消費の好循環は、優良な顧客が担っている
前の項では、単発消費よりも好循環消費のほうが消費者にも企業側にもメリットがあることが見えてきました。それでは、好循環消費の中でも、リピート消費以降のある人と、派生消費以降のある人にはどういった特徴があるのでしょうか?
図版②は『心が動く消費調査』で、3つの消費意向パターンと、意識・価値観に関する項目をクロス集計したものです。分析から見えてきたのは、好循環消費層のほうが、積極的に消費をしやすく、かつ有望な消費者である傾向が強いということでした。おおよそ、単発消費<リピート消費意向<派生消費意向という順で、消費意向に関するスコアが高くなっています。

派生消費意向の強い人の傾向
1.消費することに意味や意義を持たせる価値観が強い。たとえば、趣味やレジャーにお金を使う、少しでも高品質なものを欲する、今を楽しみたいという欲がある、人とは違うことにお金を使いたいなど
2.消費自体もしくは消費したことによる実感値を得たい気持ちが強い。たとえば、リアル体験を重視したり、知識技能習得の欲が強かったり、また周囲への利益を考慮する
3.地球環境やコミュニティを重視する傾向が強く、SDGsに関心が高くサステナブルな消費を意向する傾向が強い
消費者と企業の持続的な関係構築に必要なポイント
続いて、消費者と企業との間に持続可能な関係性を作っていくためのポイントを考えていきましょう。
図版③は、『心が動く消費調査』の定量分析から見えてきた3つの好循環ファクターと、それに紐づく心が動いた消費の回答例です。先に結論を提示すると、消費者との関係性を作るには「単に消費するだけではなく消費に意味や意義を持たせること」「買い物をした後に実感値を得やすい商品特性を担保すること」「先行き不透明な世相だからこそ昨今重視されるサステナブルな志向を満たす仕掛けづくりを行うこと」という3つのポイントが大切であると推察できます。
