新規顧客開拓やブランド認知向上にも購買データ活用が有効
MZ:今回の施策による成果をお聞かせください。
土方:今回のキャンペーンを通して想定リーチを大きく上回ることができました。ユーザーの購買を基準としたCVRはTVCM過去実績を基とした想定より207%高くなっており、解熱鎮痛剤のニーズが落ち着いている通常の時期と比べて売上個数は118%に伸長しました。これは過去の施策と比較しても非常に良い結果です。
井川:ブランドリフト調査では、広告非接触者と比較してブランド認知が55%、ブランド利用意向も54%とそれぞれで上昇しました。
土方:それに加え、実は男性のリフトが高く、反応が良かったという面白いインサイトもありました。
井川:インパクトのある配信とターゲットに合わせたクリエイティブ、適切なメディア選定のすべてが功を奏したのだと思います。もしかすると、購買データの活用といえば「ローワーファネル向けの販促施策」で活用するイメージがあるかもしれません。しかし、今回の施策を通して、新規顧客の開拓やブランド認知獲得にも有効だと実証できました。
メーカーでも購買を追って運用できるのは大きな一歩
MZ:今回の施策を通して得られた気づきは何かありますか。
土方:今回の施策では、CTV面を含むプレミアム動画広告と、購買データ活用のフルファネルにおける有効性が確認できました。配信結果を評価した後、The Trade Desk様とは次の取り組みも開始しましたが、配信によって得た成果を基にベンチマークを定めることができ、メディアプランニングにも活かすことができました。
また当社では、実店舗での売上比率が高く、公式通販を持っていません。そんな当社のような消費財メーカーにとって通常は追うことが困難な購買まで消費者の行動が追えることは非常に効果的だと感じました。それにも関わらず、地上波テレビ広告とは違い、SNS広告を出稿するような額で利用できることにも驚きましたし、今後は購買リフト計測にもチャレンジしたいと考えています。
井川:今回のような結果を得たことで、今後はこれを基準として、クリエイティブやターゲティングを変えながら、改善のサイクルを回せるようになりました。
土方:私たちにとって、CTV広告や購買データ活用は新たな挑戦でした。今回の成功はこの領域に知見を持つThe Trade Deskというパートナーの協力があったからこそ得られたものだったと考えています。エリアやKPI設定、さらにはどのブランドで施策を行うかという初期の段階から井川様と一緒にディスカッションしながら施策を進められたことで、検証の切り口や消費者行動など新たな学びや気づきが多くあったと感じています。
MZ:最後に今後の展望をお聞かせください。
土方:購買データの活用を当社が持つ他ブランドにも横展開していけたらと考えています。現状は活用可能な購買データを提供するリテール事業者が限られていますが、今後この領域が拡大することで購買データを活用できる当社ブランドや施策において実践できることも急激に増えていくだろうと期待しています。
井川:当社のプラットフォームでは、1社のデータや媒体に限定せず、様々な要素を組み合わせた分析により、KPIに沿った最適化を促し、ターゲットリーチおよびユニークリーチの最大化をサポートします。
また、購買データは、新規獲得、競合リプレイスに向けたブランディングなど、フルファネルで活用するポテンシャルを秘めています。今後もブランド様の期待に応えて様々なパートナーシップを組みながら、CTV・OTTの広告枠の拡充や、さらには購買データ活用したマーケティング施策をリードしていく存在になっていきたいです。