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スポーツ×デジタルマーケティングの現在位置を探る

プロスポーツでなくても成果は出る!ケイナンクリーン×付知FCに学ぶ、事業に貢献するスポンサーシップ

 プラスクラス・スポーツ・インキュベーションの平地さんとともに、スポーツ業界のマーケティングの現状と課題、今後について探る本連載。今回は価値あるスポンサーシップの取り組みを表彰するJAPAN SPORTS ACTIVATION AWARDS 2023で最優秀賞を受賞した、ケイナンクリーンと付知フットボールクラブの取り組みを取材しました。プロスポーツクラブではなく地域スポーツクラブのスポンサーにした理由、取り組みの詳細、得られた成果を探ります。

岐阜の地域スポーツクラブにスポンサーシップ、なぜ?

平地:今回はJapan Sports Activation Awards 2023で最優秀賞を受賞した、付知フットボールクラブとケイナンクリーンについてお話をうかがいます。

 まず、付知フットボールクラブの概要について、クラブマネージャーの小南さんからうかがえますか。

小南:付知フットボールクラブは、岐阜県中津川市付知町をホームタウンとする総合型地域スポーツクラブ内のサッカーチームです。今年で32年目を迎えております。

 ご家族の一人がいずれかのクラブに入会し、会費を納められますと同居している家族全員が会員資格を得られます。年会費は1万円で、サッカー以外にも野球やバスケットボール、陸上など様々なスポーツができます。

認定NPOつけちスポーツクラブ サッカークラブマネージャー 小南 智和氏
認定NPOつけちスポーツクラブ サッカークラブマネージャー 小南 智和氏

平地:総合型地域スポーツクラブという仕組みの中でもシステムが珍しく、興味深いですね。続いて、近江さんよりケイナンクリーンの紹介をお願いします。

近江:ケイナンクリーンは一般廃棄物や産業廃棄物の処理や運搬、リサイクルを行っている企業です。私は企画室の室長として、新規事業の立ち上げや広報・宣伝、今回のスポンサーシップなどに携わっています。

平地:今回大賞を取った両社の取り組みですが、プロスポーツチームへのスポンサーシップが一般的な中で、今回の座組みは非常に珍しいと思っています。どのような経緯で今回のスポンサーシップに至ったのか教えてください。

近江:弊社では廃食用油の回収を行っており、岐阜県の恵那市や中津川市の環境イベントや掃除などの地域事業に協賛して回収を促進する取り組みを行っていました。しかし、その回収量が少ないことが課題でした。また、廃食用油は集めると燃料や洗剤として再活用できるのですが、その認知啓蒙も進んでいない状況でした。

 これらの課題を解決するために検討したのが、スポーツチームへのスポンサーシップです。スポンサーマッチングを支援する企業に相談したところ、プロチームとの取り組みも提案されたのですが、地域に根差した取り組みをクラブと綿密に行っていきたいという思いがあり、どうするか考えあぐねていたところ、恩師の小南先生が付知フットボールクラブのクラブマネージャーをしていると知り、相談して取り組みを一緒に考え始めました。

プロスポーツクラブではなく、地域のスポーツクラブを選んだ理由

平地:付知フットボールクラブ側の背景もうかがえますか。

小南:付知フットボールクラブとしては、クラブを今後も継続するために3つのアクションを取り決めていました。

 1つ目は、応援してくれている人の顔を具体化すること。子どもたちが様々な人や企業の応援でプレイできることを認識し、応援してくれる人・企業のために頑張るクラブにしたいと思っていました。

 2つ目は、財源の確保です。地域スポーツクラブの場合先ほどお伝えした会費が主な収益となっているので、それ以外での財源確保が急務でした。

 3つ目は、クラブの選手にサッカー以外の社会貢献活動をしてもらうこと。サッカーをしているだけでは物足りなさを感じており、地元に貢献する活動ができないかと思っていました。

 これら3つのアクションを取り決める中で、ケイナンクリーンさんと出会いがあり、スポンサーシップを行うことになりました。

平地:プロスポーツクラブではなく、地域スポーツクラブとのスポンサーということで、通常より期待できる効果が限られるといった懸念もあったと思いますが、いかがでしょうか。

近江:正直、廃食用油が回収できるのかという疑問はありました。ただ、それよりもクラブに所属する子どもたちを応援したい、廃食用油が有効活用できることやサーキュラーエコノミー、カーボンニュートラルなどを子どもたちに知ってもらいたいという気持ちがありました。

ケイナンクリーン株式会社 企画室 室長 近江 隼氏
ケイナンクリーン株式会社 企画室 室長 近江 隼氏

小南:私たちも財源の確保よりも子どもにとって有益なアクティベーションになることが重要だと考えています。ケイナンクリーンさんとの取り組みは、子どもたちが新しい価値観に気づける良い期待感がありました。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/06 07:30 https://markezine.jp/article/detail/45512

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