生成AI活用にも「データの質」が重要
関口:データサイエンスというと「生成AI」の存在は無視できません。企業のマーケティングにも様々な変化が起きるのではないかと注目されています。萩原さんは、どう考えていますか。
萩原:マーケティングの観点でいうと、日本におけるAIを活用した施策は、断片的で単発的な印象を受けます。単発的なCMを作成したり、キャンペーンを実施したりすることだけに留めておくのは、もったいないなと。
生成AIは、アウトプット能力だけでなく、情報を理解する能力も非常に高いからこそ、人間らしさが増しています。この両輪が回るようになったことは、非常に大きな意味を持つことであり、新たな可能性を開くものでもあるでしょう。海外に目を向けると、たとえば大手メディア企業が自社のデータを入力して独自のデータベースを構築、それを外部に公開して高い対価を得るというビジネスモデルを展開しています。
関口:そう考えると、やはり学習させるデータは大切ですね。企業が自社に役立つ生成AIを取り入れたいのであれば、まずデータを整理し、きれいにしなければなりません。最初にお伝えした課題の部分にも通じることだと思います。
データの質を高め、活用しやすい状態にするための投資は、今後ますます重要になってくるのではないでしょうか。
効率化だけではないデータ活用を
関口:最後に、今後の展望をお聞かせください。
萩原:あらためて、データ活用を考えた際、現在の国内の流通企業における根本的な問題は、商品の製造者、流通業者、販売者がバラバラになっていることにあると思います。日本では業務プロセスを最適化するオペレーションエクセレンスはできつつある一方、データエクセレンスは改善の余地があると思います。鍵となるのは商品データであり、企業間のデータ連携が必要不可欠だと僕は考えています。ブレインパッドさんとの取り組みをはじめ、現在Lazuliは企業間のデータ連携を促進する取り組みを始めています。このようにして集まったデータを一箇所に集約し、プラットフォーム上で誰もが使いやすく、加工しやすい状態にしていきたいと考えています。
関口:僕は、デマンドチェーンマネジメントを日本で普及させたいと真剣に考えています。重要なのは、デマンドを基軸として、モノづくりからモノの提供までを一貫してカスタマーエクスペリエンスの観点から捉えることです。理想を言えば、企業の垣根を超えてでもそれを実現するべきだと思います。
日本では生産性の話になると、効率化に目が向きがちです。付加価値を分子、投下する費用や労力を分母とすると、分母を減らすことばかりに注力していますが、分子が増えていないのが現状です。人口減少に伴うマーケットの縮小は企業のマーケティングにも大きな影響を与えるでしょう。この状況を打開するには、一人当たりの消費を増やすしかありません。そのためには、分子を増やす活動に注力する必要があるでしょう。効率化のためだけではなく、良いサービスや商品を提供するためにデータや生成AIを使う世界にしていきたいと思います。
萩原さん、本日はありがとうございました。
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