注目のEV市場、日本のメーカーは世界で戦っていけるか?
田中:EV時代の自動車ブランドについてもぜひお話ししたいと考えていました。今、話があったように、EV時代であるからこそ上を狙わないといけないということでしょうか。
山崎:その通りです。上の価格帯でないと、EVは儲からないですし、中国車に対抗できないからです。
高田:レクサスも2035年までに100%EV化すると発表していますが、コストと価格の問題でそこから入ったほうがよいという判断なのだと思います。しかし、どのメーカーも、いずれは中国のブランドと戦わねばならなくなるでしょうから。これはとても難しい課題です。
個人的には、世界一の自動車ブランドとして、中国ともしっかり戦ってもらいたいのですが。中国車の進捗は予想以上に速い。さらに言えば、彼らのコスト構造は政府の補助の大きさにもある。中国車との戦いは企業の枠を超えた政治問題でもあります。

「富裕層の若返り」で変わる、高級車の顧客層
田中:自動車業界においては、まさに激動の時代に入っていると言えますが、これからの自動車ブランドの在り方を考えていく際、関心のあるポイントは何ですか?
高田:顧客層の変化はひとつ重要なトピックスだと思います。近年、富裕層の若年化が進んでいます。特にアメリカでは、40~50代が富裕層の中心だったけれど、最近は30代の富裕層がかなり増えています。
特に、中国の富裕層が拡大しており、ラグジュアリーの大きなターゲットになっています。
山崎:新興の富裕層は、社会的に浸透しているブランドイメージで車を買いますからね。
高田:新興富裕層に売ろうと思えば、どうしても安易なイメージ訴求が優先され、本質的なモノづくりが軽視されます。別の言い方をすれば、ラグジュアリーの墜落のようなことが起こりがちです。この傾向は、自動車業界でも起こりがちです。
