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カギは「共感」と「エンタメ性」若年層の認知&ブランド想起を高めるダイキンのTikTok活用術


情報バリアを破る「クリエイティブ」と「紐づけ」

 クリエイティブに関してはタレントの起用が代表的な例だが、「頼り過ぎるとタレントさんの印象が強くなり企業メッセージが届きません」と東氏は指摘する。2019~2020年頃は、若年層に人気がある様々なインフルエンサーを活用して、XやInstagram、YouTubeでの配信を実施。そして若年層の興味と紐づけるためのキーワードには「湿度」を設定した。

 こうして配信したのが、kemio氏を起用し、梅雨時に髪がうねる理由や蒸し暑い夜にぐっすり眠るコツなど、湿度に関連したテーマをクイズにした「#ぴちょんクイズ」チャレンジだ。

 「湿度を生活に絡めて伝えることで自分事化してもらい、“ダイキンは湿度の会社”というイメージを獲得しようと考えました」(東氏)

#ぴちょんクイズ
#ぴちょんクイズ

 そして2021年、施策として初めてTikTokを活用する。動画クリエイターのゆな氏とせりしゅん氏を起用し、湿度による困りごとをポップな歌詞とダンスで表現したMVを配信。事前にユーザー100名のダンス動画をダイキンのTikTokアカウントで募集し、「クリエイターと一緒にMVに出演できる」ことでターゲット層における盛り上がりを狙った。

ぜんぶ、湿度のせい
ぜんぶ、湿度のせい

 本動画の配信では、430万回以上の再生回数と500超のUGCを獲得。TikTokの可能性を感じたという。狙っていたターゲット層とのコミュニケーションが生まれた。

UGCを活発化できるのがTikTok活用の魅力

 東氏はTikTok活用の意図について、「能動的に参加できて双方向のコミュニケーションが成立し、UGCが活発化できるシェアドメディアだからです」と述べた。

 TikTokは視聴したコンテンツをおもしろいと思ったユーザーが、更に自らの動画を投稿する特徴を持つ。UGCは、単に再生される以上の認知が期待でき、更なるユーザーにも拡散されるため、「UGCの獲得に重きを置いた施策を取り入れていきました」と東氏は語る。

 次の施策として、ユーザーにチャレンジを促しトレンドを生み出すハッシュタグチャレンジ「#ぴちょんくんとガチャ」を実施。本動画では2,200万回超の再生回数と、2,357件のUGCを取得した。

#ぴちょんくんとガチャ
#ぴちょんくんとガチャ

 同時に、人事採用担当者が出演する会社紹介動画も制作し、就活世代の興味獲得を目指した。こちらの再生回数は100万回以上、完全再生率10%超。新卒採用の活動事例として、テレビでも取り上げられたほど、社内の予想を裏切る驚きの結果となった。

 この施策により、TikTok内で流行中のフォーマットを活用してトンマナや文脈を意識した動画を作れば、ストレートに企業のことを伝えても見てもらえることを学んだ。

 そこで次は「ダイキンはエアコンの会社」だとストレートに認知してもらうという目的に変更し、当時流行っていた音ゲーのフォーマットを活用したハッシュタグチャレンジ「#ダイキンのエアコンを救え」を実施した。

#ダイキンのエアコンを救え

 「夏にフル稼働して疲弊したエアコンを助ける」という設定で、最後は快適な空気になることをブランドエフェクトで表現することで、「エアコンといえばダイキン」というイメージ獲得を狙った。しかしこの施策は、当時の平均より少し多いUGC実績(1,906本)が残せたものの、本来伝えたかった「何の会社か」はうまく伝わらなかったという。

 この頃は他社もハッシュタグチャレンジを実施しており、飽和してUGC自体が減少傾向にあったことも影響した。ターゲット層と接点を持てたものの「楽しかった感覚だけで終わってしまったのではないかと感じました」と東氏は振り返る。

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TikTokクリエイターとコラボする理由に納得感を

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/30 01:35 https://markezine.jp/article/detail/46040

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