「結局使えない」のフラストレーションを解消し、今度こそAIの社会実装へ
藤平:そろそろ最後のテーマに入っていこうと思います。4回目の連載で東大の松尾研究室の今井翔太さんと対談した時、「これまでAIブームが何度かあったけれど、今回こそ本当に社会変革が起こるだろう」という話があって。
ジェリー:AI winterはもう来ないぞ、と。
藤平:はい、何度目かのAI winterは来ないだろうと。ジェリーさんは、今後AIの社会への実装はどのように進んでいくと思われますか?
ジェリー:政府も企業も個人も、たくさんの時間と巨額の資金を投入している状況なので、AI自体は間違いなく進化していくと思います。ただ、人々がAIを用いて社会を変えていけるか? と言うと、現時点ではまだそうとは言えそうになく、技術・ツール側の改善の余地が大きいと感じています。

AI活用に関しては、「どのAIツールを導入(選択)するか」「そのAIツールをどう活かせばよいのか」という部分がわかりにくく、人々の潜在能力を引き出すまでには、まだ至っていません。AIを使ってみたけど、「結局欲しいものが出てこない」というフラストレーションを感じて、AIを使わなくなってしまう人もまだ多いですよね。
Stability AIでは、世界中に30万人以上いる研究者や開発者のコミュニティによって、こうした問題を解決していきたいと考えています。
藤平:たしかに、UX/UIがより洗練されて、フレンドリーになって、誰もが当たり前のように使えるようになることには期待しています。それがフロントエンドの話だとすると、バックエンドへの期待を、あえて言うのであれば「AIの創造性」というものをみんなが心から実感することが大事だなと思っていて。そうしたアウトプットが生まれる“基盤”にStability AIがなっていく未来を楽しみにしています。
ジェリー:みなさんには、まずはぜひ画像生成AIというものを楽しんでみることから始めていただきたいですね。Stability AIのものでも、他社のものでも構いませんから、とにかく触って、遊んでみてほしいです。
藤平:「AIを使う」ということにもっと前向きになる、サボらない、ということを意識して研鑽したいと思います。遊んで作ってみたサムネイルの内いくつかは、まったく別人になったな、という気もしつつ(笑)。ジェリーさん、今日はありがとうございました!
今回のシンプルにためになったポイント
・画像生成AIモデルの「Stable Diffusion」は、様々なサービスの“裏側”で動いている
・生成AIモデルの強さは「データ」「計算力」「技術力」の掛け算で決まる
・単に「指示」を形にするだけではない、創造的なアウトプットは「プロンプトテクニック」と「モデルのチューニング」で実現できる
・その先には“ゼロイチ”を生み出す発想の段階でAIと対話/協働できるようになる(かも)
・AIが当たり前になればなるほど「人間はサボれなくなる」(かも)
