事業成長における浸透率とロイヤルティの役割
前の記事では、ダブルジョパティの法則は日本市場にも当てはまることを解説しました。ダブルジョパティの法則からマーケターが学ぶべきことは、とてもシンプルにすると以下の2つです。
・ライトユーザーが、顧客基盤の大半かつ売上の半分近くを占めている
・小さなブランドほどリーチを広げ、CEPを増やし、浸透率を高めることが急務になる
しかし、これは「既存顧客のことを考えなくていい」とか「ロイヤルティなんて存在しない」という意味ではありません。
ブランドの成長は、カテゴリーユーザー“全員”を視野に入れる必要があります。次の図は21カテゴリー353ブランドの5年分の成長データを使い、浸透率が低下/維持/増加の3パターン、ロイヤルティも低下/維持/増加の3パターン、計9パターンで、平均シェア成長率を比較した研究のデータです(Baldinger et al., 2002)。ここからいくつかの傾向が読み取れます。
・まず、ロイヤルティが減ろうが増えようが浸透率が低下すればマイナス成長
・逆に、ロイヤルティが減っても浸透率さえ増えていればプラス成長
・とはいえ、最大のプラス成長となるのは浸透率とロイヤルティの両方が増えた時
・つまり、両方減った場合は最大のマイナス成長となる
つまり、ブランド成長の第一義的なドライバーはやはり浸透率であり、ロイヤルティはどちらかというとそれを強化する働きがあるというわけです。
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