ミス5.生活者への定量調査のみでのインサイト把握
先述の通り、ターゲットを細分化する上で調査分析は重要です。しかし、一般的な定量調査のみで生活者のインサイト・ニーズを把握するのは、SNSプロモーションでは避けるべきです。
SNS上には、対象の業界、業種、ブランドごとの口コミが数多く発生しています。発話内容にはポジティブな内容やネガティブな内容があり、商材によって発話されるタイミングが異なります。対象のブランドについて「誰が・いつ・何を」SNS上で発信しているか把握し、内容を分析すべきです。
SNSの発話内容には生活者の本音、つまり生の声が多く挙がっています。その内容は定量調査では捉えられない内容も多いです。
例を上げると、美容系の商材で美容成分関心層に対して、プロモーションを実施しているケースがありました。施策終了後に振り返りを行うと、成分に関心がある層からの口コミも多く挙がっていましたが、その商品の剤型や世界観の新しさで購入するトレンドミーハー層から好評価の口コミも生まれていました。
つまり、施策でアプローチしたターゲット以外の人からも良い反応が得られていたという分析結果が得られ、次回施策の方向性がより明確になったと言えます。

定量調査は施策でアプローチしたユーザーに対しての詳細な振り返りは可能ですが、施策外ユーザーへの波及やSNS上での隠れたニーズは捉えづらくなります。上手く役割分担をして分析を実施することが正確なインサイト把握には重要です。
ミス6.あいまいなKPI指標の設定
SNSを活用する際、施策によって生み出される再生数、リーチ数、エンゲージメント(ENG)数をKPIにするケースが散見されます。しかし、KPIとは最終目的である売上(=KGI)を達成するための指標ですので、本来は売上目標から逆算してKPIを設定すべきです。
新商品プロモーションの場合、基本的な考え方としては購買ファネルをベースに考えます。目標売上に対して、過去実績をもとに認知率から購買転換率までを掛け合わせ、必要な広告リーチ数を算出する流れとなります。

既存品のプロモーションの場合は、購買に至るファネルの中でウィークポイントをケアしていく考え方もあります。たとえば、興味から比較検討のファネル転換率が低い場合は、商品理解の促進に向けてインフルエンサーのエンゲージメント率をKPIとし向上する考え方となります。一方で比較検討から購買の転換率が低い場合は、購入の後押しとなるトライアルキャンペーンでのリーチ数などがKPIとなります。
プロモーションの目的や商品の現状によってKPIとなるべき指標は異なってきますが、あくまで売上という目標達成に向けて逆算し、KPIは設定されるべきです。