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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

リテールのマーケティングトレンド

GREEN SPOONが販路拡大で得たこと、失いたくなかったこと

生活者の思う「買う場所」をブランドが決めつけない

━━ブランドによってはイベント、ポップアップショップを開く場合もありますが、貴社ではいかがでしょうか。

 2020年に、新宿・伊勢丹でポップアップイベント「ザ フローズン クリニック(THE FROZEN CLINIC)」を実施しました。当時は試食もなく、「冷凍のおもしろいブランドがあるぞ」といった認知を獲得する場として位置付けました。そこから4年経ち、2024年5月に2回目のポップアップイベントを実施しています。

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 今回のテーマは「野菜」。当初の「パーソナルスムージー」という文脈からはブランドイメージを変化させてきたので、イベント会場にも野菜をゴロゴロと並べて、「素材をそのままの良さを扱っている/野菜がたくさん摂れるブランドだ」という認知を広める意図がありました。また、今回は試食も可能だったので、「美味しい」と思っていただける方が増えることも目的のひとつです。

━━幅広く展開されているのですね。新たな販売チャネルの展開にも注力されるようになった狙いは何だったのでしょうか。

 自社ECサイトだけでは届かない人たちがいることは以前から感じていました。私たちが目指したいビジョンに共感する方の中にも、Webだけでは届けられない方がいる。より多くの人に届けたいという想いで、販売チャネルを広げ始めました。

 そもそもメーカー側として考える「買ってほしい場所」「買える場所」は、お客様にはあまり関係のないことお客様としては自身の生活にフィットすることのほうが重要です。そのため、自社EC以外のチャネルで購入された方にも、わざわざ自社ECに誘導して定期購入を促すということはあまり考えていません。それよりは、お客様の買いやすいチャネルから購入いただければいいなと思っています。

販売チャネルごとに適した設計はあっても一貫性を忘れない

━━新たな販路だからこそ始めた体験や、改善に取り組んだ体験はありますか?

 販売チャネルごとに適したパッケージや商品設計は当然あるのですが、ブランドとしてのイメージを守ることも重要なので、そこはバランスを考えながら改善しているところです。

 実は、スーパーへの展開は結構苦戦しました。『GREEN SPOON』のパッケージ前面は一見するとブランド・商品名の英語と料理ごとのイメージを表現したイラストしか書かれていないので、スーパーの冷凍コーナーに並ぶとお客様には何だかわからないものに映ってしまうのです。

 Webサイトであれば、料理の完成写真やその他詳しい情報とともに選べるのですが、小売店ではそうはいきません。一方、パッケージそのものを大きく変えると、ブランドとしての一貫性はなくなってしまう。そのため、小売の場合ではPOP含め売り場全体の設計まで当社で提案しています。これには、ある程度の責任を持つ覚悟が必要ですね。

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━━新たな展開を行ったことによる成果や、スタートされてから気づいたことがあればお教えください。

 他のチャネルに進出してわかったことの一つは、ギフトとしての利用が意外と多いということです。今回のポップアップイベントでも、お客様と話していると「ギフトでもらったことがある」という人が何人もいました。ギフトでもらうことが『GREEN SPOON』との最初の接点になっているケースが増えているため、現在ではギフト用のセットも用意し、販売するようにしています。このように接点が増える分、多様なニーズを知ることができるため、事業展開の可能性も幅広く考えられています

━━販売チャネルを選ぶ上で優先すべき基準はありますか。

 チャネルを広げる際の基準としては、「私たちがその場所でお客様に価値を提供できることを、信じられるかどうか」を大事にしています。やみくもに増やすのではなく、ビジョンを起点に考え、地に足がついた状態での意思決定をすることが重要です。

 メーカーとして意外と抜けがちなのが、販売チャネル側、小売企業様の視点です。販売チャネルの方々も自社のお客様を幸せにしたいと当然思っているはずです。販売チャネル視点の課題が解決でき、その先にいるお客様も価値を享受できる状態が作れれば、私たちを含めて三者がWin-Winになります。そこまで考えて、チャネル選択の意義を確信できるかどうかは大事な基準です。

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「LTVの高さ=ブランドへの好意度」ではないという気づき

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/14 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45618

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