受容性の高いCM環境を創造するために、テレビ局がすべきこと
この現象を少しでも回避する手段の一つは、コネクテッドTVCMです。大画面に配信される番組とそのCMを、筆者は「プレミアムな番組に入るプレミアムなCM」と定義しています。YouTubeにある素人動画に挿入されるCMは、たとえ大画面で映ってもコネクテッドTVCMではありません。
プロのコンテンツとプロのCMに、配信大画面であってもテレビと同様のCMの受容性を期待しているのです。このようなインプレッション数が増えるのが、一縷の望みです。
当然ですが、テレビ局は放送/配信を問わず、受容性の高いCM環境を創造することが求められます。もっと言えば番組コンテンツにネイティブなCMをAIクリエイティブでつくるのです。枠をつくって「CMを入れてください」と口を開けて待っているだけではダメです。自分たちのつくる番組に合うネイティブなCMを、広告主に提案すべきです。番組とそこに入れるCMを提案して営業するのです。売り手市場だった時代が過ぎ去った今、待っている営業スタイルは終わりです。
配信でもテレビと同様のCMの受容性を担保した上に、番組コンテンツにネイティブなCMを提案するのが「テレビ局」とならなければ、生き残れないでしょう。配信でのインプレッションの質を担保して、放送配信両方のインプレッションを提供するのです。
そもそも放送事業と制作事業が分離していないのは先進国では日本と韓国くらいです。自らをコンテンツ制作会社と定義すればディストリビューションが放送であろうが、配信であろうが良いのですから。
最終回となる次回は、特別ゲストとの対談を通して、「AIクリエイティブによる積み上げ型プロセスの破綻」について言及します。
