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カギは「共感」と「エンタメ性」若年層の認知&ブランド想起を高めるダイキンのTikTok活用術


TikTokクリエイターとコラボする理由に納得感を

 次のステップとしては、TikTokクリエイターとのコラボ企画を考えた。しかし実施は慎重におこなった。それぞれにファンがおり、興味を持って視聴されるクリエイター動画は有効な手法だが、#PRは避けられがちだからだ。

 TikTokクリエイターのコラボ理由に対する不信感が離脱につながる。そこで「ダイキンのPR担当者の熱い思いが生霊化し、クリエイターに憑依してダイキンのPRをする」という設定の部分も動画にし、コラボする納得感を持って見てもらえるようにした。こうして生まれたのが、コラボ企画「#取り憑きPR」だ。

 TikTokはジャンルやコミュニティの単位で動画が見られる傾向にある。この企画では若年層が好きなコミュニティを意識し「あるある・コント」のジャンルで普段からエンゲージメントの高いクリエイターを選定した。ダイキンのPR担当の役もクリエイターに依頼し、ダイキンのTikTokアカウントと4組のクリエイターアカウントの両方からそれぞれ別の動画を合計8本投稿した。

#取り憑きPR
#取り憑きPR

 その結果、TikTok内の再生回数が2,100万回以上、いいね、コメント、シェア、保存などのエンゲージメント数も21万件以上を獲得。動画を見たユーザーから「ダイキンのこと知ってるよ」「覚えたよ」「おもしろいPRなので最後まで見てしまった」といったコメントが多数寄せられた。企業の思いをリアリティのあるコンテンツとして発信したことでユーザーからの共感を得て、好意を持たれたという。

 施策終了後のブランドリフト調査においても、すべての数値において平均を大きく上回った。広告の認知率が高いだけではなく、ダイキンを「聞いたことがない」と回答した割合が大きく減少し、これまでの施策では向上が難しかった「エアコン会社」としての想起率が大幅にアップした。

 東氏は成功要因を「ダイキンの思いを素直に表現しつつ、エンターテインメントとして楽しんでもらいながらブランドメッセージを伝える工夫をしたこと」だったと振りかえる。

TikTokの特徴をつかんでPR

 最後に東氏は「社内で企画を通す際には、具体的なクリエイティブよりも、目的や『なぜこの手段を使うのか』という点をしっかり理解してもらうことが重要」と語った。

 はじめからTikTokを活用したわけではなく、さまざまな手法で試行錯誤してきた結果、行きついたのがTikTokだったという。

 「TikTokはこの2年ほどで、ダンス動画を投稿する場所から生活上のヒントを探す場所へと変化しつつあります」と東氏は説明する。

新しいものや発見を求めてコンテンツを見るTikTokが弊社には合っていました」(東氏)

 TikTokはコメントの書き込みやシェアなどの行動がされやすい。自身がいいと思った動画に対する答え合わせのような感覚で、他のユーザーの反応をコメント欄で見たりシェアしたりするユーザーが多いからだという。

 「弊社に興味がない若年層がターゲットだからこそ、ダイキンを知る過程でもいいイメージを持ち、いい経験をしてもらいたいと考えました」と東氏は語る。一方的に広告を打つだけでは最終的に目指す「なんとなく好き」な会社だと思ってもらうのはなかなか難しい。だからこそ、おもしろい会社だと直感的に受け取ってもらえる右脳的なアプローチをするために、あえてシェアドメディアを使ってエンターテインメント性の高いコンテンツを配信し、共感を得ることを意識したそうだ。

 トライアンドエラーを繰り返しながらも成果を出したダイキンの施策。東氏は「弊社の取り組みが皆様のお役に立てば幸いです」とセッションを締めくくった。

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/30 01:35 https://markezine.jp/article/detail/46040

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