旅行ニーズを俯瞰して捉える
今回の分析では、まず現在の旅行ニーズを俯瞰して捉えるために「あなたが旅行に期待することは?」という質問に対して自由な言葉で回答してもらい、その回答を基に「マインドディスカバリーマップ」を生成しました(図表1)。
「マインドディスカバリーマップ」は、通常、定性調査で実施するPAC分析(※1)を定量調査でも実施可能とした、インテージ独自の「PAC-i」ツールを使って作成したものです。
(※1)PAC=Personal Attitude Construct :個人別態度構造。PAC分析は、元々臨床心理学などに用いられていたもので、生活者の“隠れた声”を俯瞰的に捉えるのに適しているリサーチ手法。
PAC分析ではインタビューによって対象者一人ひとりの価値構造を深く明らかにするのに対し、「PAC-i」ではWeb調査を実施することで数百人規模の対象者全体の“意味構造”を広く明らかにできるというメリットがあります。
図表1が、今回作成したマインドディスカバリーマップです。マインドディスカバリーマップによって、「旅行」から連想されたワード同士の関係性が可視化されます。
次に、作成したディスカバリーマップを使ってワークショップを実施しました。ディスカバリーマップを読み解くことで、自発的に回答した「顕在意識」だけでなく、「潜在意識」まで読み取ることが可能になります。
では今回、どのような意識が読み解けたのか、具体的にご紹介します。
ディスカバリーマップから見えた「5つの旅行ニーズ」
マインドディスカバリーマップを読み解いていくと、若者、シニアともに「冒険旅」「エモ旅」「回復旅」「交流旅」「趣味旅」と大きく5つの旅行ニーズに分類することができました(図表2)。
そこで、それぞれのニーズを強く持つ人をセグメントし、詳細なデモグラ属性や旅行実態などを理解するために、追跡調査を実施しました。これにより、誰にどのような施策を実施するといいのか、という具体的なアイデアが得やすくなります。
各セグメントの特徴が図表3です。
日常の疲れやストレスの解消を目的とした「回復旅」のボリュームが最も多く、飲食やグルメをのんびり楽しむ機会が求められているようです。感動を味わう「エモ旅」、自己成長につながる「冒険旅」と、左側ほど旅行の濃度が高く、右側はどちらかというと主目的が旅行ではないケースです。人との交流や思い出作りの手段として旅行が存在する「交流旅」、趣味やレジャー施設などへの移動がメインの「趣味旅」が該当します。
これらの5つのセグメントをターゲットとして、未充足ニーズを解決するような施策案を考えてみました。