CARTA HOLDINGS(以下、CARTA HD)とunerryは、小売り/広告/アドテクノロジー業界24社と共同で「リテールメディアカオスマップ2024年版」を作成し、公開した。
同カオスマップは、広告主としてのメーカー(左側)、小売事業者(中央)、消費者(右側)に大別。リテールメディア機能を多くの企業が支援し、エコシステムが形成されている様子を示している。
2024年版の特徴としては、次の5点が挙げられる。
1つ目は、小売り大手のオウンドメディア整備が急速に進展したことだ。大手小売事業者がWebサイト・モバイルアプリ・デジタルサイネージ・公式SNS・ショッピングカートへの投資を強化しユーザー基盤を拡大した結果、消費者の購買接点に最も近いメディアとして活用が進んでいる。さらに、小売事業者横断で提供するデジタルサイネージ・広告ネットワークやリテールアプリ広告ネットワークの事業者が誕生し、単体では利用者数が少ない小売事業者もリテールメディアに参入できるようになった。
2つ目は、総合サービスを提供する企業として広告会社・総合商社が台頭した点となる。リテールメディアでは購買効果の計測が可能となり、投資対効果の最適化が行えるようになったことで、リテールメディアへ配分する広告費の割合を増やすメーカーが増加。広告会社や総合商社が総合サービスとして提供するようになった。
3つ目は、消費者データの利活用と効果計測を推進する企業の集約だ。リテールメディアでは、POSデータ・レシート・店頭AIカメラ・位置情報/ビーコンなどが主にデータとして使用される。従来分散していたこれらのデータが現在では一部の企業に集約され、規模化と活用が進んでいる。
4つ目には、広告メディアとしてのテレビ・プラットフォーマーと決済・ポイント事業者の存在感が挙げられた。リテールメディアの広告配信においては、小売事業者のオウンドメディアに加えてテレビやコネクテッドTV、プラットフォーマー(Google、ソーシャルメディア)、レシピ・チラシ・動画アプリ、クーポンアプリ、決済・クーポンプラットフォームが中心的な役割を担う。中でも決済・ポイントプラットフォームは、リテールメディア施策においてポイント付与の訴求により重要性を増している。
5つ目は、完成度が高まったソリューションの多様化。データ整備企業(Google Cloudなど)、コンテンツ・クリエイティブ制作会社、顧客接点を提供するUX支援事業者(アプリ/LINE、サイネージ/カート、ネットスーパー含むEC)、効果計測事業者、配信事業者が小売事業者を支援しており、特にUX支援では多くのスタートアップ企業や外資系企業が参入している。
【調査概要】
調査主体:CARTA HOLDINGS、unerry
調査時期:2024年1月から4月
協力企業:アドインテ、CARTA HOLDINGS、CRITEO、サイバーエージェント、DearOne、デジクル、電通リテールマーケティング、エブリー、フェズ、fluct、グランドデザイン、博報堂、MADS、NTTドコモ、リテイルメディア、SalesPlus、トライアルカンパニー、unerry、10X、他小売事業者5社
カオスマップへの掲載基準:
・小売事業者:売り上げ上位からリテールメディアの取り組みが公開情報または直接確認できる事業者、リテールメディアの先駆けや特筆すべき取り組みを行う企業
・小売事業者以外:リテールメディアの取り組みが公開情報または直接確認できた主要事業者(リテールDXに留まらず、メーカー向けのメディア・サービスとしての活用が見込まれている企業)。
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