orzプロジェクトが発足
一方、7月10日にIPv6サービスの実証実験の計画を発表したライブドアの伊勢氏は、より具体的な導入過程での課題について語った。ライブドアが計画しているサービスは、IPv6上のP2Pオーバーレイネットワークによるコンテンツ配信で、2ちゃんねるの掲示板コンテンツの配信エンジン「がっくし(orz=Open Resource Zone)」を、有限会社未来検索ブラジルやWIDEプロジェクトの協力でIPv6上に展開する。この8月の開始を予定しており、合わせて2ちゃんねるに「IPv6板」を設立する。

IPv6は機器が対応していなかったり提供プロバイダが限られていたりするだけでなく、なによりコンテンツがない。それならばIPv6コンテンツの「本命」としてorzを立ち上げることにしたという。ただしエンドユーザーからの要望があってのものではないので、経営層を説得するにも「どこでメリットを見出すかは、難しい」。IPv6をすると儲かるという状況はまずないので、orzプロジェクトも「金かけないなら」という条件のため、「金をかけないで遊べる方法」を考えたという。
会場からは、IPv6ユーザー数が延びているという情報があると経営層を説得できるのではないかという意見もあったが、伊勢氏は「ポータルサイトは数百万ユーザーで1億PVくらいの規模が必要なので、IPv6ユーザーが数十万人いても誤差の範囲内。この2~3年ではインパクトのあるヴォリュームにはならないだろう」と語る。
現在のところ、ウェブアプリケーション開発者がIPv6に取り組むのは「自分たちがやりたかったからやる」(伊勢氏)というだけだが、ドワンドの佐藤氏も「(技術的に)面白そうならやってみたい」と語るなど、IPv6対応はアプリケーションプログラマーの技術的な新しいチャレンジとなりうることをうかがわせた。
そのほかIPv6移行時の注意点として、ログやアクセス管理には読みやすく書きやすいIPv4アドレスがそのまま利用されることが多いので、影響を受けるコードは多いのではないかということも指摘された。