で、The Trade Deskの広告プラットフォームは、ドラッグストアの購買データを掛け合わせたCTV/OTT配信ができ、その効果分析も様々な角度からできるため、非常に魅力的でした。
また先述の通り、タイレノールAは限られたリソースの中でいかにシェアを拡大できるかが鍵となります。そのため、競合を含む鎮痛剤、併売商品、子供向け商品などの購買関連データと、クオリティの高いターゲティングを取り入れました。その上で、注力する配信エリアを指定することで、必要なユーザーへの効率的なリーチを優先して行うことができました。
井川:当社のメディアバイイングは、購買データを活用したCTV/OTT広告配信に加え、動画視聴後のサイト訪問や購買リフトを可視化することで運用最適化が可能になる点が特長です。
さらにプラットフォーム上で複数のチャネルや媒体を配信先として選択でき、横断してフリークエンシーコントロールをかけることが可能です。これにより、ユニークリーチを最大化させつつも過剰な広告露出を防ぎ、ブランド毀損のリスクを下げることが期待できます。
土方:フリークエンシーコントロールが媒体を横断してできるのは非常にありがたかったですね。元々私たちも、複数のデジタル媒体を併用してプロモーションを行うことで、同じユーザーに同じ広告が必要以上に何度も表示されてしまい、かえってブランドへの好意度が下がることや広告過多により必要以上に予算を消化してしまうことを懸念していました。しかし、今回は適正なフリークエンシーを守りながら媒体横断でプロモーションを行うことができ、限られた予算で多くの方へのリーチを実現できました。