パーパスを起点に、事業戦略×マーケティングをつなげていく
──中期経営計画の中で、マーケティングはどのようなミッションを持っているのでしょうか?
社長の時田と、「2030年に富士通は社会の中でどういう存在であるべきだろう?」という問いについてマーケティングの観点からよく話をします。そのディスカッションの中で行き着くのは、やはり“富士通のユニークネス”です。
我々は、「AI」「コンピューティング」「ネットワーク」「データ&セキュリティ」「コンバージング」の5つのテクノロジー(以下、5 Key Technologies)を有しています。昨今、AI領域のテクノロジーカンパニーが注目されていますが、AIをコンピューティングなど他のテクノロジーと掛け合わせられる企業となるとごく少数です。また、自社のテクノロジーをもってソリューションおよびコンサルティングサービスを提供できるという点において、富士通は外資系のコンサルティング企業にはないケイパビリティと資産を持っています。
マーケティングのミッションは、テクノロジー×コンサルティング×ソリューションのケイパビリティを持つ富士通のユニークネスをブランディングし、レピュテーションを獲得していくこと。2024年2月に新しいコンサルティング事業ブランド「Uvance Way finders」を発表しましたが、これにも我々のコンサルティングサービスを差別化し、ブランディングしていく意図があります。
──うかがったミッションを達成するために、近年注力しているマーケティング活動についてもうかがえますか。
最も注力しているのは、サステナブルな世界の実現を目指す事業ブランド「FujitsuUvance(以下、Uvance)」の認知を高めていくための活動です。Uvanceはパーパスを実現するべく立ち上げたブランドであり、先述した5 Key Technologiesを“ソリューションとして”提供していく事業でもあります。2023年度に3,000億円、2025年度には7,000億円の売上目標を設定しており、全社で強力に進めている事業です。
──富士通のパーパスとユニークネスを体現するブランドがUvanceなのですね。
ええ。2022年にはフラッグシップイベント「Fujitsu Activate Now」をグローバル各国で開催し、お客様の事例とともにUvanceからのメッセージを各国でご紹介しました。Uvanceでは、「サステナビリティ・トランスフォーメーションを推進していくためのチャレンジを起こしていこう」というメッセージを発信しています。サステナビリティについては、その重要性は十分に理解していても、実際にアクションを起こし、さらに事業と結び付けていくというところまではできていない企業がほとんどでしょう。実際、我々がグローバルのCxO約1,000人を対象に行った調査では、「サステナビリティの活動を事業成長に結び付けられている」と回答した人は5%しかいませんでした。
しかし、言うまでもなく、サステナビリティは事業活動の必須項目であり、企業の持続可能性に直結してくるものです。ここに課題を抱えている残りの95%のお客様に向けて、サステナビリティ・トランスフォーメーションを推進するためのテクノロジーやソリューション、先進事例などの情報コンテンツを提供していくことに注力しています。