SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Autumn

MarkeZineオンライン法律相談所

第1回 著作権と意匠権についての「はてな?」


意匠権ってなに?

【質問】
 私は洋服を自分で作ってネットショップで販売しています。最近、デザインを保護する「意匠権」というものがあるということを知りました。そもそも「意匠権」とは何なのでしょうか?自作した洋服を意匠登録すると、どのようなことが起こるのでしょうか?

【回答】

 次は、意外となじみのない「意匠制度」について説明します。この「意匠」という言葉、知っている人はナカナカの法律通です。

 意匠とは、「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」をいいます。この説明からはイメージがわきにくいですが、いわゆる「デザイン」のことです。

意匠法では、意匠の創作を奨励して産業の発達に寄与することを目的として、登録された意匠の保護を図っています。表現物を保護するものとしては著作権がありますが、意匠権は著作権とは異なり、意匠登録の出願をして意匠登録されることによってはじめて権利として保護されます。 

しかし、デザインであればどれでも意匠として登録されるわけではありません。まず、視覚を通じて美感を起こさせるデザインである必要がありますので、粉状物のように肉眼でその形態が判断しにくいものや物品の外観に現れないような構造的機能は意匠登録の対象とはなりません。また、工業上利用できる意匠、すなわち、機械で作ると手作業で作るとを問わず反復生産され、量産される物品のデザインである必要があります。上記のようなデザインであっても必ず意匠として登録されるわけではなく、この意匠が、

  1. 今までにない新しいもの(新規性)であり、かつ
  2. 容易に創作をすることができたもの(容易創作性)ではない

必要があります。例えば、意匠登録出願前に日本国内または外国で公知となっている意匠や意匠登録出願前に日本国内または外国で頒布された刊行物に掲載された意匠については、新規性に欠け意匠登録は認められません。また、新規性を備えた意匠であっても、意匠の属する分野における通常の知識を有する者(当業者といいます)が容易に思いつくようなものは容易創作性が認められ意匠登録は認められません。他にも意匠登録の要件はありますが、意匠制度の概要を把握するためには上記程度でも十分です。

 登録された意匠は、意匠権により保護されることとなります。この意匠権を得た人は、登録された意匠と同一及びこれに類似する意匠について実施をする権利を独占することができます。「意匠を実施する」という言葉は聞き慣れないものですが、意匠法上「意匠についての実施」とは、「意匠に係る物品を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)をする行為」をいいます。

 ご質問の自作した洋服を意匠登録すると、この洋服やこれに類似するデザインの洋服を製造して販売することを独占できます。他人がこれを製造したり販売したりしている場合は、その差止めや損害賠償を求めることができます。このように意匠権は強力な権利ですが、その存続期間は設定の登録の日から15年で終了します。

次のページ
これは著作権侵害じゃないの??

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
MarkeZineオンライン法律相談所連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

笹倉 興基(ササクラ コウキ)

弁護士(東京弁護士会所属)。1995年早稲田大学法学部卒業。1999年弁護士登録。黒田法律事務所において、特許権、商標権及び著作権といった知的財産権に関する案件、ベンチャー企業の支援を担当している。また、M&A・事業再生・リストラクチャリングや民事再生などにも注力しており、ビジネス法務の分野において第一線で活躍中。ネットビジネスに関連する法律に精通している。
www.kuroda-law.gr.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2006/07/12 21:16 https://markezine.jp/article/detail/45

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング